私説三国志 天の華・地の風 - ちるちる (original) (raw)

小説JUNEで連載されていた頃に激読しました。
若い世代にも是非おすすめしたいです。
初期(1980年代です…高校生でしたw)は、BL小説が単行本化するなんてあまり考えられなかったので、悩んだ末に小説JUNEからチョキチョキ切って、自分で製本して読んでいました(時代を感じるな…)

んなことはおいといて、
元ネタは三国志で、美貌の若き天才軍師・諸葛亮孔明が受け状態という物凄い話、のオープニングがコレです。
相手は呉の孫権が重用した武将にして「美周郎」(男前)と呼ばれた周瑜です。
このカップリング自体、三国志の元ストーリーを知っていると、驚愕モノなんですが…。
元ネタでは、周瑜は自分の策の裏の裏をいく諸葛亮孔明をライバル視しまくり、死に際に諸葛亮から嫌味たっぷりなお手紙をもらって「俺はどうしてアイツと同じ時代に生まれたのか!」と言いながら血を吐いて死ぬことになっております。

ところが、私説三国志では、そんな諸葛亮コンプレックスからか、美周郎も薄汚い手口を使って孔明を抱き、強引に支配しようとするわけです。
しかも、情熱的すぎてドSモード全開の周瑜に孔明も次第に溺れていく…という展開(でも、それで終わらないのが孔明)

ワタクシ自身は「私説三国志」はBL史上最強の作品だと思っておりますが、なにしろ、文章も硬質だし、元ネタが「三国志」とあって複雑な内容なので、おススメしにくい部分がありました。

とっつきやすいドラマCD出ないかなーーーと思っていたら、本当に出た!
キャスティングはちょっと意外でした。
置鮎竜太郎さん→周瑜
石川英郎さん→孔明
置鮎さんといったら攻め受けどちらもいける、怜悧で知的なイメージあったんですけど…むしろ、置鮎さんのほうが孔明じゃないの???みたいな。
で、さらにビックリが石川さんで、あれ?石川さんて「攻め」役じゃないの?

でも…周瑜と諸葛亮孔明といったら、美しく教養も高い武将と天才軍師です。ただのオレ様攻めと抱かれてアンアン喘いじゃう受けではないわけで…。
まあ、そう考えると納得か…と思いながら、「聴」

いや、ありですこれ!!!!
策略、陰謀渦巻き裏の裏の裏まで読む戦国にあって、まさに情熱と冷静のハザマで微かに動揺しながらも翻弄される二人がよく表れていて、並のBLCDとは桁違いでした。
さらに、淡々とした堀内賢雄さんのナレーションが複雑な状況を上手にナビゲートしてくださるので、三国志の知識がなくても大丈夫!初心者でも大丈夫でしょう。
これは是非、若い世代にも聞いていただいて、あわよくば原作にも手を染めていただきたい!
(元ネタの三国志と比較するとさらに面白いと思います)

嫉妬、羨望、憎しみと愛、裏切り、パラドックスにパラドックスが重なった壮絶なドラマに愕然とするかもしれません。
でもこれ、まだほんの序章ですから・・・・。これ、シリーズ化されるのでしょうか…。だとしたら、最終章がもんのすごくコワイですワタクシ。

ちなみに、本家中国の腐女子ちゃんに「こんなのがありまして」と紹介したら、むちゃくちゃ食いつきました。中国語翻訳を作ってみたいということで、スクリプト取りつつ解説→結果的にCD翻訳を共同作成中なんですが、本家にも(いや、本家だからか?)相当衝撃的なストーリー展開のようです。
とはいえ、周瑜や孔明のイメージを損なってはいないそうで、「考えてみたら三国志って腐れ目線で見ると非常に面白い、曹操と関羽なんてチョーあやしいし、『桃園の契り』なんて男三人でなにやってたんだか…妄想広がるッ!こういうモノが本家からなんで出てこない!?日本すばらしすぎる!」とのコメントをいただきましたw