【映画】アリ・アスター監督『ボーはおそれている』を全力でネタバレしていく(1) (original) (raw)

やっぱりまだ語り足りないので、前回に続いて『ボーはおそれている』です。

(前回の記事はこちら↓)

www.fusakonoblog.com

陰キャおじさん版『不思議の国のアリスなこの作品。

もうねぇ、1シーン1シーン、語りたいことが爆発するんですよ。アリ・アスター監督の細部へのこだわりと、そこから醸し出される香り高い「嫌さ」が最高なんです。

この映画、ずーーーっと、嫌。

こんなに嫌な気持ちになることある? ってくらい、嫌。

しかし「あえてずっと嫌な気持ちになる」ことこそホラー映画鑑賞の髄なわけで、これまでホラー作品を送り出してきたアリ・アスター監督の経験がいかんなく発揮されているとも言える。

いちおう映画サイトでジャンル分けを確認してみたら「オデッセイ・スリラー」と書かれていました。なるほど、スリラーね。

しかし私がこれまでに見たどのスリラー作品よりもツッコミどころ満載なので、ツッコミ担当の関西人としては血がうずいてうずいて仕方ないわけです。

てな訳で、やらせていただきます。

すべてをネタバレするので、まだ観ていない方はご注意ください。あと3時間分の映画をすべて追っていくので、記事の長さにもご注意ください。

1万文字以上書きましたが、これで第1弾です。あまりにも長いのでシリーズで書きます。

目次

1. プロローグ

(1)出産

物語は真っ暗闇から始まります。

ドン、ドン、バリバリバリ…

戦場の音かなにかかな…? と思ったら、裂け目から光が差し込んできてぼやけた医師たちの顔が映ります。

手が自分に触れて、紐をチョキチョキ切っている。

どうやらここは分娩室。自分は今まさに生まれたばかりの赤ん坊のようです。

「息をしていない、泣き声がしない」と母親の泣き声が響きますが、まだ未熟な目と耳にはぼんやりとした印象です。

主人公、ボーがこの世に生まれた瞬間。

これが全ての始まりでした。

全ての悲劇の、始まりでした。

母親は「私の子どもを殺した」と助産師たちをなじりますが、刺激を与えられて赤ん坊は泣き始めます。良かった、良かった。

…なんかちょっとお母さんヒステリックな感じがするけど、ひとまず良かった、良かった。

(2)カウンセリング

カウンセラーの部屋に、くたびれた中年男性が入ってきます。どうやらこれがこの物語の主人公、ボーのようです。

まんまるに太ったサンタクロースみたいなおじさんカウンセラーに「明日、父の命日で帰省する」という話をするボー。

「どんな気持ち?」とカウンセラーに訊かれ、ボーが死んだ父親への思いを語り始めると。

そうじゃなくて、実家に帰ることについてどう思うの?」とカウンセラーに割り込まれます。

…なんか、嫌な感じのカウンセラーだなぁ……カウンセリングって対象者が語りたいことを傾聴してくれるんじゃないの…? ボーは別に、質問を勘違いした訳でもないと思うけど…?

…という観客の心情はさておき、ボーは特に気にする様子もなく「数ヶ月ぶりだし、帰れて嬉しいよ」と当たり障りのない返答。

するとカウンセラーは「なるほどー。罪悪感を感じてるんだね」と早合点。メモに「罪悪感」と書き記すほど。まるでボーが母親に罪悪感を抱いていると決めつけたいみたいです。そこまで深く考えていなかったボーは「??」な表情。

カウンセラーは続けます。「向こうでは何か計画している? 何か期待している?」

これまた変な質問。ボーは答えが浮かびません。

するとカウンセラーは言います。

「井戸水を飲んで病気になったら、その井戸が安全だと思ってまた行くかい?」

……。

実家=病気になる井戸水ってコト……?

ボーも思い当たる節があるみたい。どうやらボーにとって、実家は心地よい場所ではなく、帰るたびにしんどい思いをする場所みたいです…。もしかしたら、これまでにボーが打ち明けた母との確執から、カウンセラーとしてはボーの母親への複雑な心情を読み取っているのかもしれません。

「母親に死んでほしいと思う? 別にそう思うことはおかしいことじゃないよ。そういうことを吐き出すためのカウンセリングだよ」と追い討ち。しかし、そんなことを考えてもいなかったボーは「はぁ??」って感じで否定します。

けっきょく話はそこで打ち切り。不安感に効く薬を処方されてセッションは終了です。

処方箋を渡される際に「この薬は、必ず水と一緒に飲むように」と念押しされます。

(3)母へのお土産

カウンセリングからの帰り道。ボーは母親へのお土産を買っていくことにします。

露店で見つけた手のひらサイズの、真っ白なマリア像

露店の棚の中でこれだけが一際、光って見えます。特殊な演出はないのに画面を見ただけで「ボーはこれを買うんだ」と観客に分からせる、演出の腕が光ります…!

