世界一初恋 ~小野寺律の場合+吉野千秋の場合~ - ちるちる (original) (raw)

原作は最初のほうだけ既読。
声優さんたちが豪華なので聴いてみました。

長いシリーズの一部だけ、2組分、収録されています。

表題の小野寺律編は、出会い(実は再会)から、少しだけ関係が深まるまでのお話。
昔のお話とはいえ、律の子どもっぽさにイライラしながら聴きました。
甘ちゃんの御曹司が社内の陰口でブチギレて転職。文芸がやりたくて別出版社に入ったのに少女漫画編集部に配属されて、文句、抗議。しかもすぐやめるつもりで働き出します。
転職しやすい経歴になるように、などと言ってましたが、 考えが甘すぎて呆れました。
配属先の伝説の編集長に厳しいことを言われ、初日にモデルのためにいきなりキスをされ怒ります。
編集長の高野が非常識なような描かれ方をしていますが、この若造相手では、まあそういう態度になるのも仕方ない、という印象。
しかし、勉強のために自社出版のマンガを片っ端から読む姿勢、真面目でいい子なんだろうと思います。
学生時代の悲しい経験から恋愛に及び腰になっている律に、その学生時代の悲しい思い出の原因(だけど、どうやら勘違いがあったらしい)の高野が、距離を詰めて口説いて行きます。

少女漫画の編集という仕事で、ネームチェックや、落ちそうになった原稿フォローなどのエピソードもありますが、社会人の姿勢と台詞じゃない・・・、と聴いてて頭が痛くなりました。

高校の文化祭前の漫画研究会の部誌発行のお話だったら、そういう言動でもいいけれど、と思いながら聴きました。

吉野千秋編は、売れっ子漫画家先生と中学時代からの友人の編集者、同じく中学時代からの友人のチーフアシとの三角関係のお話。
漫画にしかセンス、感覚が向いていないと思われる、恋愛にはうとすぎる、だいぶぼんやりしている印象のある吉野千秋(受)に、編集とチーフアシがそれぞれ奥手な感じでアプローチするのですが、なかなか伝わらないうえに勘違いされてしまいます。
編集が爆発しちゃって吉野を襲ってしまうのですが、その後の展開はまさに漫画。
吉野がいい人過ぎて、この先、詐欺被害に遭うのではないかと心配になるレベル。
売れっ子漫画家さんは浮世離れしている人が多いそうなので、そこはリアルなのかもしれません。

個人的には編集が吉野を襲ってしまったところ、その後の対応、言動も、かなり胸糞が悪かったです。
性癖で萌える、萌えない、が分かれるところだと思います。

今作の一番、素晴らしいところは、中村悠一さんと神谷浩史さんがライバル関係で、言葉少なく、つんけん会話を交わし、反して、吉野には優しい声をかけているところです。
聴いていてうっとりしました。

BGMと効果音もよかったです。
何度も、おお、となりました。

作中に喫煙しながら仕事の話をするシーンがあります。
時代にそぐわない小道具だけど、かっこいい男を表すのにすごく印象的だなと思いました。
今だと、社内禁煙だろうし、喫煙できる場所でも電子タバコなどでしょうから、紫煙をくゆらせながら仕事の話をする大人の男の色っぽさ、久しぶりに耳から感じることができました。