赤ちゃんやこどもを誤飲・窒息事故から守る!万一のときの対処法は? | 政府広報オンライン (original) (raw)

ボタン電池を口に入れようとしている赤ちゃんと慌てて駆け寄る保護者。左上には防虫剤やタバコ、小銭、化粧品、医薬品、クレヨン、画鋲、ヘアピン、パック型洗剤、おもちゃが描かれている。

POINT

赤ちゃんやこどもは、大人が目を離した間に思いがけない物を口に入れることがあります。このとき心配なのは「危険な物を飲み込んだことによる体への被害」と「飲み込んだ物が気管支に入り息が詰まること(窒息)」です。どちらも迅速な対応が必要なので、いざというときに慌てず動けるように対処法を確認し、予防を実践していきましょう。

目次

1こどもが飲み込むと危険な物

こどもが間違って何かを口に入れてしまった場合は飲み込んだ物や状況によって対応が分かれます。飲み込みやすく危険な物、のどに詰まらせやすい物を確認しましょう。

体内に入るだけで症状を引き起こす物

こどもの身近にあり、誤飲事故が起こりやすく、体内に入るだけで危険性が高い物の主な例をまとめています。これらの物を飲み込んでしまった場合は、基本的には無理に吐かせず速やかに医療機関を受診してください。その際、飲み込んだ物と同じ物が手元にあれば持参し、医師に見せてください。

物品 症状 注意
ボタン電池ボタン電池のイラスト 粘膜に触れると、タンパク質を溶かす液体が出て、体内で化学やけど(化学熱傷)を引き起こす。 胃や食道の壁などを短時間で傷つけ、穴をあけることもある。 鼻や耳に入れてしまった場合も危険。 受診するまでは何も飲ませない。 無理に吐かせない。
医薬品錠剤やカプセル剤のイラスト 大人向けに処方された医薬品は、こどもの体には用法用量を超えた量であり、重い中毒症状を引き起こすことがある。 無理に吐かせない。
タバコタバコのイラスト タバコの葉を食べたりすると、ニコチンによる強い血管収縮作用により、血圧を上昇させたり、中毒を起こしたりするなど命の危険もある。 吸殻だけでなく、吸殻をひたした水の誤飲にも注意。 受診するまでは何も飲ませない(水を飲むとニコチンの吸収が早まる)。 可能なら吐かせる。
洗剤パック型洗剤のイラスト 洗剤に含まれる界面活性剤などによって、のどや口の中の痛み、嘔吐、腹痛などが起こる。特に、濃縮液体洗剤を水溶性のフィルムで包んだパック型の洗剤を乳幼児が誤って握りつぶしたりなめたりする事故が増えている。 口に入った場合は、できれば水ですすぐ。 少量の水や牛乳を飲ませる。 無理に吐かせない。

のどに詰まらせやすい物

3歳のこどもの口の直径はおよそ4cmで、ほぼトイレットペーパーの芯ぐらいの大きさです。それより小さな物は、こどもが飲み込んでしまう危険を常に考えたほうがいいでしょう。スーパーボールなど6mmから2cmのおもちゃは特に気道をふさぎやすく、窒息のおそれが高まります。
また、ナッツ類、豆類、あめ玉、こんにゃくゼリーなどの食べ物や、菓子やペットボトルの包装フィルムなどにも注意が必要です。その他、硬貨、ボタン、小さな文房具など、保護者や兄姉の持ち物など、幅広く物の置き場に気を配ってください。

4㎝以下の物には特に注意!4㎝はトイレットペーパーの芯の口径と同じくらい。例:スーパーボール、ミニトマト、ピーナッツなど。

2誤飲した場合の対処法は?

こどもが誤飲したときは、症状や、飲み込んだ物によって、緊急性が高く救急車を呼ぶなどの対応が必要です。基本的には無理に吐かせることはせず、誤飲した物と同じ物を持参して速やかに医療機関を受診しましょう。ただし、のどに物を詰まらせた場合は、ただちに救急車を呼ぶとともに、詰まった物を吐き出させます

誤飲対処早見表

救急車を呼ぶ 急いで受診 診療時間内に受診
【症状】 窒息の疑いがある。 のどをおさえる 口に指を入れる 声を出せない 呼吸が苦しそう 顔色が青白い けいれんしている。 ぐったりして、呼びかけてもぼんやりしている。 【飲んだ物】 灯油 ベンジン 除光液 農薬 殺虫剤 ネズミ駆除剤 【症状】 突然咳き込み始めた。 呼吸がゼーゼー、ヒューヒューしている。 吐く、下痢、腹痛など。 声がかすれている。 ※上記の場合は救急車を呼ぶのもよい。 【飲んだ物(症状がなくても)】 ボタン電池 ヘアピン 針などの鋭利な物 磁石 洗剤 吸水性樹脂 水で膨らむビーズ 芳香、消臭剤 防虫剤 漂白剤 タバコ(可能なら吐かせる) 医薬品(お薬手帳があれば持参する) コイン おもちゃなど 【飲んだ物】 少量のインク クレヨン 絵の具 粘土 口紅、ファンデーションなどの化粧品 石けんなど ※心配な場合は電話などで相談する。

どう対処してよいか迷ったら医療機関や子ども医療電話に相談してください。

子ども医療電話相談 #8000※都道府県によって相談の受付時間帯が異なります。

こんなときはすぐに救急車を!