…ところでこの街、なんだか変です。

歩道橋の上でフリーマーケットが開かれているようなのですが、少年がめちゃくちゃ小銃を物色していたり、はぐれた子どもにブチギレてるお母さんがいたり、ビルの上から飛び降りようとしている青年を地上のみんなで煽りながら動画撮影したり。

現実のようでいてなんだか違和感のある物騒っぷり。

そこに鎮座する、デンタルフロスの広告。

これは何なんでしょうね〜…。

2. デス・シティ

(1)夜のデス・シティ

シーンは変わって、夜。

今度は商店街…というか歓楽街みたいな夜の街でしょうか。通りには音楽が流れ、人通りも多く賑わっています。

しかしこの街、さっきに輪をかけて、なんか変。

店の前でパンツ一丁で踊る男、やる気なさそうな客の男をグイグイ引っ張っていく娼婦、通行人をひたすら追い回す下半身裸の老人、キッチンカーでスープを買った瞬間にその熱さにぶちまける全身刺青男…。

刺青男が目を凝らすと、通りの向こうから全力疾走で向かってくる男がいます。

ボーです。

ボーが全速力でこっちに向かってきます。

ボーと分かるや、刺青男はボーを追いかけ…間一髪、刺青男に捕まる寸前に、ボーはマンションのエントランスに逃げ込みます。

どうやらボーは毎日、マンションに入り込もうとする刺青男を阻止しながらエントランスに入る、ギリギリの攻防をしているようです。

…どういうことだか分からないと思いますが、私もこれを見ている時、どういうことだか分かりませんでした。

さて、ひとまず安心してマンションの自分の部屋へ…向かいますが、廊下の壁も罵詈雑言の落書きだらけ。

終わってます。

端的に言って、終わってます。

終わっているデス・シティ。これがボーの暮らす街なのです。

この時点で観客は気づきます。

あ、これ、完全なるファンタジーだ。

カウンセリング、都会の街並み、夜の繁華街、どれも他のアメリカ映画で見たことのある現実的な世界…ですが、これは「現実の世界を下敷きにしたファンタジー」です。だってこんな街、ないんだもの。ファンタジーの代表「バットマン」のゴッサムシティも真っ青なクレイジーシティなんだもの。クレイジーな人で溢れたクレイジーな架空の街。それがこの物語の舞台です。

何の説明もなく「架空の物語の不条理劇」であることを観客に理解させる描写力。さすがアリ・アスター。今後への期待も高まります。

(2)さいあくの夜

マンションのフロアに着くと、パイプ工事をしている業者のおじさんが。どうやら水道が壊れているようです。お互いに挨拶も何もしないあたり、この街の終わってる感がまた感じられます。

自分の部屋にたどり着くと、ドアには「毒グモ注意」の貼り紙が。

そしてカメラが切り替わって室内が映ると… 毒グモ、いるやーーーん。

分かってたけどね。お約束ですね。毒グモによってボーがどんなヒドい目に遭うのか、見ものですね。

どうやらボーは一人暮らし。少ない家具で広い部屋を持て余し気味です。

冷凍食品で1人寂しいお夕飯。

いつもの習慣で「お父さん」に挨拶をします…亡くなったお父さんの写真に向かって。

そのお父さんの写真も、顔がブレブレで見えていない…。

「顔がよく見えないお父さん」というのがボーの人生における父親の存在感の無さ、曖昧さを表しています。

それにしても、せっかくの遺影に、この写真しかなかったんかね…。

残念すぎる…ボーの家族関係や過去や未来の全ての残念さが、この1枚の写真に凝集されています…。

夕飯後にテレビを点けると「連続殺人犯」のニュースが。

真っ裸の男がナイフ一本で通行人を襲っているそうです。まだ捕まっておらず、捜査中だとか。物騒ですねぇー。

やだやだ。寝よ寝よ。明日は実家に帰省だし。

テレビを消す前に最後に映るのは「MW」というロゴの男性用シャンプーのCMです。(何でしょうねー。)

明日の帰省の準備に、お母さんへのお土産にメッセージをしたためるボー。

マリア像の底の部分に、ペンで「ママへ。ごめんね」と書きます。…なんだか母への贈り物のメッセージにしては卑屈な感じです。最後に「Love」と書こうとして、ペンが掠れてしまい、書き切ることができません…お母さんへの愛のメッセージを綺麗に書き切ることができないボー…。た、たまたまだよね、ペンが掠れたのはたまたまだよね…。いや分かるよこれが映画的な演出だって、そりゃ分かるよ、でもでも違うよねボー、たまたまだよね…!

