思い出ピアノ 止まった調べ 金沢の3台 再開めど立たず (original) (raw)
ぽつんとたたずむ「まちかど思い出ピアノ」。イベントを除き利用が中止されている=金沢駅西広場の地下道で
市「消毒など管理できない」
街中にピアノを置き、誰でも弾ける金沢市の「まちかど思い出ピアノ」。新型コロナウイルスの感染防止のため、春から利用が制限されている。「Your Scoop〜みんなの取材班(ユースク)」に「いつ再開するの?」との疑問が寄せられた。市は「定期的に消毒するなど管理しきれない」と説明し、再開に向けてのめどはまだ立っていない。取材すると、ピアノの鍵が壊されていたことも分かった。(堀井聡子)
人が行き交う金沢駅西広場の地下道に、グランドピアノが再開の時を静かに待っている。鍵盤は鍵が掛かって開かない。「ご自由にお弾きください」と書かれた立て看板には、クモの巣も。誰かが置いたノートには感想などが書かれているが、弾いた日付は三月二十三日で止まっている。
ピアノは駅西のほか、金沢駅東もてなしドーム地下広場と片町きらら前に計三台ある。不特定多数の人が弾くことで感染の恐れがあるとして、市は四月中旬から使用を止めた。市民の要望もあって、夏ごろから屋外コンサートなどイベントに限り使用を許可したものの、雨風にさらされやすい片町きららのピアノは倉庫にしまったままだ。
地下広場に弾きに来た同市の西川由起子さん(60)は「まだ駄目なの。密にならないし、消毒液を置けばいいのに」と残念がった。
市文化政策課の新保博之課長は「警備に消毒をお願いするとしても、ピアノが感染源になったら責任が取れない」と頭を悩ませる。
既に再開した自治体もある。神戸市は緊急事態宣言解除後の六月から、二十五カ所の二十二カ所で再開。消毒液を置いて手指消毒してもらい、飛沫(ひまつ)防止のため歌は禁じている。市の担当者は「市民から再開を望む声があった。もっと厳しく運用すべきだとの声もあるが、対策しながら運用できている」と話す。
富山駅構内の自由通路には北陸新幹線の開業に合わせ、富山市が置いた電子ピアノがあるが、コロナ禍でも利用を継続。市の担当者は「大勢の人が密集する場所でもなく、除菌などに気を配っている」という。
鍵が壊されていたのは、もてなしドーム地下広場のピアノ鍵盤のふた。今秋、発覚したが、いつ、どうして壊れたのかは分からない。前は広場の管理者が朝夜に鍵を開け閉めしていた。利用が制限され、関係者による監視の目が行き届かなかったことが背景にある。
新保課長は「こうなったら再開するという基準は設けていない。感染状況を見て判断する」と話している。
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