こどもがのどに物を詰まらせた場合は命の危険があり、一刻を争います。ただちに救急車を呼ぶとともに、救急隊が来るまでの間に応急処置で詰まった物を吐き出させることが重要です。

物が詰まって気道がふさがる(窒息する)と、多くの場合、3分から4分で顔が青紫色になり、5分から6分で呼吸が止まって意識を失います。そして、心臓が止まり、10分で脳に障害が起こります。その後15分を過ぎると脳死状態になります(※1)。
大人が見ていない間に、こどもが異物を飲み込んでいる場合もあります。こどもが次のような行動をしていたり、症状が出ていたりする場合は「窒息しているかもしれない」と考えて、ただちに救急車を呼びましょう。

※1:記載時間は目安です。
参照:「消費者安全法第23条第1項の規定に基づく 事故等原因調査報告書(消費者安全調査委員会)」

のどに物を詰まらせたこどもの様子。のどを押さえゼーゼーと呼吸し、徐々に顔色が青白くなる。

のどに物を詰まらせたときの応急処置

背中を叩く(背部叩打法)

乳児をうつぶせにし、手のひらで乳児の下あごをしっかり支えて突き出し、腕に乳児の体をのせて、上半身がやや低くなるような姿勢で支えます。もう一方の手のひらのつけ根で、乳児の背中(肩甲骨の間)をしっかり強く叩きます(5回から6回を1セット)。

胸部を圧迫する(胸部突き上げ法)

乳児をあお向けにし、手のひらで後頭部をしっかり押さえながら腕で乳児の体を支えます。乳児の両乳頭を結んだ線の中央のやや足側を、もう一方の手の2本指で強く圧迫します(5回から6回を1セット)。
※注意:ひざの上で行うときは、乳児の足を脇に挟んで落とさないように気を付けましょう。

乳児の様子を見ながら、上記の対処法を1セットごとに交互に繰り返してください。体位を変えることで、のどに詰まった物が出やすくなる効果があります。

背部叩打法の説明イラスト

胸部突き上げ方の説明イラスト

腹部突き上げ法(ハイムリック法)1歳以上の場合

こどもの背後から両腕を回し、片方の手を握りこぶしにして、こどものみぞおちの下に当てます。もう片方の手をその上に当てて、両手で腹部を上へ突き上げるように圧迫します。これを詰まった物が取れるまで繰り返します。
この処置により内臓が傷ついている可能性があるため、救急隊が来たら、応急処置をしたことを伝えましょう。

腹部突き上げ法の説明イラスト

意識がなく呼吸が停止している場合は

こどもがぐったりとして反応がなくなった場合は、直ちに心臓マッサージと人工呼吸による心肺蘇生を開始します。

心臓マッサージ

胸の厚さが3分の1くらい沈む強さで、1分間に100から120回のテンポで圧迫します。

人工呼吸

あお向けにして、頭を後ろに反らし、同時に顎の先を上に持ち上げ、気道を確保します。

※気道確保し、口に異物が見えたときは、これを取り除きます。見えない場合にはやみくもに指を入れて探らないでください。異物を探すために心臓マッサージを中断しないでください。

3誤飲・窒息事故を予防するには

こどもの手の届く範囲に置かない

こどもの誤飲による事故を防ぐには、飲み込む可能性のある物を手の届く場所に置かないことが大切です。高い場所に置いても、こどもが踏み台を使って手にしてしまうケースもあります。こどもの手が届く範囲は、実際に手が伸ばせる範囲と台の高さを足した長さで、1歳児では約90㎝、2歳児では約110㎝、3歳児では約120㎝です。誤飲すると命に関わるような医薬品などは、できれば鍵付きの棚などに保管すると良いでしょう。

台の上の薬に手を伸ばしているこども。こどもの手の届く範囲は「台の高さ+手の届く範囲」、1歳児:90㎝、2歳児:110㎝、3歳児:120㎝

ボタン電池やタバコは処理に気をつけて

ボタン電池が使われているリモコンやおもちゃなどは、電池ボックスのふたをテープで止めるなどの対応が必要です。また、こどもが真似しないように、ボタン電池の交換はこどもが見ていないところで行います。使用済みのボタン電池は、最寄りの電気店などで速やかに処分するようにしましょう。

タバコは、吸い殻だけでなく、火を消すのに使った水などもすぐに処理して、こどもの手の届くところに置きっぱなしにしないようにしましょう。

鶏肉の上にボタン電池を置く実験では、20分ほどで電池の形のくぼみができるほどの化学やけどが確認できます。

鶏肉を使用した化学やけどの再現実験の写真。コイン型リチウム電池を上に置いてから20分経過後の、焦げてくぼみができた鶏肉。アルカリボタン電池を上に置いてから20分経過後の、焦げてくぼみができた鶏肉。

(写真提供:消費者庁)

まとめ

赤ちゃんやこどもは大人が思いもよらない物を口に入れてしまいます。注意が必要な物や、もしもの場合の対処法を確認しておきましょう。また、物の置き場所を見直し、誤飲を予防することも重要です。危険を予測し、不慮の事故からこどもを守りましょう。

(取材協力:こども家庭庁、消費者庁 文責:政府広報オンライン)

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