新しいペンを取り出すために引き出しを開けると、懐かしいポラロイド写真が。そこに映るのは水着姿の女の子。「私の写真を楽しんでね。エレイン」とメッセージ入り。ボーは思い詰めたような表情になります…昔、何かの関係があった女の子なのでしょう…。

さて、おやすみタイム。電気を消してベッドに入りますが、デス・シティは眠りません。窓の外にはピンクのネオンが明るく光り、通りからは常に誰かの怒鳴り声が聞こえます。

でもそんなのは慣れっこのボー。気にせず眠ろうとします…が。

ふと夜中に目覚めると、玄関ドアの隙間からメモが入ってきました。

「音楽の音量を下げてください」とう手書きのメッセージ。

時刻は深夜1時。覗き穴を見ても、廊下には誰もいません。

…おかしいな。ボーは音楽なんて鳴らしていないんですが…。

勘違いされたのかな、と眠りに着くボー。

しかし1時間後。

またメモが。

「睡眠の邪魔なんですけど!」

いや、音楽なんて鳴らしてな…。

さらに1時間後。

ドアの隙間から投げ込まれたメモがボーのベッドサイドまで滑り込んできます。

「音を下げろって言ったのに、上げたのか!?」

完全にホラーです。たぶん本作で唯一のホラーシーンです。安心してください、これ以上のホラーは今後ないです。

どうやらメモの主は隣の部屋の住人だったのか、当てつけに大音量で音楽を流し始めます。(こっちは音楽なんて鳴らしてないのにぃ…!)今度はこっちがうるさくて眠れないボー。クッションで耳を覆ってなんとか眠りにつきます。

(3)さいあくの朝

目が覚めると、時刻は午後3時50分。

しまった。完全に寝坊した。

目覚まし時計が鳴っていたのに、クッションで耳を塞いでいたせいで聞こえなかったのです…!(不運!)(にしても午後3時は寝過ぎィ!)

飛行機の時間は5時25分。大慌てで準備をして家を出ます。

洗面所のものを詰めて、お土産のマリア像もしっかり持って、家を出て鍵を閉め…ようとした瞬間に忘れ物を思い出します。

洗面所のデンタルフロス(糸ようじ)。

鍵をドアに刺したままボーは取りに戻ります。

デンタルフロスをわざわざ? どこでも買えそうなのに?

まぁでもとにかく、ボーにとっては大切なのでしょう。衛生観念が強いのかもしれないし。

フロスを持って準備万端、今度こそ出発…しようと思うと、ドアに刺していた鍵がない。玄関においていた旅行鞄もない。

さいあく。(画像は映画.comより)

盗まれた。

デス・シティなら起こり得ることです。

途方に暮れるボー。

…鍵と鞄が盗まれただけでなく、ドアに下には大量のメモが。

昨夜の「音楽がうるさい」という苦情メモ、ボーが眠った後も大量に届いていたのでした…。

ボーはこれについては特に気に留めない(それどころじゃない)んですが、ボーが気にしないところまで「嫌さ」を重ねてくるこの物語、只者じゃないね。

メモは放っておいて、鍵と鞄を探さなければいけないボー。

ちょうど、廊下に掃除夫らしきオジサンが通りかかったので「ここに置いていた鍵と鞄、見なかった?」と尋ねますが…。

「お前は終わりだ」と嘲笑われます。

「ちょ、え、何でそんなこと言うの!?」ボーは言い返しますが答えは返ってきません…。

何これ、何でこんな目に遭わなきゃいけないの…?

(4)母の失望

ひとまず、部屋に戻って体制を立て直そう。財布とスマホは手元に残っていたことが不幸中の幸いですね…。

まず管理人さんに電話。スペアの鍵を貸してくれるかもしれません。

電話をかけて名乗りますが、「営業電話はお断り!」と、とりつく島もなく電話を切られてしまいます。自分は住人だと説明しても聞く耳も持たれません…。

…なんかこの「コミュニケーションの最初の一歩目から、悪者扱いされる」感じ、中年男性の悲哀が感じられます…。

現実はここまでじゃないかもしれないけど…「普通に話しかけただけなのに暴言を吐かれた、迷惑業者扱いされた」って人、現実にもいるんじゃないですかね…。

管理人さんは後回しにして。

実家に電話です。遅れることを伝えなければ。

まずは優しい声の家政婦が電話に出ます。家政婦を雇える裕福な実家のようです。(なのになぜボーはこんなデス・シティに住んでいるのか…?)(この謎は最後まで解けません…答えは「監督がボーを困らせたかったから」かも…。)

家政婦に取り次いでもらって電話に出たお母さんの声はウッキウキ。久々に息子に会えるのが楽しみで仕方ない様子。

その声の明るさがより一層、ボーの心を陰らせます…。

「もう空港? タクシーの中?」とウキウキの母に、ボーはなんとか説明します。

「ママ…心配させたくないんだけど…行くつもりだったのに、昨日うまく寝れなくて…音なんて出してないのに隣人に苦情メモを何回も入れられて、それのせいで寝坊して、それで慌てて出ようとしたら忘れ物して、忘れ物を撮りに行ってる間にドアの鍵を抜かれたの」

