百日の薔薇 Maiden Rose Ⅳ - ちるちる (original) (raw)
『百日の薔薇 Maiden Rose』の4巻目。
エウロテ公妃の亡命に絡み、命からがらタキとともに逃げ出すことに成功するクラウスだったが、その際に大怪我と「穢れ」に触れてしまった彼はー。
という3巻の続きから。
痛みを抑えるために薬を過剰摂取してきたクラウスは薬がすでに効かない身体になっていて、意識ももうろうとしている状態。そのクラウスを一身に看病するタキだが、タキのことも分からなくなっているクラウスはタキを蹂躙し…。
と話は続きます。
事後、立てなくなるほどの激しい蹂躙を受けた身体と、その身分からのプライドをタキは捨てて、クラウスを守ることだけに思いを寄せるシーンには思わず落涙しました。タキが美しすぎる。
が、その後、「穢れ」とか、公妃の亡命とか、という現在進行形のお話ではなく、そこから過去編へと突入します。で、二人の過去、というのがまたあっちこっちへ飛び火していくので、ちょっとでも気を抜くと「はて、なんのこっちゃ」となりますので注意が必要です。でも、髪型とか顔つきでちゃんと見分けがつくところはさすがです。
クラウスがタキと同期の学生として学んでいた時。
そして、二人がもっと幼かった時。
そして、クラウスにとって、タキは「監視対象者」であったことー。
それらがぶつ切りで描かれていて、でも少しずつ繋がっていく。
その過去があって、今の2人の関係性が出来上がっていったのだということが、少しずつ見えてくる。意識が戻らないクラウスに蹂躙されてなお声を上げないタキの心中や、クラウスを見捨てることができないその理由も、きちんと見えてくる。
美しく高貴なタキが、必死で痛みをこらえクラウスに寄り添う姿はまさに女神さながら。稲荷屋さんの美麗すぎる絵柄が非常にあっていてとにかく美しい。
タキはやんごとなき身分のお方なのですが、それゆえに様々な思惑に巻き込まれていくさまがとにかく切ない。クラウスも、きっと同じ思いでいて、だからこそタキを守りたかったのだろうと。
お互いに深く信頼し、愛していて、その愛し方も守り方も立場ゆえに異なる。
はよ二人には幸せになってほしい…!
ちなみに4巻でまだ完結していません。完結してから読む派の腐姐さま方、今しばらくお待ちを。
正直、彼らの立場を考えるとハピエンは思い描けず、いったいどうなっていくのか気になって仕方ない。今から次巻が楽しみです。