【見通し】週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、日米指標を見極め (original) (raw)

◆ドル円、中東情勢に警戒しつつ米9月小売売上高などに注目
◆日本の9月CPIや本邦通貨当局の円安抑制にも注意
◆ユーロドル、ECB理事会での利下げを見極め

予想レンジ
ドル円 147.00-151.00円
ユーロドル 1.0700-1.1100ドル

10月14日週の展望
ドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の年内大幅利下げ観測の後退と日銀の早期利上げ観測の後退から底堅い地合いが予想される。ただ、上値を抑える要因としては、予期せぬ衝突の激化など、中東の地政学リスクの突然の高まりや、衆院選の争点が物価高対策となっていることもあり、本邦通貨当局による円安抑制の動きが高まる可能性を念頭に置いておきたい。

米国では、アトランタ連銀の「GDPナウ」によると、第3四半期GDP予測は8日時点で3.2%となっており、第2四半期の3.0%からの改善が見込まれている。また、9月のFOMC議事要旨では、「米経済は景気抑制的政策にも関わらず顕著な底堅さを維持している」と言及された。来週は9月小売売上高や10月NY連銀景況指数、10月フィラデルフィア連銀景況指数などを確認することになる。

日本では、9月のコアCPIは前年比2.3%と予想されている。8月の2.8%からは伸び率の鈍化が見込まれており、予想通りならば日銀の早期利上げ観測が後退することになりそうだ。石破首相が「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と発言したことから、総選挙後の日銀金融政策決定会合(30‐31日)では金融政策の現状維持が見込まれている。ただ、三村財務官は現状の為替市場に対して「投機的な動きを含めて為替市場の動向を注視する」と述べているほか、神田内閣官房参与(前財務官)も「為替市場、引き続き高い緊張感持って警戒続けていく」と発言。物価高対策が選挙の争点となっているため、ドル円が150円台の大台に乗せた局面での本邦通貨当局による円安抑制の可能性には注意が必要だろう。

ユーロドルは、17日のECB理事会での0.25%の追加利下げ観測が高まっており、下値リスクに警戒しておきたい。バスレ・スロベニア中銀総裁が「10月に0.25%利下げしても、12月の利下げを保証するものではない」と釘を刺していることもあり、声明文にも注目。更に、11月5日の米大統領選に向けて、イスラエルとイランの軍事衝突の激化への警戒感も高まっており、最悪のシナリオとして、第5次中東戦争の勃発やホルムズ海峡封鎖による原油価格の急騰なども想定しておくべきだろう。

10月7日週の回顧
ドル円は、8日に一時147.35円まで値を下げたが、9月FOMC議事要旨で一部の委員が0.25%の利下げを支持していたことが判明。米長期金利の上昇に連れて149.55円まで上昇した。ただ、9月米CPIが予想を上回ったものの、新規失業保険申請件数が大幅な悪化を示す内容となると148円台前半まで反落した。ユーロドルは、9月ECB理事会議事要旨がハト派的だったことや米10年債利回りが4.11%台まで上昇したことで、1.0997ドルから1.0900ドルまで下落した。(了)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