英イングランド、年内に新たなコロナ規制はしない 保健相 - BBCニュース (original) (raw)

英イングランド、年内に新たなコロナ規制はしない 保健相

2021年12月28日

ダルシー・リー、BBCニュース

A woman in a mask next to a Christmas decoration

画像提供, Getty Images

イギリスのサジド・ジャヴィド保健相は27日、新型コロナウイルス関連の規制を、イングランドでは年内に新たに実施する予定はないと述べた。

ジャヴィド氏は同時に、人々に「警戒心を保ち」、大みそかは可能なら屋外で祝うよう求めた。

ボリス・ジョンソン首相は、閣僚らが関連データを注視し続けるとし、国民に「1回目、2回目、ブースター(追加)の接種を遅れずに」受けるよう強く呼び掛けた。

イギリスではクリスマス時期、イングランドとスコットランドで新規感染者が過去最多を記録した。

イングランドでは25日が11万3628人、26日は10万3558人、27日が9万8515人だった。

スコットランドは速報値で、25日が8252人、26日は1万1030人、27日が1万562人だった。

イギリス全域のクリスマス時期の感染人数は、月末に発表される。

過小との見方も

英ブライトン大学でウイルス学を研究するサラ・ピット博士は、最近の感染データについて、「恐らく少な過ぎる」と述べた。その理由として、クリスマス当日は検査を受ける人が減ることや、休暇シーズンにはデータ処理が遅れることを挙げた。

スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン第一首相は、予想されていた感染者の急増が「いま現実化している」と述べた。

北アイルランドは24日以降、感染データを発表していない。ウェールズでは26日、新規感染者が5335人を記録した。

A graph showing cases rising over time with a seven-day average of 113,306

画像説明, イギリスの1日当たりの新規感染者の推移。実線は7日間平均(最新値は11万3306人)。北アイルランドは今月24日以降のデータを、ウェールズは25日と27日のデータを出していない。スコットランドのデータは暫定(出典:Gov.ukダッシュボード、12月27日時点)

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ジャヴィド氏は、年明けに新たな対策が必要か、政府として改めて検討すると述べた。

イングランドで年内に新規の措置を取らないとの決定は、ジョンソン首相が、イングランドの首席医務官クリス・ウィッティー教授と、政府の首席科学顧問サー・パトリック・ヴァランスから報告を受けてからほどなくして、発表された。

この決定により、イングランドは国内の他の地域と異なる歩調を取ることになる。ウェールズはすでにさらなる制限を実施しており、スコットランドと北アイルランドも規制を強化している。

野党・労働党のウェス・ストリーティング影の保健相は、今回の決定について、多くの人がほっとするだろうとした。一方で、「ボリス・ジョンソンが単に与党・保守党内の敵に屈服したわけではないと(中略)国民が納得できるよう」、決定の根拠となったデータの公表を政府に要求した。

ブースター接種を促進

ジャヴィド氏によると、イングランドの感染の90%はオミクロン変異株となっている。

最新データでは、イングランドの病院に現在、新型ウイルス感染者が8474人入院しているとされる。3月以降で最多だが、昨冬のピーク(3万4000人超)は大きく下回っている。

それらの入院患者は、全員が新型ウイルス感染を理由に入院したわけではない。最新データによれば、約3割は、新型ウイルスに感染しているものの、別の理由から入院に至った。

オミクロン株の感染拡大を受け、イギリス政府はワクチンのブースター(追加)接種に力を入れている。先週は1日だけで96万8665人が3回目の接種を受け、最多記録を作った。

イングランドではクリスマス当日、1万2000人超がワクチン接種を受けた。うち955人は1回目だった。国民保健サービス(NHS)は、今後数日内にさらに150万回分のワクチン接種が可能になるとした。

Presentational grey line

<分析> ニック・トリグル保健担当編集委員

イングランドのデータは、NHSにとって来月が困難な月となることを示している。だが、完全に圧倒されてしまうようなものではない。

先週、オミクロン株による症状は比較的軽くなるとの見通しが発表された

しかし、それが現実世界にどのような意味をもつのかは不明確だった。感染者が増加すれば、NHSでは対応し切れない恐れがあった。

オミクロン株が最初に広がったロンドンを見ると、今後の予想がつく。

12月前半は1週間で感染者が倍増した。

だが入院患者数は、感染初期から症状悪化までの時間差を考慮すれば、約3分の2にとどまり、ずっと低かった。

それに、入院日数も短くなっているようにみえる。

さらに、感染者の急増は、クリスマス前に落ち着き出したと思われる。

これが本当で、この傾向が続き、他の場所でも確認されれば、入院患者数のピークは昨冬の半分以下になる。かなり好ましい予想といえる。

ただこれは、多くの条件が重なることが前提だ。それでも政権は、現時点でこれ以上の制限は正当化できないと考えたようだ。