DuolingoのAI英会話「MAX」がついに日本語対応。GPT-4o対応で英語力が伸びる理由を聞いた (original) (raw)
Duolingoは、生成AI「GPT-4o」を搭載した新プラン「Duolingo Max」をリリースした。
出典:Duolingo
2012年に正式リリースされ、現在までに全世界のMAU(月間アクティブユーザー)が1億360万人を超える語学学習アプリ「Duolingo(デュオリンゴ)」。42種類の異なる言語を扱い、合計100以上のコースを提供している。
9月25日には、ChatGPTの「GPT-4」および最新モデル「GPT-4o」を搭載した新プラン「Duolingo Max」(月額4490円、年額2万2800円)を、日本語話者ユーザー向けに提供開始した。
同プランは、文法などの誤りのフィードバックやロールプレイ、キャラクターとの会話によって、「英会話」に特化した学習ができる。
DuolingoでGlobal Principal Product Managerを務めるZan Gilani氏に、新プランの狙いと反響を聞くと共に、英語学習歴が約7年の筆者が新プランを体験してみた。
勤勉で語学学習の意欲が高い日本
Duolingoの日本市場への本格参入は2020年11月で、無料(広告付き)で利用できることに加え、ゲーム性やキャラクターによるユニークなアプローチなどで人気を獲得してきた。
単語やリスニング、スピーキングなど多様な語学学習が可能。メインキャラクターのDuo(デュオ)のユニークなリアクションも「Duolingoらしさ」だ。
画像:筆者によるスクリーンショット
エリアごとのMAUは非公開だが、全世界の売上高で日本は上位10位以内にランクインするほど急成長市場であり、同社の中では最重要市場の一つと位置づけているという。
日本ユーザーの傾向として「勤勉さ」も抜きん出ており、平均学習時間は全世界で2位(2023年の調査時点)となる。
「老若男女が利用していますが、リテンションが高い傾向があるのは35歳以上のユーザーです。若年層に比べて習慣化が上手な印象で、毎日決まった時間に学習しているユーザーが多くいます」(Gilani氏)
Global Principal Product ManagerのZan Gilani氏。
画像:筆者によるスクリーンショット
1億360万人のMAUのうち有料会員率は8.6%。つまり、約8900万人の有料会員がいることになる。日本においても、その比率は大きく変わらないという。
有料プランは、制限なしにレッスンを受けられるなどの特典がある「Super Duolingo(旧Duolingo Plus)」(月額1990円、年額9900円、ファミリー向けが年額1万3200円)と、9月25日にリリースした新プラン「Duolingo Max」で、Maxを契約するとSuper Duolingoの特典も内包される。
英会話の学習に特化したDuolingo Maxは、Gilani氏の提案が形になったものだという。
「以前からスピーキングの学習機能はありましたが、特定の文章を読み上げて発音を判定する内容にとどまっていました。
しかし、語学学習者が求めているのはリアルな会話の練習であり、生成AIを活用することで制限のない会話学習が実現しました。
2024年5月にGPT-4oがリリースされたことで、より低コストで高品質な英会話学習サービスを提供できるようになりました」(Gilani氏)
「英会話スキル」を伸ばす3つの新機能
Duolingo Maxで提供されるのは、「スマート解説」「ロールプレイ」「リリーとビデオ通話」の3機能だ。
左側が「ロールプレイ」のレッスンの様子、右側はそれに対する「スマート解説」だ。
画像:筆者によるスクリーンショット
スマート解説は、レッスンの大部分の問題形式において文脈に応じた解説を自動で生成し、回答の間違いに対する解説や、回答した文章をもっと良くするためのフィードバックを提供する。
さまざまなレッスンにおいて丁寧なフィードバックが提供され、時に新たな表現の提案もしてくれる。単純に「正解」「不正解」と表示されるだけの学習に比べて得られる範囲が広がり、記憶に定着しやすい側面もありそうだ。
ロールプレイは特定のシーンにおける会話を練習できる。
画像:筆者によるスクリーンショット
ロールプレイは、「日常生活」「旅行」「食べ物&買い物」といった特定のシーンや話題で、キャラクターを相手に会話練習ができる機能となる。
初級レベルで提供されていることもあり、スムーズに会話の練習ができた。キャラクターが投げかける質問に対し、スピーキング、またはタイピングで回答する。
「リリーとビデオ通話」は画面上に表れたリリーと会話をして、終了後に会話内容を振り返ることができる。
画像:筆者によるスクリーンショット
「リリーとビデオ通話」(編集部注:提供開始時点ではiOS版のみ)は、人気キャラクターの一人であるリリーとのビデオ通話を通して会話を学習する機能となる。
通話ボタンを押すとリリーが登場し、日常会話が繰り広げられる。リリーは内向的で無気力なティーンエイジャーというパーソナリティーを持っており、気だるそうな雰囲気で話しかけてくる。
こちらが発話してから返答が戻るまでに3秒前後のタイムラグが発生するため、最初は「音声を認識できていないのか?」と戸惑い、何度か話しかけてしまった。何度か利用したところ、発話した覚えがない単語が一部認識されていることがあった。
若干混乱しているような状態も見られた。
画像:筆者によるスクリーンショット
また、同じ文章を繰り返したり、これまでの会話の内容とは異なる質問を急に投げかけたり、混乱したような様子が見られたタイミングもあった。
同機能は登場したばかりで、これからユーザーのフィードバックを拾って随時アップデートしていくという。こうした点はこれから改善されるのかもしれない。
体験自体は楽しく感じられ、「また使ってみたい」という意欲は湧いた。今回は初級レベルであり、中上級以上の英会話を学びたい筆者にとってはレベル感の物足りなさは否めなかったが、レベル感がマッチすれば、より有意義な学習になりそうだ。