…いや説明下手か。

なんかもうこの一往復のやりとりだけでボーの残念さが完全に分かります。

まずは「飛行機に遅れそう」という状況説明と「楽しみだったのにごめんね」の謝罪でしょうが。理由の説明は後でしょうが…そんで説明したってこんな不可解な状況、伝わらないし…。なんだこの容量を得ない長ったらしい説明。そんで肝心な「遅れるのか間に合うのか」は言ってない。

これが子どもだったら…いやギリギリで二十歳までなら許されると思う。「もっと端的に説明する癖をつけようね」と諭されるだろうけど、私もこういう要領を得ない説明(そのくせ必要情報は何も含まれていない吐露)を新社会人の頃はしていたと思う。しかしボーはどう見てもオッサンなんだよ…!

これまでボーが仕事をしているシーンはなかったし、仕事をしている素振りも一切ないのですが、「この人、デキない人なんだろうなぁ…」という白けた冷たい風が観客の心に吹き通ります。

一回のセリフだけでそれを伝える脚本、あっぱれ。

もちろん、白けてるのは観客だけじゃないですよ。もちろん、母親も面食らいます。

あまりの息子の残念っぷりに絶句する母。

無言の母に「あれ? ママ? もしもーし?」と呼びかけるボー。

母親は一気に暗い声になり「分かった、もういい」と一言。あ、完全に切れた。切れたと言っても頭がプツンと切れたんじゃなく、母親の中で「ボーを切った」。こいつもうダメだわ、と相手を見限った冷たい声色が、電話口から伝わってきます。

しかし残念な男・ボーはそんなこと察しません。

「よくないよ、何が分かったの?」

「分かったわよ、鍵が盗まれたんでしょ、それは大変ね」

…あれ、もしかしてお母さん、ボーが嘘をついたと思ってる…?

ボーが実家に帰りたくないがためにギリギリのタイミングで嘘の話をでっちあげた…そんな息子に失望した…そんな母親の怒りが言葉の端々から伝わります。

いやいや、違うんだよ、鍵は本当に盗まれたんだよ…! 確かにボーのトークは壊滅的だけどそこまで心根の悪い奴じゃないんだよボーは…!

観客の擁護むなしく、母親はどんどん冷たくなります。

「会うのはまた今度ね。そんなに来るのが嫌なら、こっちから行ってもいいし」

どんどん冷たくなる母親に焦り、なんとかリカバーしようとするボー。

「行くのが嫌なんてことないよ! 今からでも行くつもりだよ! 僕、どうすればいいと思う?

沈黙の後、母は言います。

「あなたが正しいと思うことをするのよ」

ボーは折れません。

「その『正しいこと』って何? ママにとっての正しいことは何? 警察呼べばいいかなぁ、今からでもそっちに行く方法はあるよねぇ。でも鍵をかけずに出るのって安全かなぁ。街は物騒だしさぁ、大丈夫かなぁ、ねぇどう思う?」

残念。

残 of the 念。

お願い。お願いだから、母親に対してだけこうなのだと言って。電話の相手が母だから、ついつい子どもモードで甘えちゃうんだと言って。いい歳した中年がいつまで経っても無駄な御託をくどくど並べて何も問題を解決できず、相手にばかり判断を求め、相手に見限られそうだと気づくとご機嫌伺いをするそんな幼稚で甘ったれた性根なわけじゃないと言って。ねぇ、そうだと言って。

…完全に呆れた母は「もう切らなきゃ」とため息混じりに電話を切ります。

ボーは「一緒に問題を解決しようよ!」と縋りますが(どの口が言う)、もう電話の先に母はいないのでした。

息子の帰省にハイになったり、帰ってこないとなると一気に不機嫌になったりする母親も、まぁ「親心」の範疇ではありますが、面倒くさいところはあります。この母親の気分のアップダウンに、ずっとボーは振り回されてきたのでしょう。そのせいで、母親の顔色ばかり伺って判断を委ねる芯のない人間になってしまったのでしょう。

でも母親から離れて独り立ちをした今でもその性根が変わらないまま、中年になってなお「どうすればいい? どう思う?」と聞いてばかりのボー。

これには呆れてママも電話を切りますわ。誰だってそーする、俺もそーする。

(5)マンションへの侵入

母親に一方的に電話を切られて途方に暮れるボー。

窓の外から街の喧騒が聞こえてきます。(街の喧騒、というと人の話し声や車の音なんかで賑やかな街の様子を想像するかもしれませんが、こちらはガチで物騒なタイプの喧騒です。)

叫び声やパトカーのサイレンまで聞こえて、どうやら事件が起こっているらしい。

…え、やばいじゃん。

このデス・シティで家の鍵かけれないって、致命的じゃん。

みるみる不安が押し寄せてくるボー。何としても身を守らねば。ソファを動かしてドアが開かないようにして、処方された薬を飲みます。

が、水がない!

