【悲報】日本では下流老人化や老後破産を防ぐ方法はない!?【書評】 (original) (raw)
「老後2000万円問題」をきっかけに老後資金に不安を感じている方も少なくないでしょう。
老後資金が不足した場合、どのような状態になってしまうのでしょうか。
誰もが不安に感じている老後資金不足の実態とその解決策を探るために下記記事で解説した『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』の続編、『続・下流老人 一億総疲弊社会の到来』を読みました。
「一億総疲弊社会の到来」という刺激的なサブタイトルが付いています。
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これからの日本では誰もが下流老人化、老後破産する可能性がある中、それを防ぐヒントが前作より詳しく書かれているのではないかと思い、手に取りました。
今回の本では「高齢者の労働と貧困」をテーマに「死ぬ直前まで働かざるを得ない」現実が描かれています。
「一億総疲弊社会」とは、どのような社会なのか?
他人事ではない厳しい現実を知るとともに、下流老人化や老後破産を防ぐ対策を考えてみたいと思います。
- 下流老人化や老後破産の5つの事例
- 日本社会が疲弊する理由とは?
- 一億総下流化を防ぐ解決策とは?自助努力はムダ?
- 自分の人生を自らコントロールし続けるためにできる事とは?
- 社会保障制度を知り、活用する
- まとめ
下流老人化や老後破産の5つの事例
前作に続き、今作でも下流老人化や老後破産した方の事例が5つ紹介されています。
5つの事例の中には、老後への備えについて考えが甘い方がいるのも事実。
しかし、豊富な貯蓄があり、月30万円程度の公的年金を受け取っていた方でも下流老人に転落した事例がありました。
日本は社会保障が脆弱なので、どんな方でも病気・怪我・事故などの想定外のことが起きると一気に貧困化への坂を転がり落ちてしまう可能性があります。
日本社会が疲弊する理由とは?
日本で高齢者が働く理由は勤勉な国民性などではなく、収入を得なければ生活できないからだと著者は指摘します。
日本の高齢者は「生きがいのために働く」のではなく、下記の理由で働いているのが現実。
- 下がり続ける年金受給額
- 上がり続ける介護保険料
- 上がり続ける生活費
誰もが陥る「死ぬまで働く」という生き方では、どんどん日本社会は疲弊してしまいます。
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一億総下流化を防ぐ解決策とは?自助努力はムダ?
では、下流老人化を防ぐために個人レベルでは何をすべきなのでしょうか?
著者の考え方をまとめると、下流老人化するのは自己責任ではなく、日本の社会保障制度の脆弱性が下流老人化・老後破産を生み出している。
個人レベルでの自助努力では下流老人化を防ぐ方法はないというもの。
社会保障を充実させることが下流老人化・老後破産を防ぐ
著者の藤田さんが提唱する下流老人化・老後破産を防ぐ対策は下記の通りです。
増税して社会保障制度を充実させることにより、医療費、介護費、教育費の負担をゼロ若しくは低額にする。
国により医療費、介護費、教育費などが保障されれば、下流老人化や老後破産を防げるだけでなく、生活の不安が消ることにより、過剰に貯蓄されているお金も消費に回り、経済的にもプラスになるというもの。
私も自己責任論には反対です。
下記記事で解説した通り、自己責任を他人に強要する社会はどんどん衰退していくでしょう。
著者の藤田さんは社会保障を充実するために増税することを提案していますが、増税する必要はありません。
日本には自国通貨建ての『国債』という安定財源があります。
国債を発行して社会保障を充実させていく。
約30年もの間、不況が続く日本で増税すれば、更に景気が悪化してしまいます。
増税ではなく、国債で社会保障制度を充実させていくことになれば、国民の老後への不安が和らぎ、過剰に貯蓄に回っていたお金が消費回るようになるでしょう。
消費にお金が回るようになれば、経済が活性化して、企業が儲かり給与も上がります。
給与が上がれば、結果として税収や社会保険料が増えるという好循環が生まれます。
なお、理想を求めて声を上げ続けることは重要ですが、声を上げ続けたとしても理想の社会が実現しない可能性もあるでしょう。
やはり、個人でも貧困に陥らない最大限の努力はすべき。
社会に期待するばかりでは、自分の人生のコントロールを失うことになってしまいます。
私は社会に期待するだけでなく、自分の人生の操縦桿を握る努力も続けたいと思います。
自分の人生を自らコントロールし続けるためにできる事とは?
疲弊する日本社会の中で自分の人生をコントロールし続けるためにできる事とは、どんなことでしょうか。
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現実を直視する
まず、日本で老後を過ごすことは、これからますます厳しくなっていくという現実を直視することが重要。
これからの日本では、下記のようなことが現実的に起きる可能性があることを想定しておく必要があります。
- 終身雇用の廃止
- 退職金制度の縮小または廃止
- 公的年金の支給開始年齢の引き上げ、年金額の引き下げ
これまでに比べて、今後は更に下流老人化や老後破産のリスクが高くなると考えるべき。
現実を直視せず、「なんとかなるのではないか?」と考えている方は、高い確率で下流老人化し、老後破産へと転落するでしょう。
下流老人化を引き起こす3つの「ない」を防ぐ
藤田さんの前著では、下流老人には3つの「ない」が存在すると指摘しています。
- 収入が著しく少『ない』
- 十分な貯蓄が『ない』
- 頼れる人間がい『ない』(社会的孤立)
上記の3つの『ない』を避ける対策が重要となります。
・収入の確保
「人生100年時代」には健康で長生きすることにより、少しでも長く働いて収入を確保することが必要です。
そして、老後の労働は「生きがい+収入」を得られるものであるべき。
生活のための労働は単純労働になる可能性があり、単純労働では十分な収入が得られず、心も体も疲弊する可能性があります。
若いうちから自分のスキルを磨き、「生きがいを持って」長く働ける状態を作る努力をすることが重要でしょう。
・蓄えを増やす
また、「人生100年時代」には収入の口を増やすために「お金に働いてもらう」という発想も必要。
お金に上手に働いてもらえれば、老後に働く必要がなくなる可能性もあります。
まずは、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)、つみたてNISAなど税制上優遇されている制度を活用し、「ほったらかし投資」を始めることをおすすめします。
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・社会とのつながりの確保
ライフ・シフトでも指摘されていましたが、お金などの「有形資産」だけでなく、人間関係という「無形資産」についても豊かにしておくことが人生100年時代には重要となることは間違いありません。
社会保障制度を知り、活用する
現実を直視し、老後への備えをしたとしても、下流老人化や老後破産を100%防ぐことはできません。
よって、困ったら迷いなく生活保護などの社会保障制度を使う心構えも必要。
生活保護などの社会保障制度を活用することは恥ではありません。
「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が日本国民にはあります!
社会のセーフティーネットを活用するために生活保護を含め、どのような救済制度があるのかを知っておくこも重要です。
まとめ
いい大学に入り、いい企業に就職し、終身雇用で引退。
年金を受け取り、退職金や貯蓄を切り崩して余生を過ごす。
上記のようなこれまでの発想を持っているようでは、非常に厳しい老後が待っているでしょう。
下流老人とは必ずしも低収入や老後の蓄えが乏しい高齢者だけが陥る訳ではなく、貯蓄や収入が充分ある人でも起こり得ます。
自分の人生をコントロールするために自助努力をしつつも、下流老人化や老後破産に陥ってしまった時には生活保護などの社会保障制度を迷わず活用するべきでしょう。
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