美しい彼 - ちるちる (original) (raw)
『崇拝に似た恋は滑稽なほど純粋で特別』
再生したCDの中には想像を超える美しい世界が広がっていました。
ピアノの音、流れてくる美しい言葉たち、
時には笑ってしまう程すれ違っている二人の想い。
全てが美しい。
BLドラマCDにおけるひとつの到達点ではないかと。
最高傑作とはこの作品の為にある言葉ではないかと。
そう思いました。
原作を読んだ時に葛西リカコ先生の挿絵を見て
「これほどまでに原作の2人を完璧に表現した挿絵はないのではないか」
物語の間に差し込まれる二人の姿に感動していたのですが
ドラマCDを聴いた私の頭の中でその二人が息をして動いていました。
清居の凛とした、清居の周りだけ少し温度が低いような、研ぎ澄まされた空気。
平良の清居だけを見つめる、熱い、ジリジリした、痛みさえ感じそうな視線。
温度とか、平良が清居の為に走る時の風とか、
目に見えないものや実際には触れられないものまで再現されている。
頭の中に二人の映像が流れこんでくる。
そんな不思議な感覚でした。
自分の全てを奪い去ったキングに跪くことに至上の喜びを見出す平良。
二人しかいない世界で清居の指先に口付けるシーンは、本当に美しい。
まさに崇拝。
何も求めない。
ただ存在してくれるだけでいい。
怖ろしいまでの純粋さを小野友樹さんが完璧に演じきって下さっています。
あれ程までに「何の欲もない」声を初めて聴きました。
小野さんは平良の「吃音」もよく理解したうえで演じて下さっていて
平良が喋る前に「心を平らかに、刺激に敏感にならないように」と唱えてるのが聴こえてくるような
一言一句を意識的に区切った喋り方でした。
どこか淡々とした独特のリズム。
平良そのものでした。
そんな平良が、清居に対して何も求めていない平良が
「自分だけは違う。自分を他の奴らと一緒にして欲しくない」という明確な意思を持って告げる
バスターミナルでの「死ぬほど好きだ」が、どの「好き」より好きです。
物語の後半で清居は「平良が好きなのは現実の自分じゃない」と言っています。
「平良の中で作り上げた理想の清居だ」と。
でも、そうじゃないんですよね。
平良は作り上げてなんていない。
美化もしていない。勝手な解釈もしてない。
平良の目に映っているのは、ちゃんと現実の清居だった。
出来るなら清居にこのディスク1を聴かせてあげたいなーって。
本気でそう思った、美しいディスク1でした。
で!ここからディスク2の感想です!!
あぁ~~~~~~!!!
清居可愛い~~~~~~♡♡♡
めちゃくちゃ恋しちゃってるじゃんキング♡
全てが可愛いんだけどやっぱりあのシーンですよね!
わざと間違い電話をかける清居!!
「その手があったか!!」
ってあぁ~~~~~~~♡
可愛すぎるよ清居~~~♡♡
なに!?その「大発見!俺って天才!」みたいなテンション♡
そして平良からの折り返し電話に出る前の深呼吸…。
このシーンは本当に大好きです!
ドラマCDになって良かった…!
原作では“いい感じにぶっきらぼうな声が出せた”もしもし。
壮馬さん天才だ…神だ…可愛い清居に会わせてくれてありがとう…。
同じ場面を攻め視点と受け視点で描く作品は多くありますが、
これ程までに逆の視点で描く手法が活かされている作品は見た事がありません。
原作も大好きですが文字だけより声が乗る事によって
清居の必死さがより伝わってきました。
自分が自分でなくなっていく恋に振り回される清居はとても可愛かったです。
そしてクライマックスの路地裏での告白。
ここも、壮馬さん風に言うのなら壮馬さんの中にいる清居の気持ちがついに爆発して
あのシーンになったんだと思います。
ドラマCDを聴く前にこのシーンが一番楽しみでした。
泣いて愛を乞う清居を壮馬さんがどう演じてくれるのか。
なんかもう、凄かったです。泣きました。
清居の心からの叫びが突き刺さってきます。
そしてこの後は初めての恋人としての時間です。
ここでとんでもない爆弾発言が飛び出します。
『だぁめ』
この衝撃的な清居の甘い台詞に全てのファンが撃ち抜かれたことと思います。
壮馬さんのファンの方大丈夫かな!?息してるかな!?と心配になるレベル。
これは原作にはない台詞です。
これは脚本なのか壮馬さんのアドリブなのか機会があったらぜひ聞いてみたいのですが
(映像作品ではないのでアドリブって事はないかなぁ)
どちらにしても天才だと思いました。
言ってた!あの時の清居絶対言ってたわ…!!!!!!!!!!
その後の「もう中に出せよ」の破壊力も凄まじい。
清居さんどうしちゃったんですか!!甘すぎますよ蕩けてますよー!!
と布団の中でジタバタしたと同時に良かったね清居…とまた涙が…。
恋がしたかった清居。
好きな人には触りたいし触られたかった清居。
好きな人に抱かれてる幸せが声から伝わってきて私も幸せになりました。
本当に素晴らしい作品で非の打ちどころがないのですが、
敢えて一つだけ言うなら小山君とのエピソードをちょっと削り過ぎかな…と思いました。
収録時間に限りがある中で仕方がない事とは言え
錦鯉を撮りに行った後の二人の会話や一度は告白までしようとした平良のエピソードがなかったのは
ちょっと意外でした。
原作読んでるファンは自分で補完して聴けますけどちゃんとCDにも入れて欲しかったなと思います。
恋にならなかったけど消えないまま二人の間に漂っている見えないもの、
それに苦しむ電話での小山くんと平良のシーンが良かったからこそ
一度は現実(小山)を選ぼうとした平良の狡さや残酷さもしっかり入れて欲しかったです。
ここの電話のシーン良かったですよね…。私ここで一番泣きました。
とにかく!本当に素晴らしい作品でした!
今回発売前に再プレスが決定した事、初日の売り上げ枚数を考えると
憎らしい彼のドラマCD化も夢ではないと思います。
全身全霊で憎らしい彼のドラマCD化を希望します!!