ペットボトルの水は切れていて、しかも水道は全館工事中。

運悪すぎ。

でもボーの悪運はこんなものではありません、ここから悪運の万国博覧大行進です。

不安でパニック状態のボー。

冷蔵庫の食べ物で代用しようとか、そういう発想はありません。

だって薬の容器に「必ず水と飲むこと」って書いてあるもんーーー!!!

Googleで「ジプノチクリル(薬の名前) 水なしで飲んだら」を検索したら「最悪の場合、死に至る」とか出てくるしーーー!!!!

(ちなみにこの「ジプノチクリル」、特に情報が出てこないので架空の薬みたいです。ファンタジーだね。)

ボーの強迫観念が沸騰します。融通なんて効かない。周りなんて見えない。何としても水を。水を飲まねば。

窓から外を見ると、マンションの向かいのコンビニにいくらでも水は売ってある。

しかし通りは物騒なデス・シティ。謎の男が人に馬乗りになって、両手の親指を目に突っ込んでる。(意味が分からないと思いますが、そのままの意味です。)

背に腹は変えられない…。意を決して、ボーは外へと向かいます…。

マンションのエントランスの前にはドラッグ中毒らしき浮浪者がフラフラしているけど気にしてはいけない…。

廊下にあった電話帳を扉に挟んで、自分が閉め出されないようにして…。

いざ出陣!!

全速力で駆け出すボー。

ドラッグ中毒の浮浪者をエントランスドアと壁の間に挟んでしまいますが、そんなこと気にしてられない。

ダッシュするボーに並走して「助けて助けて助けて助けて」と連呼する男がつきまといますがそんなことも気にしてられない。

店の前で裸で踊っている男がいますが気にも留めない。

ギリギリのダッシュで、無事、コンビニに入店。

コンビニに入ると「助けて」男は入っては来ません…なんかテレビゲームのフィールド上のモンスターみたいだな…。

あまりに慌てているボー、店頭のペットボトルの水をその場で開封してガブガブ飲み始めます。

ひとまずこれで、薬の副作用はセーフ!!

あとは、開けっぱなしのエントランスから通りのクレイジー町人たちがマンションに入ってしまわないよう、早くお会計して戻らねばなりません。

レジでクレジットカードを出します…が、なぜか支払い拒否されます。

不運!

仕方がないから現金で支払いますが、クレジット払いをするつもりだったので持ち合わせがほどんどありません。

代金はたったの1ドル79セント。財布やポケットの中身をあるだけ出しますが、それでも足りない。

店員は「払えないなら通報するぞ」と脅してきます。

しかしそうしている間にも、エントランスが開いていることに気づいたデス・シティの住人たちがボーのマンションに侵入しています…!

ヤバい…! マズい…!!

大慌てのボー。でも現金が足りない。店員は「あと5セントだぞ、通報するぞ」と威圧してくる。

次々にマンションへ侵入するデス・シティ・ピーポー。

絶望するボー。

急かす店員。

レジ横の募金箱の中身をぶちまけて「これで足りるだろ!」と吐き捨て、ボーは一目散にマンションへ戻ります。

…が、あと一歩のところで侵入者にエントランスを閉められてしまい、ボーはマンションに入れなくなってしまったのでした…。

(6)一夜明けて

通りから窓を見上げると、他の住人の部屋をデス・シティ・ピーポーが強盗しているようです。鍵がかかっていないボーの部屋も時間の問題でしょう…。

途方に暮れて通りに佇むボー。

まるでさっきまでの喧騒が嘘のように、通りには人っこ一人いません。あんなに賑やかで人通り多かったのに。

いくらなんでも、こんなに人いなくなる?

笑っちゃうくらい、通りは静かです。

あの喧騒を生み出してた住人たちが全員、ボーのマンションに収容されたってこと??

ボーは絶望します。

ボーの絶望をよそに、街は夜を迎えます。

ちょうどマンションの外壁工事で足場が組まれていたので、そこに上がって足場の上で一夜を過ごすことにするボー。

窓から自分の部屋の中が見えます。そこはもうカオスです。

陽気な音楽で踊る人、料理を楽しむ人、セックスする人、ただボーッと座る人、喧嘩をする人、その横で黙々と皿洗いに勤しむ人…例の全身刺青男もいます。

人間の全ての欲と衝動と快楽と幸福を一つの部屋に詰め込んだかのよう。カオスですが、それぞれにそれぞれの過ごしたいように過ごしている楽園のようですらあります。ヒロエニムス・ボスの絵画「快楽の園」を思わせるような光景。

ヒロエニムス・ボス「快楽の園」(画像はWikipediaより)

諦めて、ボーは足場の骨組みにもたれて夜を明かします。

朝。

ボーの顔の上にネジやら木屑やらが落ちてきて、目を覚まします。

隣では工事のおじさんが黙々と作業しています。ボーには一切、見向きもしません。

工事現場の足場の上で私服の中年男が寝てたら、普通は不審がって起こしたり追い出したりするはずですが、デス・シティにそんな常識は通用しません。

この距離で声かけないってある?(画像は映画.comより)

