「物書き令嬢と筆頭宮廷魔法士の契約婚は溺愛の証」 - 早瀬黒絵 (original) (raw)
物書き令嬢と筆頭宮廷魔法士の契約婚は溺愛の証 - 早瀬黒絵
第3巻 内容紹介
国境を越えてからは砂漠が広がっていて、昼夜の寒暖差や、景色の変化がないことがなかなかにつらい砂漠越えとなった。
夕方、日が沈む寸前の砂漠はとても美しいが、焼けつくような日差しと地面の照り返しが凄くて景色を楽しむ余裕はない。
そうして野営をしながら砂漠を三日かけて越え、ラシード王国の首都へ到着した。
「うわあ……!」
首都が見えた時は本当にホッとした。
首都はラシード王国で最初に訪れた 街と色合いは似ているが、角張ったベージュの建物は壁が濃いオレンジ色で塗られ、よく見ると金色の塗料で模様が描かれており、独特な雰囲気を感じさせる。中は綺麗に石畳が敷かれていて、歩きやすい。
ちなみに首都もやはり砂防壁で囲まれていた。
自国のフォルジェット王国とは全く違うが、美しい街並みだ。
前世にテレビなどで見たことのあるアラビアの風景を思い起こさせる。
……本当に他国に来たんだなあ。
今更だが、別の国に来たという実感が湧いた。
わたし達が大通りを歩いていると人目が集まる。ラシード王国の人々と明らかに容姿が異なるため、どうしても目立ってしまうのだろう。
ローブを着て、フードも被っているが、すれ違う際に誰もが振り返る。
自然と俯きがちになっているとリオネルに手を取られた。
フードの影になっているが、リオネルの艶やかな黒髪と綺麗な金色の目、そして整った顔立ちは誰が見ても美しい。
「人が多い。逸れるなよ」
「うん、ありがとう」
侯爵令嬢エステルと筆頭宮廷魔法士のリオネルが結婚してからしばらく……。
リオネルは使節団の一員としてエステルと一緒に隣国ラシード王国へ訪問することになった。二人にとっては新婚旅行の代わりでなので、全く違う文化や食べ物に溢れる国で楽しく過ごしていた。
長旅の末に到着した宮殿ではラシード王国の国王アルサラーンとの謁見や、リオネルと第二王子との手合わせと目まぐるしかったが、この旅でエステルはリオネルへの想いを自覚し、初めてのキスを好きな人ーーリオネルと交わした。
小説を書くことが趣味のぽっちゃり令嬢エステルと、エステルのことが大好きな天才魔法士リオネルの契約結婚から始まった関係は、エステルが恋心を自覚したことで甘々な夫婦関係に突入する……!?
エステルとリオネルのあま~い朝のやりとりなど電子書き下ろしを2作追加。
エステルとリオネルの物語、完結!
第2巻 内容紹介
「ドレス、どういうのがいいと思う?」
歩きながらリオネルへ問えば、端的に返される。
「お前に似合うなら何でもいい」
「それが一番大変なんだけどね」
普通の令嬢に比べて明らかに太っているので、あまりゴテゴテしたものだとより太って見えてしまうかもしれない。
だからと言って地味なドレスだとリオネルの横で霞んでしまう。
……いや、そもそも何着ても結局勝てないんだけどね。
見上げたそこには整った顔がある。
わたしがいくら豪奢に着飾っても、綺麗に化粧をしても、そもそもリオネルの横に立ってしまえば絶対に霞んでしまう。
それならいっそ、自分の好きなドレスを着よう。
「何だ?」
わたしの視線に気付いたリオネルに見下ろされる。
「ううん、何でもない。確かに、せっかく着るなら自分に似合うドレスにしたいなって思って」
男爵家次男のリオネルは、戦争の功績により【筆頭】宮廷魔法士となったことで侯爵令嬢エステルとの結婚を侯爵に認めてもらい、結婚式を無事に行うことができた。その日の夜、リオネルはエステルへの想いを告白すると同時に、叶えてほしい願いがあると打ち明ける。その願いはエステルにとって意外なものだった。
その日から、リオネルの態度が甘く変化して、デートも重ねることで充実した結婚生活を送る二人。
結婚して毎晩同じベッドで寝ていても、まだ唇にキスもできないじれじれな二人は、ゆっくりと心の距離を縮めていくのだった。
そんな中、リオネルの元上司で通称ガーネットと呼ばれる筆頭宮廷魔法士が二人の元を訪れる。いつもと変わらない掴みどころのない調子ではあるものの、どこか二人を探る様子がうかがえて……。
書き下ろしでは周囲の人々から見た二人の様子など3作を追加。周りの目には、エステルとリオネルはどう映るのか──?
