因果性のベゼ 1 - ちるちる (original) (raw)

作家買い。いつも思うのですが、阿仁谷さん作品て表紙が素敵ですよね。色遣いとか、表情とか。今巻もとっても素敵でテンションアップ。

しかし、この作品のタイトルの意味はいったい何なんだろうなあ、と思いつつ読み始めました。

いつもネタバレ上等でレビューを書きますが、もしかしたらネタバレなしで読んだ方が面白いかも。なので、「ネタバレ厳禁!」の方は回れ右してください。

主人公は高校生のひろき。
時計店の息子で、スマホではなく、時計を常に持ち歩いているDKくん。
最近、夢をよく見るのだけれど、起きたときに全く覚えていない。
自分でも不思議に思いつつある今日この頃。

ある日登校途中で野球のボールが飛んできて頭に当たる、というアクシデントが…、

あったと思ったのに、目覚めたらそこは家。
ベッドの上で起きたところ。

ええ?

という困惑を、ひろきだけではなく、読者も彼と同じように感じる。

そんな彼の通う高校に、一人の転校生・たまきがやってきて…。

というお話。

序盤、意味がよく分からず、不可思議な作品だと思いつつ読み進めましたが、途中でやっと意味が分かってくる。この作品は、

ネタバレ注意!!

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タイムスリップもの

です。

タイムスリップと言っても、とんでもない時空軸の世界に行ってしまうわけではなく、数時間、あるいは1日前くらいの時間が巻き戻る。

なぜ、そういう現象が起こるのか、というのは明らかになっていませんが、ひろき自身はその現象に気付き、タイムスリップを引き起こす因子にも気づき、あえて過去に戻ったりもする。

その理由が、キタコレ!
激萌えです。

全てはたまきのため。

これ、帯や裏表紙に、タイムリープモノであることやなぜひろきがタイムリープしようとするのかがうっすら書かれています。なので、私もレビューでネタバレとして書いてしまったわけですが、これ、知らずに読んだ方が面白いんじゃないのかなあ…、とちょっと思ったりしました。

一方のたまきですが。
彼はひろきが経験するタイムスリップについて、実は何か知ってるんじゃないのかなあ、と思う描写が所々出てきます。
かつて、子どもの頃に出会っていたという描写もあり、彼らの間に漂う秘めた空気感がめっちゃツボでした。

ひろきが時計店の息子で、常に時計を手に嵌めているという描写。
「因果性のベゼ」というタイトル。この「ベゼ」って、「baiser」かなあ…。
そして、表紙の二人のイラスト。

一度読んでからもう一度見直すと、そういった小物とか言葉の遣い方が非常にお上手なのがじわじわ分かってくる。さすが阿仁谷さんといった作品でした。

ひろき×たまきの、二人の恋心が徐々に育っていく過程もきっちり書き込まれていて、面白いだけではなくってきちんと萌えもありました。1巻という事で完結ではなく、まだまだ分からないところもたくさんある作品ですが、次巻への期待を込めて「神」評価で。