ジョンソン元英首相、「パーティーゲート」めぐる意図的ミスリード否定 議会特別委 - BBCニュース (original) (raw)

ジョンソン元英首相、「パーティーゲート」めぐる意図的ミスリード否定 議会特別委

Boris Johnson

画像提供, UK Parliament

2023年3月23日

イギリスで新型コロナウイルス対策のロックダウン中に首相官邸などでパーティーが開かれていた問題について、当時首相だったボリス・ジョンソン氏が22日、議会の特別委員会で証言した。与野党の議員による厳しい追及が続く中、ジョンソン氏は繰り返し、この問題をめぐって議会を意図的にミスリードしていないと強調した。

特別委の冒頭でジョンソン氏はキリスト教の聖書を両手に持ち、「心から誓います。私は議会にうそをつかない」と宣誓した。

Boris Johnson

画像提供, HoC

画像説明, 聖書を手に宣誓するジョンソン元首相

証言でジョンソン氏は、ロックダウン中に開かれた首相官邸の集まりでは、社会的距離は「完璧には」守られていなかったと認めた。しかし、一連の集会は「必要な」仕事のイベントで、そうした集まりは許されていたと述べた。その上で、ガイドラインは常に守られていたと自分は理解していると強調した。

また、一連のパーティーが発覚後、感染対策のルールとガイドラインは「常に守られていた」と下院で述べたことについては、「当時自分が正直に知って信じていたことをもとにした」答弁だったと力説した。

議会特別委は、ジョンソン氏の行動について今年夏までに判断を下す。現在も下院議員のジョンソン氏に対して、特別委が何らかの処分を勧告した場合には、下院本会議が採決する。与党・保守党を率いるリシ・スーナク現首相は、その場合に保守党議員への党議拘束はしないと約束している。

ジョンソン政権をめぐっては2021年末以降、パンデミック対策で屋内での集まりが制限されていた時期に、首相官邸を含む政府機関で複数の「飲み会」やクリスマスパーティーが開かれていたことが相次いで発覚。「ウォーターゲート」事件をもじって「パーティーゲート」と呼ばれている。

イギリスでは、議会で閣僚がわざとうそをついたり、議会をミスリードした場合、辞職・解任理由になる。ミスリードとはここでは、議会に虚偽の情報を事実であるかのように提示し、誤った方向へ導くことを意味する。

動画説明, 【解説】 ロックダウン中の英官邸パーティー問題 報告書と首相の様々な発言を点検(2022年5月)

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与野党から異議

この日の特別委では与野党の議員が、ジョンソン氏の主張に異議を唱えた。委員長を務めるハリエット・ハーマン議員(労働党)は、ジョンソン氏の証言は「薄っぺらい」、「まったく大したことはない」と評した。

ジョンソン氏は、与党・保守党の重鎮サー・バーナード・ジェンキン議員とも繰り返し衝突。自分が政治顧問に頼りすぎだったというジェンキン議員の発言に反発し、ジョンソン氏は「まったくばかげた」なことを言っていると怒りをあらわにした。

Handout photo dated 13/11/20 issued by the Cabinet Office showing the then prime minister Boris Johnson at a gathering in 10 Downing Street for the departure of a special adviser

画像提供, Sue Gray Report/Cabinet Office

画像説明, ロックダウン中の2020年11月13日に、首相官邸で開かれた特別顧問のお別れ会の写真。飲酒を伴うこうした集まりへのジョンソン氏の参加と、議会答弁が問題視されている

ロックダウン中の2020年11月に首相官邸でスタッフのお別れ会が開かれた際の写真で、ワインのびんが並ぶテーブルを前にした自分の姿を示されると、首相官邸のスタッフは「目に見えない電気柵を周りに張り巡らせることなどできない」のだとジョンソン氏は答えた。

元首相は、示された写真で「完璧なソーシャルディスタンスは守られていない」と認めた上で、当時のルールに違反していないと繰り返した。また、「仕事のために絶対に不可欠だったと考えている」とも述べた。写真のお別れ会は当時の広報部長のためのものだった。

「当時は、できる限り(感染対策の)ガイドラインに従っていた。それこそガイドラインが定めたことだった」ともジョンソン氏は述べ、当時の首相官邸では窓を開けたままにしたり、できる限り屋外で仕事をしたり、同じ部屋にいる人数を制限したり、検査を繰り返したりと対応していたと説明。「それによって、完璧にソーシャルディスタンスを保てないことによる問題の影響を緩和しようとした」と述べた。

これに対して保守党のジェンキン議員は、「もし下院で(2021年末当時に)あなたがそう答弁していたなら、私たちはおそらく今ここでこうしていない。けれどもあなたは当時、そう言わなかった」と指摘した。

保守党のアンディー・カーター議員からも、そのように当初から答弁するべきだったのではないかと言われると、ジョンソン氏は「自分の意図をもっとはっきりと説明していたら、そしてガイドライン順守について自分が何を考え思っていたかもっとはっきり説明していたら、その方が良かったのかもしれない」と答えた。