コインチェック停止が一部ビットコイン決済に影響 —— リクルートやDMM.comに余波 (original) (raw)
coincheck payment APIは、コインチェック社が提供するビットコイン決済用のシステムだ。
コインチェック
コインチェック流出による余波で悲鳴をあげているのは、投資家だけではなかった。
仮想通貨取引所コインチェックは、巨額流出に関連したサービス停止に追い込まれている。これに伴い、同社開発のサードパーティー向け決済API「coincheck payment」においても1月27日17時から、日本円出金、新規支払いの受付機能が停止している。
【Coincheck payment機能の一部停止について】
2018年1月27日17:00頃(日本時間)より、Coincheck paymentの一部機能が停止いたしますことをお知らせいたします。
ご迷惑をおかけいたしまして申し訳ございません。何卒、よろしくお願い申し上げます。https://t.co/cOA8uQzq5Y— Coincheck(コインチェック) (@coincheckjp) 2018年1月27日
coincheck payment APIは、実店舗の店頭やECサイトなどでビットコインによる決済機能を実装するためのもの。コインチェックのサイトによれば、回転寿司店「銀座沼津港」や「DMM.com」などで導入されているほか、リクルートライフスタイル社と提携し「モバイル決済 for Airレジ」のビットコイン決済機能として利用されている。
今回のAPIの機能一時停止を受けて、各社サービスがどのような影響を受けたのか、Business Insider Japanは各社へ問い合わせた。
リクルート「26日に自主的に停止、再開時期は未定」
リクルートライフスタイルの提供する「モバイル決済 for Airレジ」。(画像をクリックするとサービスページへ遷移)
リクルートライフスタイル
リクルートライフスタイルのモバイル決済 for Airレジは、店頭で同名アプリがインストールされたiPadやiPhoneなどを使い、来客のスマホに表示されたQRコードなどを読み取り、決済が完了するシステム。現状、coincheck payment APIによるビットコイン決済のほか、「アリペイ」「LINE Pay」などに対応している。
店舗や企業がこのシステムを導入するには、各決済サービス毎に審査を通す必要があるが、機材などの導入コストが低いことから比較的手軽にキャッシュレス決済を実装できるのがポイントとなっている。同社によるコメントは以下のとおり。
26日17時頃にコインチェック社に関する一部報道があったため、ビットコイン決済機能をリクルート側で自主的に停止。利用者(各店舗)にはメール等で通達をした。
その後、27日16時頃にコインチェックと連絡をとることができ、“原因調査及び対応方法について検討中である”旨の連絡を受けた。
そのため、現在に至るまでモバイル決済 for Airレジのビットコイン決済機能導入店舗から問い合わせはとくに受けていない。
LINE Payやアリペイなど、モバイル決済 for Airレジの他の決済方法はシステムが別になっているため、影響は受けていない。
ビットコイン決済機能は現在(2018年1月29日時点)も停止中。再開の目処は立っていない。
なお、リクルートライフスタイル広報によると、影響を受けた店舗の数などは「『モバイル決済forAirレジ』のアカウント数を公表していないため、回答できない」としている。停止までに支払いが完了していた売り上げの出金に関してどのような影響が出ているかは、現在リクルートライフスタイルからの回答待ちだ。
DMM.com「詳しい回答は控える」
同社サービスで使えるDMMポイントは、ビットコインでも購入できる。
DMM.com
DMM.comでは、グループ会社であるDMM Bitcoin社で、仮想通貨の取引所業務を展開しているが、その事業とは別にcoincheck payment APIによるビットコイン決済を導入している。
同社の障害情報ページには1月27日15時29分より、同機能が利用不可になっていると掲載されている。(2018年1月29日18時50分時点)
DMM.com
coincheck payment APIが用いられているのは、同社の動画や電子書籍など各種コンテンツの購入などに利用できる「DMMポイント」の購入時に、ユーザーが所有するビットコインを充てられるサービスだ。2016年3月より展開しており、DMM.comの障害情報ページによるとビットコイン決済は1月27日15時29分に停止している。
DMM.comは、今回のビットコイン決済機能停止に関して「coincheck paymentの機能停止に伴い、弊社での決済受付も停止しております」と一連の流出との関連性を認めた。影響の規模やコインチェックとの連絡状況、ユーザーからの問い合わせ状況などについては「弊社として今回の件に関する回答は控えさせていただきたく存じます」としている。なお、公開されている障害情報ページによると「再開時期は未定」。
ビットコイン決済を継続している店舗もある
コインチェック
大手では家電量販店のビックカメラ、旅行代理店のH.I.S.の一部店舗でビットコイン決済が可能だが、これらの企業はコインチェックではなくbitFlyerの決済システムを利用している。そのため、直接的な影響は受けていない。
(文・小林優多郎)