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ラプンツェル(笑)

時折岩永よりも男前なんじゃないの?と思わずにはいられないほど、宮田のちょっとやそっとでは動じない精神力、綺麗じゃない過去があったり実家が複雑だったりする岩永を受け入れる包容力が大きくなっていて、末長く安泰が望めそうなカップルだなぁと思いました。「愛している」なんて口に出すだけなら誰でもできるけれど、その言葉に自分と相手の人生を背負う覚悟を感じる宮田の堅実さにも好感が持てました。岩永は本当にいい伴侶を得たなと思います。描き下ろしの喧嘩のエピソードも好きで、こちらは一度交わした約束はきちんと守る岩永が素敵で、彼の株が上がりました。宮田も今の岩永を信じてもっと甘やかすくらいになっていってほしいですね。

治水工事も見届けたい

山中ヒコ先生の可憐なタッチで中華王朝ものが読めて嬉しいです。性別を偽っての後宮入りはBL界隈でたびたび見られる導入ですが、濡れ場の比重が大きくなりがちなところ、こちらの作品ではあくまで治水工事のために迎え入れたという名目が崩されることはなく、皆の洪水対策への熱心さもなかなか見応えがありました。龍楊が計画的に王佳を迎えたことはやはり想像通りでしたが、1巻では王佳の心を恋愛的な意味では捉えきれておらず、まだまだこれからといった印象。過去の出会いを明かさずにどこまで王佳の心に入り込めるか、2巻に期待したいですね。2人が初めて出会った時の王佳がいきいきしていて魅力的だったので、龍楊に対し再びそんな大らかな態度をとれる日が来るといいなと思います。

BL要素は薄いけれど、満足度は高い

◆こどもの体温(表題作)
BL要素はありませんが、年頃の子供を持つ父親・酒井の目線で、男手ひとつで育てた我が子が持ち帰ってくるトラブルを見守るストーリーに共感しました。私もすっかり、親側に共感する歳になったなぁとしみじみ。子供の愚かさは愛おしくも煩わしくも感じるものですが、結局自分も同じ歳の頃には同じくらい愚かで親を悩ませていたんだよなと。男同士でも手を繋げる酒井親子は、なんだかんだで良い親子関係を築けていて微笑ましかったです。

◆僕の見た風景
酒井父の高校時代の後輩たちの話。この3人の関係性がなんとも切なくて、読み終わった後心がぎゅっとなりました。事故で亡くなった人と、不自由な体になって生き残った人と、事故当日誘いをかけた本人でありながら無傷で生還した人。一体誰が一番辛いでしょうか。本当は比べられるものでもなく、それぞれに別の苦しみがあるはず。もらい事故であるが故に、恨みたくても恨みきることもできない。綾小路と黒田がやっと打ち解けて2人でなんとかやっていけそうじゃないと思ったら、そこで故人への想いが明かされ。でも傷付け合ってようやく得た今の空気は失ってほしくないから、これから何度でもお互いの胸を借り折り合いをつけて、強く生きていってほしいなと思いました。

◆彼は花園で夢を見る(表題作)
異国ものかつ時代ものの作品。大切な人がどんどん亡くなってしまう、自分の元から離れていってしまう運命にある人っていますよね。私はそれを前世の業だなんて思いませんし、不幸が偶然にも重なっただけのはず。でも、当の本人はとてもそんな風には思えないでしょう。男爵のいつも淋しそうな表情が切なかったです。でも、ほんのわずかな間でも本物の恋をした、愛を交わした経験は尊いものだし、別れあれば出会いもあります。独占欲が強くなってもおかしくないのに、最後まで誰も縛ることのなかった彼は、最終的には家族を手に入れました。優しい人柄は必ず報われると信じたくなりますね。

愛にハマるこれからの2人も見たいなぁ

ページ数多いなというのが初っ端の印象でしたが、読んでみたら途中でだれることもなくずっと面白く、結末が気になってどんどん読み進められました。哲学を愛する大学生って珍しいキャラで素敵ですね。高校倫理までの暗記科目として習う哲学は退屈だけど、実は人生や生き方に一番寄り添ってくれる、躓いたり迷ったりした時に道標となってくれる素晴らしい学問なんですよね。大人になってから哲学を扱った一般漫画を読んで、その面白さに改めて気付きました。

