笑う鬼には福きたる(3) - ちるちる (original) (raw)

『笑う鬼には福きたる』の3巻目にして完結編。

親が残した500万の借金を、一人で払うために仕事に明け暮れる21歳の笑。孤独と貧しさに負けそうになりながらも彼は踏ん張っている。

借金返済のためにAVに出演させられそうになっていた笑を助けたのは、高校時代のクラスメイトの稔侍。大きな酒蔵の御曹司である稔侍に連れられ、笑は稔侍の祖父・権蔵のもとに身を寄せ、権蔵が紹介してくれた仕事をこなし借金を返し始めるが―。

というのが今シリーズのお話。

ずっと笑のことが好きだったという稔侍と、そんな稔侍に少しずつ心惹かれていく笑との恋の行方はいかに。

ストーリーも面白いですが、とにかく今作品はキャラがたってます。

自己破産して、借金を払わないという手もあったであろうに、笑はそれを良しとしない。不器用で、でも一生懸命な笑がめっちゃ可愛い。

そして一方の稔侍も。
お坊ちゃんで、世間知らずで青い青年。けれど笑への愛情は本物で、朴念仁ながらも誠実な好青年なのです。

2巻までで、笑が稔侍に恋愛感情を抱いていることは描かれていましたが、彼らには身体の関係はない。それは笑が「借金を返してから」と決めているから。でも、挿入まではないけれど、触りっこはある。

まー、これがエロいのなんのって。
笑のことが大好きで、大切にしたい稔侍。
そして稔侍に触られ、まっさらさんなのにけしからんエロさをまき散らす笑。

特筆べきは笑のtkb。
めっちゃ綺麗です。稔侍と共に笑のtkbにくぎ付けです。

で。

完結編となる今巻は、笑の借金の行方と、稔侍×笑の恋がきちんと成就するか否かを軸に進む展開でした。

笑の借金に関しては、バッサリ言ってしまうとご都合主義な感じがしなくもない。けれど、このホンワカで温かなストーリーにおいて、こういう結末はアリだな、と。

笑、そして稔侍。
自分の「これから」を模索し、懸命に生きようとする若い二人に心からのエールを送りたい。

若くして500万という借金を背負った笑、という、シリアスなバックボーンを持つ作品で、ゆえに1巻は小鉄子作品にしてはかなりシリアスベースな作品でしたが、3巻は甘々の大団円の完結編でした。

個人的に小鉄子さんの絵柄って大好きなのですが、稔侍がイケメン過ぎて辛い。
で、その稔侍くん、武士になります。この「武士」姿がクッソカッコいい…!

なんで「武士」?

と思われたそこの腐姐さま、ぜひとも手に取って読んでください。ビジュアルもイケてますが、中身もさながら武士の様でめっちゃ笑いました☆

借金取りの久住さん。
稔侍のおじいちゃんの権蔵さん。
脇を固めるサブキャラもいい味を出していて素晴らしかった。

久住さんメインのスピンオフとか、出してほしいなあ、と切望しています。

素晴らしく優しく、温かい、甘々な、最高な大団円でした。