外の壁には "JESUS SEES YOUR ABOMIATIONS" 「イエスはあなたの忌まわしい行いを見ている」と書かれています…意味深ですねぇー…。

マンションに入れないか確かめてみると、デス・シティ・ピーポーによってエントランスのガラスが完全に破られていました。そのおかげで自分の部屋に戻れたボー。

マンションの中はすっかり静かです。どうやら人々は去ったみたい。

自分の部屋の前には刺青男が倒れている…っていうか死んでいる…。死因は分かりませんが首に怪我があるみたいです…。スマホで警察に電話しようとした形跡があります。何か揉め事があったのでしょう。

部屋の中は至って静か。

リビングの家具はめちゃくちゃだし、壁に穴は開いてるし血はついてるし、キッチンは悪臭が漂い、ミキサーはつけっぱなし、ベッドには何かを焦がしたあとがあったり壁に汚物がこびりついていたりしますが、とりあえず大丈夫っぽい。

今のうちや!!

ボーは大急ぎで刺青男の死体を跳ね除け、玄関を閉め、やっと自分の部屋に戻ります…。

(7)母の死

誰もいない自分の部屋で落ち着いたボー。

散乱している家具の中からパソコンを拾い集めます。

モニターには靴がブッ刺さっているのですが、なんとか画面は映ります。「靴がブッ刺さったモニター」、なかなか良いビジュアルです。グッズにして欲しい。それで画面が映るのも最高。

改めて実家に帰るべく飛行機を予約しようとしますが、クレジット支払いが通りません。うーん、困った。手詰まりです。

1日経ってしまったので、母に連絡しておきます。きっと心配しているでしょう。もしかしたらまだ怒ってるかも。

留守番電話に繋がれたので「飛行機を予約しようとしたんだけど、カードの支払い拒否されちゃった」とメッセージを…入れますが、「録音できませんでした」という機械音声が流れます。(理由もなく留守番電話に「録音できませんでした」って言われるって、そんなこと、ある??)(あるんです。なぜならボーだから。)

おかしいな…。もう一度かけなおしてみるボー。

「もしもし?」

知らない男の声。

「あれ? 母親の電話番号にかけたつもりだけど…どちら様?」

「宅急便の配達員です。警察に通報しました。えーと…お母さんの特徴は?」

…何だろう、この会話は。

「母の特徴? 茶色の目で赤っぽい髪で…」

「えーと、顔じゃなくて身体の特徴は…?」

「何でそんなこと聞くの? 警察に通報って何?」

「僕は何も知らないよ、何もしてないよ。荷物を届けにきたら様子がおかしかったから中に入ったら…女性が部屋に倒れていて、頭にシャンデリアが落ちて頭が潰れてた」

きました。

きましたよ。

嫌な死に方を考えるの大好きアリ・アスターの腕の見せ所。

どうやらボーがマンションから閉め出されていた間に、実家の母親の頭にシャンデリアが落ちて、母は死んだようなのです…。

配達員もボーもパニックです。何これ、何この状況。

お互いに大慌て。

配達員が「もしかしたら勘違いかも! もしかしたら君のかけ間違いかも! 一回切って、もう一回お母さんにかけてみなよ!」と捲し立てます。

ボーも「確かに、確かにそうだね! 一回切るね!」と電話を切り、もう一度、母親の番号に電話をかけます…。

残念なお知らせ。

電話に出たのは配達員でした…。(母の死、確定演出…。)

母が死んだのです…。

昨日まで、ボーの帰省を楽しみにしていた母親が…。

ボーが残念すぎて失望し、電話を切った母親が…。

「ごめんね」と書いたマリア像をプレゼントしようとしていた母親が…。

カウンセラーに「母親に死んでほしいと思う?」と聞かれて否定した、あの母親が…。

絶望したボーはスマホを落とします。

アリ・アスター監督、物語の冒頭で「家族の死の嫌さ」で観客を惹き込むこの手腕は何なんでしょう…。「どのように家族が死ぬか」「主人公がそれをどう知るか」というシチュエーション作りにどれだけ凝るんでしょう…。

嫌な感じで家族が死に、嫌な知り方でその死を知る…。

どうやらずっと確執があったらしいお母さんと、最後の会話は「飛行機に乗り遅れちゃう、どうしたらいい?」「もう行かなきゃ」という険悪なもの。プレゼントに用意したマリア像は渡せず、その裏に書いたメッセージは届かない。

その死に方も「シャンデリアで頭が潰れる」という凄惨な状況で、もう母の顔を見ることは物理的にできない、その目で死を確かめることもできない。第一発見者は赤の他人の配達員…そして母が死んだことが「掛け直した電話に配達員がまた出る」というギャグみたいなフリオチで確定する…。

嫌だね〜〜〜〜〜〜〜〜……。(しみじみと)