能美がなぜここまで自堕落な生活を送ることになったか、そこまで詳しい描写はありませんでしたが、元々家庭内でコンプレックスを抱えていたところに一人暮らしが始まれば、監視役もいませんし無意識に坂を転げ落ちるように逃避に走ってもおかしくないのかもしれません。でも、彼の哲学を愛する気持ちだけは本物で不変。本来は教授の手伝いもできるほどの優秀さを持っており、丹が体の相性だけではなく元々は能美のそこに惹かれていたという点は、大事なポイント。好きな哲学者が違うからこそ、なんであの人はこの学者が好きなんだろう?と余計気になったんじゃないかなと思います。

丹の理想の恋人からはまったく逆方向のかけ離れた場所に位置していた能美。でもやっぱり、初対面からありのままの自分を晒け出せる相手というのは実は一番貴重で、気付いたら己の心の奥深くまで入り込まれていたりするんですよね。体の相性が良くて、ムカつく時はムカつくと素直に言い合えて、哲学への愛は同じくらい。最初からお互い恋人になるにはぴったりの相手だったんじゃないでしょうか。本気の恋愛をしたことがなさそうな能美が、予想外に独占欲強めだった丹の愛にこれからどんどん溺れていくことを期待しています(笑)。

攻めが押せ押せで見ていて爽快

幼馴染同士が今は漫画家と担当編集として一緒に仕事をしているのって夢がありますね。楓の序盤から結構過激な瑛二へのアタックはすごかったですね(笑)。BL作品だと漫画家キャラは自信がなさそうな隠キャっぽく描かれることが多いように思いますが、彼の場合は一体どこでそんな手管を覚えた?と聞きたくなるほど、普段のスキンシップもそこから流れるように移行する性的な触り方も躊躇が一切なく、自信に満ち溢れています。ワンコ感がなくて、やっぱりこういう攻め好きだなぁと思いました。ただ、言い回しや瑛二の感じ方がベタなエロ漫画っぽかったので、楓の迫り方はこの勢いのままで、もう少しそこが抑えられていたらより好みだったなと思いました。

周りに振り回される前に2人でじっくり仲を深める期間が欲しい

うーん、1巻を読んだ時は確かにこの2人の今後にも高い期待値を持っていたのですが……。私の中では斉藤×富田カップルとの魅力の差がかなり開いてしまいました。ずっと同じ所をぐるぐるしているように感じるというか、一応ストーリー的には1巻ごとに1つ壁を乗り越えているはずなのですが、そこで関係性がぐっと深まったなと感じにくいんですよね。北川はワンコ攻めとはいえ夏目に気を遣ってばかりで全然踏み込まないし、夏目はそういう性格だとは分かっているものの、あまりにも北川に対しての愛情表現が薄いままだなと。

別に無理してデレなくても、富田の言う通り思っていることを素直に言ってみるだけで大分変わると思うんですよね。斉藤×富田は斉藤がリード上手だし、富田は悩んでいても斉藤の元に帰ってくる可愛らしさがある。一方、こちらの2人はお互い腹に一物を抱えていない真っ直ぐな性格なのに、なぜかいつもややこしく考えがちで、恋人としての醍醐味をまだほとんど味わえていないように見えます。気遣いばかりの攻めと、つっけんどんな受けという印象を更新していってほしいですね。

隙あらば自省に陥る恋人の心のケアも楽しんでいそう

斉藤が新たに雇った若者・坂本については、過去が明かされてもその言動が私には少々理解しがたい所がありました。が、斉藤や富田に懸想するような第三者ではなく、あくまで斉藤の過去に関わる人間として登場し、メイン2人の間に新たな化学反応を起こす役割だったのでやきもきさせられることはなく。富田が斉藤との恋愛によって今までの自分が変えられていくことへの戸惑いや自己嫌悪に少しずつ向き合い受け入れていく過程に共感し、いつも飄々としている斉藤が内心どれほど富田の心の機微に気を配っているかを知って、ひたむきな愛に萌えました。

