黒猫閻魔と獣医さん - ちるちる (original) (raw)
甘くて可愛くて実は結構切ない、猫ミミファンタジーであり、初恋成就ものになります。
初恋相手の少年を救う為に火事を出してしまい、地獄に堕ちてしまった黒猫。
今作の主人公である彼が、とにかく一途で純粋でその上ちょい天然でと、めちゃくちゃ可愛いんですよ。
こう、やらかす事やらかす事、次から次へとズレてて、ひたすら笑わせてくれるんですよ。
いや、元野良猫ならこんなもんだろうけど。
ついでに、その天然な言動で、攻めを翻弄しまくってくれるのも楽しくて楽しくて。
二人の同居生活、萌えまくりじゃないかよ!
あと、こんな調子でちょいアホに見える主人公ですが、実はとても健気でいじらしくもあるんですよね。
野良猫だった彼の死んでしまった理由や、思いがけず叶った期間限定の同居生活。
たった一ヶ月しか無いその時間を、「夢みたいだ」ととても喜んでる姿を見ると、なんだか胸がキュッとなっちゃって。
いや、う~ん・・・。
安曇先生のケモミミものって、ただ単に可愛いだけじゃなく、ちゃんとドラマがあって面白いんですよ。
喜びがあり、悲しみがあり、愛がありって感じで。
多分、これが相性がいいってヤツだと思うんですけど、毎回面白くて仕方ないんですよね。
いや、ケモミミ以外もちゃんと面白いけど。
ザックリした内容です。
初恋相手だった少年を救う為に火事を出してしまい、地獄に堕ちた野良猫のロク。
人の命を救った事で許され、現在は閻魔見習いとして修行中の身なんですね。
そんな中、手違いで地獄にやって来たのが、なんと初恋相手の桔平。
ロクの必死の訴えにより現世に戻される事となった桔平ですが、監視役としてロクが選ばれー・・・と言うものです。
で、閻魔大王に人間の姿を与えられたロクが、桔平が獣医を務める動物病院を手伝いながら、目付け役として一緒に暮らすと言う流れ。
こちら、個人的に萌えまくった部分ですが。
なんと言っても二人の甘々同居生活になります。
そもそも桔平ですが、ちょいおおざっぱではあるものの、とても面倒見が良く愛情深いんですよ。
で、素直で純粋ではあるものの、元野良猫でその後は閻魔見習いとなった為、人間の常識に疎いロク。
こう、いちいち二人のズレた会話が面白いんですよね。
ロクを周囲になんて説明するかと話し合えば、「同級生が無理なら、恋人だったら違和感が無いかと」とかロクが言い出し、「違和感だらけだろ、てか違和感しないわ」と桔平がツッコむ。
また、自分が閻魔だと普通に言ってしまうロクに対して、「俺以外の人間に自分が閻魔だと言いふらすな。二人だけの秘密にしろ」と桔平が釘をさせば、「二人だけの秘密ですね!」と顔を輝かせるロク。
で、「食いつく場所がおかしいんだよ!」と桔平、みたいな。
もう、こんな感じのやりとりを延々と繰り返してまして、笑えるわ可愛いわで、ひたすらニヤニヤしちゃうのです。
またこれ、ロクは人間の身体になったのが初めてで、色々知識が足りないのも楽しくて。
えーと、元猫な為、お風呂に嫌がって入ろうとしないんですよね。
で、そんなロクを無理矢理お風呂に入れて洗う桔平。
最初は「やめてぇ、殺される」と怯えていたかと思えば、「くすぐったいです」と無邪気に笑い、オマケに「どうしちゃったんでしょう。なんかムズムズするんです」と、反応しちゃった股間を平気で見せる。
「桔ちゃんが(お風呂を)出ていったら、ムズムズおさまりました」
「・・・それは何よりだ」みたいな二人の会話に、もうニヤケがとまんないじゃないかよ!
と、そんな日々を過ごすうちに、桔平への想いを更に強くするロク。
そんな中、近所で不審火が続き、なんと桔平が犯人だと噂が立つんですね。
更に、共に居られる期限の一ヶ月が近づき・・・と続きます。
実は二人の出会いですが、親が離婚して寂しい思いをしていた少年の時の桔平と、野良猫としてお腹を空かせていたロクと言うものになります。
ロクが寝床にしていた境内に、エサを持っては桔平が現れ、共に過ごした優しい時間。
ロクは、桔平に恋をしたんですね。
しかし、酒に溺れ自暴自棄になった父親から桔平が殺されそうになり、なんとか助けようとしたロクは、誤って火事を出してしまった。
そして、その時の怪我が原因で死んでしまった・・・。
そう、ロクの過去ですが、とても切ないのです。
そんな彼が、一ヶ月も共に過ごせると喜び、また期限の一ヶ月までに、何とか桔平の無実を証明しようと、彼の幸せだけを願う・・・。
こう、めちゃくちゃいじらしいんですよね。
桔平の父親は火事で亡くなっている為、自分が殺したんだと罪悪感を持ってるのも切ないなら、桔平に全て忘れられているのも切なくて。←(諸事情により、過去のロクの記憶を消されてます)
とりあえず、ここからちゃんとハッピーエンドなので、ご安心下さい。
いや、元野良猫がなんで閻魔?的に、最初は設定が強引だと思ったのです。
が、ネタバレで「こう来たか!」と。
閻魔大王、めっちゃいいオヤジなのです!
オヤジと言うより、もうお父さんですかね。
そう、とても優しくてあたたかいお話でもあるんですよね。
あとですね、エロ少な目ですが、とても感動的でした。
普段ですね、エロと言うと、スケベ心丸出しで読んじゃうワケですが、今回はまさに愛を確かめあう素敵な行為だなぁと。
ジーンときちゃいましたよ。
と、とても心に響く、素敵なお話でした。
私個人の勝手な意見ではありますが、安曇先生のケモミミもの、とても面白いのでオススメです。
(ケモミミ以外もちゃんと面白いです。)