処女執事~the virgin-butler~ - ちるちる (original) (raw)

以前から読みたい本として目をつけておりました。なぜって評価が高かったし、なんてったって表紙イラストが煽情的で美麗でエロぃ…♪なかなか電子書籍化されず腐っておりましたが、待てば海路の日和あり♪ようやく拝ませて頂きました(笑)笠井あゆみ先生の扉イラストはもちろんのこと、挿絵も美しくって、驚くほどダイナミックな角度…いや構図で、素晴らしくエロくって、思わずよだれが…(๑¯﹃¯๑)

そしてもちろん、沙野風結子先生の小説がミステリアス&サスペンスフルで面白かったです。

あらすじですが、クローン人間(のようなもの)が現存している社会が舞台のお話です。ここではクローン人間とは言わず、The virgin-butler(処女執事)と表現しています。そしてその存在は機密事項ということになっています。The virgin-butler(処女執事)の正規名称は「V種型執事」と言い、人為的に造られた執事のことです。

小説を読むまでは御多分に漏れず私も、単に処女の執事がそのご主人様に純潔を奪われる、あんなことやこんなこともされるエロエロなストーリーなのだろうと思っておりました。ところがもう少し複雑でした。難解なパズルを解いているようで、謎が謎を呼び最後まで飽きさせません。

この小説における受は執事の保坂己裕、そして攻はサイ・ネヴィル。また最重要人物として己裕のご主人様の二条則雅が登場します。

●己裕は「服従する者」として理想的な執事となるように、遺伝子操作をほどこされたV種型執事です。

●サイはイギリスの名門貴族のご子息です。その美貌は際立っていて、獣のような印象なのに品位があります。ただし己裕にとっての好ましい外見は則雅のみです。その気持ちは、マスター登録のときに埋めこまれた遺伝子操作によるものです。

●最後に則雅ですが、心臓が弱く、幼少期には何度も手術を繰り返したほどで、今も服薬は欠かせません。20歳の誕生日の祝い品として、祖父によって己裕を贈られました。以来、「宝物」と称して己裕を大切にしてきました。でも…悲しいかな、則雅にとっての己裕はただの「器」だったのです。自分自身しか愛せない、そんな可哀想な人。それがゆえに悪者として描かれていますし、実際、天使のような顔をした悪魔だと思います。その祖父もまた悪魔であり犯罪者かと。

最初はサイが則雅を憎む気持ちが分かりませんでした。己裕を執事として、こんなにも誠実に接してきたのに。過去に何があったの?読んでいる間中ずっと疑問でした。ですがこの疑問は後半解けることになります。

物語は受と攻の出会いのシーンから始まり、その後9年の歳月が流れたところから再度始まります。サイは己裕を探し出し、奪える力を蓄え、則雅の会社を買収し、手に入れました。その後は己裕を自分の執事として傍から離しません。それどころか言葉巧みに己裕を誘惑し、奥方の役割をさせてしまいます。

己裕は従順な執事として長年過ごしてまいりました。それゆえ、言葉が丁寧で性格も控えめ。「お許しください、旦那様」なんて言われたら、そりゃー、サイでなくても舌なめずりしてしまいます。サイは己裕のブリーフ(あららブリーフですよー)の中に手を入れ下腹部の肌に触ってしまいます。その時の一言に「えーーーっ」となってしまいました。だって!だって「つるつるだ」って。己裕は下腹部の体毛を残さないことが身だしなみと思っているらしいです。はぁ、これっていわゆるパイパンというやつでしょうか。お好きな方はお好きなのではないですかー。と言いつつ私が一番ドキドキしております。まあ、そんなこんなで己裕の純潔(?)は奪われてしまいました。

一見、強引で悪魔的で冷たく見えるサイ。ところが己裕がサイに憎悪をぶつけるたびに嬉しそうにします。俺を憎めと言います。自傷行為と他傷行為は表裏一体だから。サイを憎むことで、そのエネルギーが己裕自身に向かわないようにしたのです。憎しみを喜んで受け止めるというサイ。
ここに愛を感じました。
そうです、サイは己裕のことをずっとずっとずっと昔から愛していたのです。
それはどういうことか。実はサイの正体は…。

これ以上は読んでみてのお楽しみ♪まだまだいろいろと紆余曲折&どんでん返しがあります。最後はもちろんハピエン♪