第1巻 内容紹介
「ねえ、リオネル、わたしと結婚しない?」
向かい側で読書をしている幼馴染に訊いてみた。
艶やかで綺麗な黒髪に黄金みたいに輝く瞳を持つ非常に整った顔立ちのリオネル・イベール男爵令息は本から全く顔を上げようとしない。
でも、それはいつものことだ。
読書中のリオネルが本から目を離すことのほうが珍しい。
しかし話を聞いていないわけではない。
彼のことだから、どうせわたしのこの問いかけも『またくだらないことを言っている』くらいの感覚なのだろう。
「今、婚約してくれるなら、わたしの小説を最初に読む権利もつけるけど」
「結婚しよう」
わたしの言葉に食い気味に返事があった。
顔を上げた彼は相変わらず感情が読めない無表情だ。けれどもこのリオネルはこういうことを冗談で言うタイプではない。
「ねえ、リオネル、わたしと結婚しない?」
『ふとまし令嬢』なんて呼ばれている引きこもり気味でぽっちゃり体型の侯爵令嬢のエステルは、向かい側で読書をしている幼馴染のリオネルに訊いてみた。婚約してくれるなら書いた小説を最初に読む権利を付けると言ったらリオネルは食い気味に返事をしてくれて、二人は契約結婚をすることに。
実は前世の記憶を持つエステルの唯一の趣味は、小説を書くことだった。両親からそろそろ結婚相手を探したほうがいいと言われたものの、この趣味を理解してくれない相手と結婚するのは絶対に嫌だと思っていた。
そこで幼馴染であり、趣味を理解してくれている男爵家次男で宮廷魔法士のリオネルに契約結婚を持ちかけた。するとエステルが思っていた以上にリオネルは結婚に乗り気でとんとん拍子に話は進み、二人は婚約した。
実はリオネルにとっては嬉しい提案だったのだ。なぜならリオネルは彼女と結婚するために『筆頭』宮廷魔法士を目指していたのだから――。
婚約したばかりの二人だが、リオネルは筆頭の座を掴むために隣国同士の戦争へ戦力として赴くことになった。ずっと一緒だった幼馴染とこんなに長く離れたことはない。エステルは遠く離れたリオネルとの手紙のやり取りを通じてリオネルの気持ちを知り、自分の気持ちにも向き合うことになる。
これは小説を書くことが趣味のぽっちゃり令嬢エステルと、エステルのことが大好きな天才魔法士リオネルの契約結婚から幸せになるまでの物語。
編集部より
人気作品がミーティアノベルスに登場!
『ふとまし令嬢』などと呼ばれるエステルの趣味は小説を書くこと。貴族令嬢ゆえにいずれはどこかへ嫁がなくてはなりませんでしたが、前世の記憶からはじめた大切な趣味を理解してくれる相手としかエステルは結婚したくありません。
そこで、幼馴染であり物書き趣味に深い理解のある男爵家のリオネルに契約結婚を持ちかけます。すると彼はエステルの思いの外食いついてきて……
電子書籍版限定書き下ろしでは、書き下ろしでは筆頭となったリオネルとエステルの後日談を3篇収録。
WEB版を既読の方もぜひお楽しみください!