(9)旅立ち

スマホを落としたまま立ち尽くすボー。母を失う絶望とは、それくらいショックなものでしょう。

気がつくと、水道が溢れてリビングまで流れてきています。そういえばお風呂を溜めていたのでした。

湯船に浸かって落ち着くボー。

右手には、母の死を告げてきたスマホ

左手には、母にあげるはずだったマリア像。

心を落ち着けようとカウンセラーに電話をかけますが、留守電に繋がってしまいます。留守録に何の言葉も入れる気力もなく、無言で電話を諦めるボー。

洗面台には若かりし頃の美しい母親の写真が飾ってあります。腕に抱いている赤ちゃんは、生まれたばかりのボーでしょうか。まるでボーが買ったマリア像まさにそのもののようです。

色々あったけど、ボーにとって母親とはこの聖母マリアのような存在だったのでしょうか…。

母を失った悲しみに、涙が込み上げてくるボー。

…しかし湯船に落ちた水滴は、ボーの涙ではなく…天井から滴り落ちてくる…水滴…?

結露した水が落ちてるの、かな…?

ボーが天井を見上げると、そこには。

知らないおじさんが天井に張り付いてる。

壁が狭くなっている部分に、腕と足を突っ張り棒の要領で突っ張りながら、なんとか天井に張り付いています。SASUKE状態のおじさんです。

どゆこと????

デス・シティ・ピーポーのカオス・パーティーから逃げ隠れていたのでしょうか。

にしても、いつから? なぜここに?? 何してんの?????

説明は何もありません。

ただ泣きそうな顔で「お願い…お願いだから…」とボーに懇願してきます。

もう手足の限界。長時間、天井に張り付いていたのでしょう。SASUKEおじさんは汗だくです。おじさんの汗がボーが浸かっている湯船に滴り落ちます。

あまりの状況に体が動かないボー。SASUKEおじさんはもう体力の限界ですが、なんとかボーの上に落ちないようにギリギリ耐えようとしている…。

そこへ。

おじさんの顔に毒グモが。

そういえばまだ登場していなかった毒グモ、てっきりボーが噛まれて毒に侵されるんだと思っていましたが、**アリ・アスターはそんな生ぬるくない。**

毒グモにただ毒を盛らせるなんて単純なことはしないんですね。しっかり振りを利かせていた毒グモの最も有効な使い方は何か。

入浴中、天井に張り付いていたおじさんの顔に毒グモが這うことで、驚いたおじさんがボーの上に降ってくる。これしかないよね。

おじさんは見事、ボー上に着水。

パニックに陥ったおじさんとボー。二人の中年男性が、揉み合いへし合い、湯船の中で溺れそうになります。

もうね、ここで完全に分かったね。

この映画、ギャグだわ。

ボーの視点で水中に沈んだり浮かんだり、かなり切迫感のある溺れシーンなんですよ。おじさんもボーも水を飲んで今にも溺れ死んでしまいそう。

でもここ、湯船だから。膝くらいの深さしかないから。溺れる方が難しいから。

何がどうパニクってたって、健康な中年が抱き合ったまま溺れるこたぁないんですよ。それを演じ切った二人の俳優に拍手を送りたい。

そんな観客の心中のツッコミをよそに、ボーは何とかギリギリ、湯船から脱出します。もちろん、ボーはパニックです。命からがら部屋を逃げ出し、真っ裸のままマンションを飛び出します。

エントランスは割れたガラスの破片が飛び散っていますが、なんのその。パニックのボーには前しか見えていません。ガラスを踏みながら通りへ飛び出した、ボーの目の前には。

例の連続殺人魔が。(不運!!!)

「ファッキュー!」と叫びながらナイフを振り回す全裸の殺人魔。

驚いてボーは逃げ出します。

通りの向こうへ走っていくと、女性と談笑している警官を発見!

「助けて!」と叫びながら駆け寄りますが……全裸でパニックで駆け寄ってくる中年男性=怖すぎ。警官はボーに銃を向けて「止まれ!」と発します。

「風呂場に男がいて! 通りには殺人鬼がいて…!」泣き喚くボーは側から見ると完全に不審者です。警官は「動くな!」とボーを牽制しますが…ブルッブルに震えています。

どうやら新人の弱虫警察官らしい…「お願い、俺に撃たせないでくれよ…」とブルブル震えながら銃を構える警官…彼も完全にパニックになっています。住人も終わっていれば警官も終わっているデス・シティ。

「武器を捨てろ!」と警官は叫びます。

どうやらボーがずっと握っていたマリア像が不審な武器に見えたのでしょう…。仕方なく手を離すボー…。非情にも、死んだ母へ渡すことができなかったマリア像はコンクリートの上で割れてしまいます…。

それでもまだパニックの警官。「動くな! 動くんじゃない!!」としきりにボーに叫びます。「動いてない!! 指一本、動いてない!!! 完全に止まってるから!!!」とボーは主張しますが、もう今にも撃ちそう。

いやこれ撃つわ。

完全に危険を察知したボー。

警官とは逆方向に走り出します。

もちろん警官は発砲しますが、さすが新人、弾は当たりません。

しかしボーが走り出した先には、例の連続殺人魔がいる。ボーに向かってナイフを振り回している。

殺人魔に刺された死体も転がっている。

どこへ逃げればいいんだ…!!

