どうしても触れたくない - ちるちる (original) (raw)
私がレビューする必要ないほどの大大大ヒット作!!!
今更内容について触れる必要はないと思いますので、
メガヒットの理由について勝手に分析してみようと思います。
決して酔っ払った勢いなどではなく、真面目に考えました。←前置きする所が怪しい
この作品は「過去に付き合った相手に酷い仕打ちを受けて恋愛に踏み込めないでいる嶋君」と、「ノンケだけど相手の心にドーンと踏み込むことが出来る外川さん」というキャラが異常なほどマッチしていると思いました。
嶋君という人間は、恋愛に臆病なのは傷ついた過去も影響してはいますが、元々相手に踏み込んで自分が傷つくことが怖いと思っている「立ち入らないことが優しさ」のタイプだと思います。だから前に付き合っていた人とは分かり合えずにあんな事になってしまった気もします。嶋君が変に空気読んで自分の気持ちを伝えないから。
一方外川さんは相手の心の中に入り込んでそこに座り込み、一緒に笑ったり苦しんだりすることが出来る大きな優しさを持った「立ち入ることが優しさ」のタイプだと思います。
二人が違うタイプの優しさを持っているためにすれ違うんですが、ところがデコとボコが一旦噛み合うと最強のカップリングになるという。これ以上ないほどお似合いの二人じゃないかと思います。
嶋君の優しさは一見相手を思いやってのことのように見えますが、自分が傷つかないための防衛手段であることは明白です。嶋君だって本当は外川さんが自分を傷つけるような人じゃないと分かっているはず。それでも嶋君のようなタイプは「外川さんを傷つけて、自分も傷つくようなことが起きたらどうしよう」と思うわけです。それだったら最初から傷つかないための防衛手段として外川さんから離れたほうがいいんじゃないかと考えます。
ここがこのストーリーの最大のポイントじゃないかと思います。
相手の心に踏み込まないことは優しさではあるけれど、でも例え傷つけ合うことになったとしても、
相手の心に踏み込まなければ深い絆や深い愛情が生まれるわけがない。
でも誰しもが踏み込んだ結果、相手を傷つけたくないけど、自分も傷つきたくない。
多分こう思うことは自然なことだと思います。
特に恋愛に関しては傷つきたくないと思っている人は多いと思います。
だから嶋君が傷つくかもしれないけど、それでも勇気を出して外川さんの所まで追いかけて行った姿や、正直に気持ちを伝えた場面に感動した人も多かったんじゃないかと思います。
また外川さんのほうも嶋君よりよっぽど重い過去があるけれど、それを前面に出していない所がこの作品の良い所だと思います。そういう部分を見せつけるわけでもなく、かと言って隠しているわけでもなく。
何かを乗り越えた人物として登場したところに、重苦しさがなくてウケたんじゃないかと思います。こういうのをもっと重く出して欲しい人には物足りなかったと思うのですが、傷をえぐり出して見せつけるような人物として外川さんを登場させてしまうと、嶋君はああいうタイプなので恐れをなして近づくことは難しかったように思います。
外川さんタイプの人はどの世代にもいるタイプだと思うのですが、嶋君タイプは新人類に多いタイプだと思います。
というわけでこの作品は嶋君のような「立ち入らないことが優しさ」であるというタイプに共感できるかどうかで作品への評価が大きく分かれそうだと思いました。
嶋君タイプが理解不能、めそめそ泣くなんてそれでも男か!好きなら好きって言え!!と思った人には全然楽しめない内容だったと思います…。
内容自体は王道中の王道ですが、二人の重い部分を全面に出さずに、今の時代にマッチした空気感で描いたことがヒットに繋がったのかもしれません。
それに、嶋君のような過去に傷ついて臆病になっている人間が、誰かに強引に説得されたわけじゃなく、自分から外川さんの所に飛び込んで行ったことが、感動を呼んだのではないかと思いました。傷つくことを恐れて防波堤を張っていた人間が、自分の殻を破って相手の方に飛び込むっていうイベントこそが今の時代の人が求めている人間関係なのかもしれません。
傷つかないために上辺だけの付き合いをしたって、本当は虚しいですから。
他の作品にもこの作品と似通ったような設定はいくらでもあると思うのですが、
この作品は他の作品と違って、唯一、嶋君タイプの人間が相手の心に飛び込む瞬間までの道のりを実によく描いている作品だと思います。
で、ここまで長々と書いといてなんですが、
…とか言って実は大人の事情で売れただけだったらビックリだわ。
いやでもかなりの実力のある方には間違いないです!
すみません、ヒットの理由を理屈っぽく書く事はできませんでした。ただの感想です←
なのでお分かりだとは思いますが、誰かにこの考え方を押し付けようと思って書いたものではありません。ほぼ自分に向けて書きました←おい!