ダブル・バインド(2) - ちるちる (original) (raw)

後半のCDもとてもよかったです。
むしろこちらの方がリピ率高いんです。特に2枚目の方が。
4枚通して聴くと長いんですが1の後2を2回聴くという感じで、なぜか何度も聴きたくなります。
原作を読んでいても何度聴いても次の展開が気になり途中では止められません。
事件の真相が告白されるシーンで犯行の原因の語りを聴くと苦しくなります。

瀬名のツンぶりが可愛い。
デレはもっと可愛い。
興津和幸さんはBL初主演の初々しいところがいいです。
それにエッチシーンも初めてとは思えないほどお上手です。
声も素敵でこんな声のセラピストに相談出来たら癒されます。
上条は初恋の相手とは正反対ですね。ピロートーク中にゲップしてしまうようなデリカシーのない男に恋してしまうんですから。そんなゆるくて気の置けないところもよかったのでしょうか。

新藤は葉鳥のお父さんみたいなところがありますね。
ちゃんと育てられなかった葉鳥を葉奈と共に新藤によって育て直されている感じです。
そして葉鳥は親としての感情や責任感や思いを知っていくことでこれまでのダメだった自分や親の弱さを許せるようになり、自分を信じることもできるようになるのではないかと思いました。
そして、愛情の確かさを知って大切な人と心を通わせていってほしいです。新藤さんLoveのデレデレしたところ、新藤の手足となって働く男前なところ、新藤を守りきれずに怪我させた時の動揺っぷり、役に立ちたい一心な一途なところ、葉奈への優しい声。
そんな複雑な葉鳥を演じた鈴木さんの演技力にほれぼれです。

新藤さんは不器用ですよね。
愛するがゆえに別れたけれどそれによって相手を傷つけることになりお互いが何年も引きずることになるのですから。
新藤と瀬名の恋の決着がついてよかったです。
葉鳥の成長と変化と時期を同じくして、過去の想いを昇華し残骸から解放されたからこそ葉鳥とも向き合えるようになり葉奈のことも含めて心情を告白できたのだと思いました。

このドラマでは親と子の絆とか血の繋がりから来る葛藤が背景にあると思いました。
組織の長である前に父親として息子たちを愛した父親
愛されず愛し方を知らすに育った子供たち
護ることを放棄したことを後悔し誤った方法でやり直した父親
兄弟間の感情の擦れ違いや助けられなかったことへの贖罪
深い話でした。

新藤の亡き元妻は男前な姐さんだったんですね。
新藤が誰を大切に思いそのことで彼らがいつか苦しんだり辛い思いをすることになると分かっていたような気がしました。
葉奈の存在がそれを助けると信じて。
過去の恋に囚われていた新藤が自分の子供は欲しくなかったけれど葉奈を可愛がる訳が分かり感動しました。

上條が部活の後輩との再会によって「ホモじゃない!」から「ホモになろう!」への心の変遷が細かく描写され納得できました。
シリアス展開の中「男と車は走り出したら止まらない」や「キスだけを楽しめる男を目指す」という台詞にクスリと笑わされます。
森川さんが決してかっこよくないヘタレたオヤジくさい上条を好演していました。かっこ悪いけどかっこいい上条を演じられるのは他にいないような気がします。
「赤松君ありがとう」に、祥に振り回された友人の赤松君は上條×瀬名を結びつけた影の功労者かもしれないとちょっと思いました。

阿部さんの演じる三人の人格と統合したあとの祥がそれぞれが演じ分けられ聴いていて混乱することなくよくわかるのが感心しました。

英田さんの原作の素晴らしさの上に声優さんの演技力の高さを思い知った作品でもありました。