パニック状態でとにかく走るボーは、トラックに撥ねられます。

3. 記憶

真っ暗…。真っ暗な中に、小さな光…。これは、水面…。

水面から目を移すと、どうやらここはバスタブの中…お風呂に浸かっていたみたいです…。

そういえば、冒頭のカウンセリングのシーンで「またあの夢を見た」という会話がありました…。お風呂に入っている時の夢。この夢のことです…何度も見る、ボーにとってトラウマの夢…。

湯船の向こう、洗面台のところに女性と少年がいます。

赤っぽいパーマヘア。若い頃のお母さんのようです。じゃあ、お母さんに叱られているらしい男の子は…子どもの頃のボー…?

お母さんがこちらに気づいて、何かこちらに叫びます。何度も、何度も何かを叫びますが、何を言っているかは分かりません。鳥の鳴き声みたいな、そんな声に上書きされてお母さんの声は分かりません…。

鳥の鳴き声…。

鳥の鳴き声で、ボーは目覚めます。

目が覚めると、そこは。(画像は映画.comより)

ボーが寝ていたのは、メルヘンルームでした。

第1回は以上です。

これで40分、映画の1/3弱です。いかがでしょうか。

最高ですよね。

母親関係の描写は伏線となっていて、今後の展開の中でいろいろと回収されていくんですが、クレイジーな人々は基本的にモブです。その後の物語には一切関係ありません。暴言吐いてきた掃除夫も、全身刺青男も、SASUKEおじさんも、「助けて助けて」も、連続殺人魔も新人警官も、その後まったく登場しません。

ただただ、この街のクレイジーっぷりを表現するために、そして主人公・ボーを不幸のどん底に突き落とすためだけに用意された舞台装置。

前後の脈絡なく、一切の説明もなく、これといった考察のしがいもなく、ただ装置としてボーを困らせる。不運と不幸のアトラクション。

ただの装置なのですがしかし、リアルとファンタジーの塩梅が素晴らしい。

母親のちょっと面倒な感じとか、ボーの人格の残念さとかはめちゃくちゃリアル。「あ、確かにこういう人いるわ…」という、ちょう〜〜〜ど嫌なライン。かつ、二人が絶縁状態というわけではなく、まぁ複雑な思いはありながらも帰省は定期的にして親子関係は保っている…でも会うたびにちょっと嫌な気持ちにもなる…そういう親子関係ってあるよね…という、苦いリアルさ。

冒頭のおかしなフリーマーケットも、物騒な銃が身近にあったり、飛び降りようとする人をスマホで撮ったりと、「なんか嫌だな、変だな」とは思うけど、ギリギリ現実にもありそうな社会の醜悪さが滲んでいる。

かたやデス・シティの方はまぁもうここでキッパリと「これは架空の物語ですよ」という割り切りがあるのですが、でもそこに登場するクレイジーな人たちも「ただただ踊るのが好きな人」「ただただ強迫観念に取り憑かれてる人」「ただただ綺麗好きでお皿を洗いたい人」など、なんか「こういう人いる」のライン上にいるんです。(殺人魔とかもいるので全員ではないけど。)シチュエーションが不適切なだけで、そういう衝動や趣味嗜好の人って、確かにいる。だから身近な誰かを画面の中に見ているみたいで、なんだか他人事と思えないし、一口に「荒唐無稽なフィクション」と片付けることもできない。ちょうーーーど、親しみやすい、知っている誰かを描いている。

SASUKEおじさんも、状況こそ完全に不可解なのですが(そして最後までそれが理解できることはないのですが、)だからこそこのおじさん本人はめっっっちゃくちゃ普通のおじさんなんですよ。坊主頭の、ちょっと恰幅のいい、アメリカ映画で5万回くらい見たことありそうなどこにでもいるおじさんなんですよ。

状況が変な時こそ、めっちゃくちゃ普通の人を出す。ごくありふれた状況の時は、めっちゃくちゃ変な人を出す。

その押し引きによって「現実世界みたいな、でも現実世界じゃない、なんか変な世界」が作り出されていて、そこに身を任せるのが気持ち良いんです。笑えるし、笑えないから。

さて、舞台は変わり、ここからどんどんボーの過去や母親との確執も明らかになっていきます。

3時間ある時に映画本編をぜひ見てください。このブログで一人でも多くの方が本編を楽しんで観てくだされば幸いです。

Amazon Primeで観ることができます。

また来週あたりに続きも書きたいと思っているので、続編もお楽しみに。

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