俺と上司のかくしごと つづきのはなし - ちるちる (original) (raw)

『俺と上司のかくしごと』の続編です。

デザイン会社勤務 御門 純一郎と主任 姉崎 実紗樹のお話。

前作では、会社の飲み会で酔った姉ヶ崎に襲われた御門でしたが、最終的に2人は付き合うことになりました。
今作は、その続きになります。
付き合い初めて1ヵ月。
「今までの週末はお家にこもってエッチばかりしていたので、ゴールデンウィークはデートしましょう」と御門が提案します。
気の進まない姉崎でしたが、2人で映画に行くことに…しかし、食事もしないでただ映画を観ただけ。
おまけに、御門が手を繋ごうとしても、姉崎には避けられてしまって…。

いや~、本当に良かったです‼
もう序盤で感極まってしまい、最後まで泣きながら読みました。
作品全体に、姉崎のセクシャリティの辛さや葛藤、そして御門への深い愛情が感じられ、いつの間にか感情移入していますよ。

このイレギュラーな状態を他人がどう見るか御門が気づいたら終わってしまう。
いつか夢から覚めることは知っている…だけど、少しでも長く幸せでいさせて。
激混みの休日に出掛けるのも、外で手を繋ぐのも、姉崎が避けていた理由は、他人の視線で2人の関係が「異常」なことを気づかれたくないから…。
しかし、ぎこちない姉崎の態度に気が付いた御門は、何か思うところがあるらしく温泉旅行を予約します。

…いつかを考えても仕方ない。
それは頭では理解していても、御門を好きになればなるほど押し寄せます。
御門に抱かれていても思い悩むほどに。
見えない終わりに怯える姉崎の気持ちが痛いほど伝わり、胸が苦しくて仕方ありませんでした。
前作で、御門に言った姉崎のセリフが今も胸に残っています。
――ゲイはみんな一生孤独で幸せになんかなれないんだ

でも、そんな不安で押しつぶされそうな姉崎を御門は優しく包み込みました。
さりげなく自然に…どんな時も自分の言葉でちゃんと向き合います。
「他人にどう思われたっていいですよ」
姉崎を幸せにできるのは御門だけなんですよね。

このお話には、当て馬は登場しません。
脇キャラでは、温泉旅行でモブとして登場した女子2人組。
「ただの肉魂」という名言を残してくれました(笑)

Hシーンは、温泉旅行の夜がメインになっています。
2人の絡みが丁寧にゆっくりと描かれていることと姉崎の想いがモノクロームになっていることで、エロさよりも切なさでいっぱいでした。
「好きって言って」
御門に何度もお願いする姉崎…こちらまでやるせない気持ちになります。

『おまけのはなし』
本編のその後のお話。
吾妻と大阪出張に行った御門。

『おまけのおまけ@数時間前の大阪』
大阪出張から帰る新幹線の中。

最後は、この作品に出会えて良かったと心から思えるエピソードになっています。
温泉旅行で張られた伏線も回収され、幸せそうな姉崎の姿に嬉しさがこみ上げてくるでしょう。
『俺と上司のかくしごと』から約5年が経ちましたが、GUSHの2018年4月号に掲載された番外編の流れを崩すことなく、とても素晴らしい続編に仕上っています。
嘉島ちあき先生の作家インタビューにあるように「「姉崎を幸せにしてあげてください!」に対して、きちんとお答えできるように…したつもりでおります」でした。

御門と姉崎がずっとずっと幸せでいられますように♡
いつの日か、また2人に会いたいな。

前作を読まれた方は絶対に読んで欲しい!
そして、まだ読まれていない方は『俺と上司のかくしごと』と併せて読んでいただきたいです。