一般的な恋愛では恋人の言動を何もかも先回りして考える必要はないと思うけれど、これが斉藤が本気になった時の愛し方であり、そうして恋人の動向をなるべく把握して相手の不安を取り除き、喜ばせることをたくさんしてあげたいというのが彼にとって一番の愛情表現なのかな、と思いました。他人の世話ばかり焼いて自身は恋愛に熱を上げなさそうな富田が、実は誰よりも寂しがり屋で恋人らしいベタな振る舞いを嬉しく感じてしまう人間だという、そのギャップが本当に可愛いです。まだまだ2人の続きが読みたいなと思います。

萌えが止まらない

この2人、あまりにも私の好みにマッチしていて、4巻を読み終わりたくないと思うほどでした。なんだろう、攻め受けどちらがということでもなく、斉藤も富田も本当にツボを突いてくるんですよね。表情の変化は乏しい斉藤が、富田を見つめる時の静かに甘くて熱烈な表情がたまりません。他人の仲を取り持つことができるほどの富田が、斉藤相手には恋愛初心者の思考といい大人だからこその思考が複雑に混じり合った考え方で向き合い方を模索し、でも彼から離れる選択肢はなくていつもちゃんと彼の元へ戻ってくる素直なところも本当に愛おしくて。

斉藤は自分たちの関係性も、互いの相手への好意もよく分かっているから、皆が合意の上でなら他人の恋人のふりも提案できたし、富田に誤解されそうな状況なら他人を家に上げない、見られてもいい状況なら家に上げる、と実は一貫した言動をとっています。でも、斉藤ほど自分たちの感情に鋭くなく、その時感じたことをありのまま吐き出すことができない富田にとっては、我慢を抱えながら斉藤の言動を冷静に読み取ることは難しく、相手を試すような行動はとりたくないという潔癖さもそれに拍車をかける。この微妙なすれ違いが非常に丁寧に描かれていました。

結構後半まですれ違っているのだけど、主に斉藤のおかげで要所要所で甘さが感じられるのでシリアスなストーリー展開で萌えが少ないということはまったくなく、むしろ読み進めるにつれ萌えが増していきました。富田が理解するまでには時間がかかったけれど、斉藤は常に富田との愛の生活を熱望している一途な男。恋人を慈しみたいという気持ちが視線に溢れているところが本当に素敵でした。田原も安易な当て馬にならず、一般的な理性を持っている人として描かれ、富田の誠実さや善意に応えるように彼自身も富田に正直に向き合ったところが良かったなと。北川の悪口を言っていたところから彼をここまで変わらせた、富田の人間性の素晴らしさを改めて感じました。

夏目の思考回路に寄り添えない

この2人は特に北川のペースに合わせてゆっくり歩いていく必要があるというのは分かるのですが、ちょっと今回も面倒だなと感じてしまう部分があり。本来お互い本音を隠さず素直に表現できるタイプのはずなのに、なんでそこまでややこしくなってしまうのかな?と疑問に思いました。斉藤が夏目の恋人を演じるという展開も、正直元彼に数回今の恋人に会わせろと言われたくらいで、ここまで大掛かりな計画をしなければならないほどか?と学生みたいなノリに感じてしまいました。

そして、どちらかというと夏目がよく分からないキャラだなと。元彼とごたついた時に1人でどんどん事を進めず、一旦立ち止まって北川の意思を確認してあげてほしかったし、北川みたいな相手にはもっと分かりやすく言葉や態度で示してあげてもいいんじゃなかなと思うシーンがあったり。せっかくお互い裏表のない性格なのだから、恋人らしい楽しみを満喫している2人を見てみたいです。

富田の涼しげな顔立ちが好き

そうそう斉藤のことも気になっていたのよね、やっぱり富田に脈ありだったのね、と開始早々からわくわくしていましたが、想像以上に萌えました! 人当たりのいいバーテンの斉藤がノンケの富田をどう手に入れるか、表に感情は出さずに内心いろいろと考えを巡らせていたのが意外でしたし、1巻ではすっかり夏目を見守る脇役に徹し自身は恋愛に熱中しなさそうに見えた富田が、実は寂しがり屋なたちで同性に絆される隙があるところが可愛いなと。

初めて体の関係を持つまでの流れも、まあいっかと考えがちな富田の流されやすさもリアリティがあり、そこから富田が自身の斉藤への本気度を自覚する展開も丁寧に描かれていて、1冊を通してとても質の高い作品だったと思います。甘えを見せるようになった富田も、堂々と富田を可愛がれて嬉しそうな斉藤も愛おしい。また2人の続きが読みたいです。