アレキサンドライト - ちるちる (original) (raw)
攻・マクシミリアン(20代後半)
受・シェリル(22)
間男(?)・ラモン(シェリルより年下)
シェリルには妻がいました。
しかしお忍びの旅先で賊に辱められ、自殺してしまいます。
シェリルの妻はマクシミリアンの妹でした。
妹を死に至らしめた復讐として、革命に乗じてシェリルを浚います。
浚う途中で湖に落され水濡れに。
その衣服を奪い取ろうとしたマクシミリアンは、シェリルの異常な怯えに興味を覚え、シェリルの秘密を知ります。
復讐には絶好の秘密。
最初は本当に…恥辱陵辱拷問です。
間男(笑)のラモンと一緒にやりたい放題。
しかし雷に我を失い正気を失った様子のシェリルに、マクシミリアンの復讐心が少しずつ消えてゆきます。
シェリルは父親に殺されかけた事があり、一時は廃嫡されていたにもかかわらず弟の死によって再び呼び戻され、しかし弟のデスマスクを傍らに暮らす父から怨み呪われる少年時代を過ごしていました。
その記憶が雷とともに蘇って正気を失うほどに苦しむシェリルを知り、マクシミリアンに憎悪とは別の感情が生まれることに。
革命が終わってシェリルを国に帰すことになり、ラモンが現れます。
ラモンはマクシミリアンに激しく嫉妬しシェリルを責めますが。
シェリルの秘密を楯に取り、洗礼を受けなおして妻になれと迫るラモン。
生まれてからずっと力の強い者に従い、希望を抱かず、流されるままに生きてきたシェリルは、初めて自分の望みのままにマクシミリアンのもとへと走ります。
いつものレビューのようにあらすじを書き出すと、なんだか軽く感じられますが…物語は重厚です。
濃厚で、エロティックで、ドラマチックで切ない。
強姦から始まった関係が、いつしか互いに愛し合うように…というBL定番のストーリーなのに、心理描写も詳細で自然。
これまで読んできた定番ストーリーがご都合っぽく思えるくらい、読み応えがありました。
筆力は凄いし、他の文庫よりも詰まった行間・ページ数の長編を、全く飽きさせずに最後まで読ませてしまうパワーがあります。
マクシミリアンの苦悩も、シェリル心身の開花も、ラモンの執着も。
(ラモンはシェリルの秘密を知る前から執着してたよなぁ…)
全部が愛しい作品でした。
1991年の作品なので、むしろこの作品がその後のBLテンプレの基礎になったのかなぁ、なんて思います。