「カフェイン飲料を一気に大量に飲み過ぎた」 健康な米16歳男子死亡で検死官 - BBCニュース (original) (raw)

エナジードリンク

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画像説明, エナジードリンクの中にはカフェインが大量に含まれるものもある(写真は記事内容と関係ありません)

2017年5月16日

米南部サウスカロライナ州で健康な16歳男子が4月に高校内で急死した問題で、検死官事務所は、カフェインを大量に含む飲料を複数、一度に飲んだことが原因だと結論を発表した。

サウスカロライナ州リッチランド郡検視官事務所のギャリー・ワッツ検死官は、4月に校内で倒れて死亡した16歳のデイビス・アラン・クライプさんは、その前に2時間の間にマクドナルドのラテとマウンテン・デューの大、さらにエナジードリンクを立て続けに飲んでいたと指摘し、「カフェインが原因の心臓の異常によって、おそらく不整脈を起こした」ことが死因だと説明した。

クライプさんには、心臓疾患の既往症はなかった。

体重は90キロだったが、特に重度の肥満というわけではないとワッツ検死官は話した。

検死官はロイター通信に、「カフェインの過剰摂取ではない。体内のカフェイン総量の問題だと言っているのではなく、短い間に立て続けに摂取したことと、その最後にエナジードリンクを一気に飲み干したことが、不整脈の問題に関係している」と話した。

クライプさんが亡くなる前に何を飲んでいたか、目撃者の証言がなければ、おそらくカフェインを死因として検討しなかっただろうと検死官は言う。

亡くなる前の様子を最もよく知る目撃者も、クライプさんが飲んだエナジードリンクの銘柄を特定することはできなかったが、大きいソフトドリンクと同じ大きさの容器に入っていたと話している。

「カフェインは良くないと全面否定するつもりはない。ただしアルコールやたばこと同じように、自分のカフェインのとり方に注意する必要がある」と検死官は言う。

米小児科学会(AAP)は、エナジードリンクの成分が子供にどう影響するかまだ試験で確認されていないため、子供や10代の若者の摂取について警告している。「安全かどうか誰にも保障できない」からだという。

副作用として、不整脈は血圧の急変が考えられるとAAPは指摘している。

AAPによると、ほとんどのエナジードリンクには、コーヒー3杯分のカフェインと多くて小さじ14杯もの砂糖が入っている。

カフェイン情報サイト「caffeineinformer.com」のデータをもとに計算すると、クライプさんは2時間以内にカフェイン470ミリグラムを摂取した可能性がある。

このサイトによると、マクドナルドのラテにはカフェイン142ミリグラム、マウンテンデュー570ミリリットルにはカフェイン90ミリグラムが含まれるほか、450ミリリットルのエナジードリンクには多くて240ミリグラムのカフェインが含まれる可能性がある。

今年3月には米総合病院メイヨー・クリニックが、「ほとんどの健康な成人にとっては」1日最大400ミリグラムが安全なカフェインの摂取量だろうと研究を発表している。

2015年には欧州食品安全機関(EFSA)が、400ミリグラム以上のカフェイン摂取は心拍数増加、高血圧、不整脈、ふるえ、神経過敏、不眠症、パニック発作などにつながるおそれがあると指摘した。

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<解説> カフェインで死ぬとはどういうこと? ミシェル・ロバーツBBCニュースオンライン・ヘルス担当編集長

カフェインは刺激物だ。数分の内に中枢神経系に作用し、その結果、覚醒レベルが上がり、眠気が後退する。

しかしそれ以外の作用もある。心拍数が増え、落ち着かなくなったり不安になったりする。

摂取した後は、体内から排出されるまでに数時間かかる。

コーヒーその他のカフェイン飲料を1日に数杯飲むのは、まったく安全だとされている。しかし飲み過ぎたり、短時間に大量に飲むのは危険だ。

カフェインの過剰摂取状態になることもあるし、大量にとりすぎると死亡することもある。

ほとんどの健康な大人にとっては、1日最大400ミリグラムまでは安全なようだ。それはだいたい、コーヒー4杯かコーラ10缶分、あるいはエナジードリンク2本に相当する(ただし飲料ごとにカフェイン量は異なるので、表示を確認のこと)。

10代の若者や妊娠中の女性は、摂取量をこれより少なくした方が良いと勧告されている。幼児や子供にはカフェイン飲料を与えるべきではない。

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