「グローバル複合危機への対応に善戦」、いま自画自賛している場合か (original) (raw)

任期の折り返し点を回った政府は、2年6ヵ月間、グローバル複合危機の中でもマクロ経済を安定的に管理したと自評した。先月の消費者物価の上昇率が1.3%にとどまり、今年上半期の輸出が前年比9.1%伸びたことを主要成果に挙げた。過去最高水準の雇用率や家計負債および国家債務の軟着陸なども強調した。7日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が国民向け談話で、「もう経済が伸び始めている」と明らかにしたことと軌を一にする。長期間の物価高や金利高で疲れた国民としては、戸惑った自画自賛といえる。

政府が自らよくやったという根拠として挙げた指標を確かめてみても、実際の成果と見ることは難しい。最近、物価上昇の勢いは衰えたが、すでに数年間にわたり物価高の衝撃が溜まっている。輸出は昨年末から回復しているが、7月からは増加傾向が鈍化し始めている。健全財政という言葉が顔負けするほど、2年連続で大規模な税収パンクが起き、様々な基金を動員して「急場しのぎ」をしている状況だ。過去最高の雇用率とはいえ、質の低い短期雇用のみ増え、雇用の質はむしろ落ちている。

政府が強調していない指標は、なおさら暗い。経済の総合成績表ともいえる国民総生産(GDP)の伸び率は、昨年の1.4%に続き、今年も2%台前半に止まるものと予想され、低成長が固定化している。現政権の発足当時、2600台だった総合株価指数(コスピ)は、政府の「バリューアップ」政策が顔負けするほど依然として2500台に留まっている。金利高の時代を経て借金を減らした先進国と違って、韓国は過去最大の家計負債と政府債務に押されて内需が回復できずにいる。

成績表と同様、経済政策の運用方法にも失望している。市場経済を強調し、構造改革の旗印を掲げたが、掛け声だけが大きく、成果を示すことはできなかった。不動産政策などは一貫性がなく随時覆され、省庁間の足並みが乱れ、かえって住宅価格と家計負債を刺激した。政府の生半可な価格統制と金利介入が繰り返され、市場歪曲を呼び起こした。経済に暗雲が立ち込めているにもかかわらず、昨年は「上底下高」、今年は「回復の兆し」という楽観論だけを説いた。

これからも心配だ。直ちに米国でトランプ氏が次期大統領に再び当選し、韓国の通商、産業、金融など経済全般に台風が押し寄せるものと予想される。それさえも、政府が掲げる指標である輸出と物価から揺れる恐れがある。政府は楽観論と自画自賛から脱し、韓国経済が直面している現実を冷静に判断し、任期後半の経済戦略を練り直さなければならない。