ビルボードジャパンソングチャート、ラジオ指標で新たな潮流が生まれていることについて (original) (raw)

最新8月7日公開分のビルボードジャパンソングチャートではTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE24karats GOLD GENESIS」が1→18位に後退していますが、ラジオ指標は1→3位と推移。このラジオ指標における好調については、昨日付エントリーにて紹介しています。

前週のエントリーでは (中略) 局地的な大量OAをキープしてきたこと、フィジカルセールス初加算週に複数の番組でゲストやコメントでの出演があったことをお伝えしましたが、当週もOAチャートで8位、指標化の際には3位に達しています(当週のOAチャートはこちら)。

(中略)

ソングチャートにおいて最もランクダウンが激しい指標のひとつであるラジオ指標において、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE24karats GOLD GENESIS」は8週連続で20位以内に登場。今年を代表するヒットとなったCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」のラジオ指標20位以内連続エントリーが12週、Mrs. GREEN APPLEライラック」においては連続5週であり、「24karats GOLD GENESIS」のこの指標での強さが解ります。

ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標は全国31のラジオ局におけるOA回数(プランテック調べ)を基に、聴取可能人口等を加味して算出されます。その指標において今年度下半期以降、興味深い動きをいくつか感じています。

上記は昨日のエントリーでも紹介した、2024年度第3四半期におけるビルボードジャパンソングチャートラジオ指標上位20位の推移ですが、注目は最新8月7日公開分でMAZZEL「Seaside Story」が4位に上昇していること。これにより総合ソングチャートでも100位以内に復帰したのみならず、47位に入り同曲最高位を更新しています。

(ちなみにCHART insightはこの春のリニューアル以降、円グラフは最新週ではなく累計ポイントの構成比に変更したとアナウンスされています。MAZZEL「Seaside Story」では当週ストリーミング(青で表示)およびラジオ(黄緑)が加点されていますが、これまでダウンロード(紫)や動画再生(赤)も加点されていたことを踏まえれば、CHART insightはリニューアル以降も累計ではなく最新週の表示が続いているのものと捉えています。)

MAZZEL「Seaside Story」のラジオ指標における急浮上については、プランテックの記事にてその背景が記載されています。なおOAチャートにおいては2位タイとなっています。

同着2位にはMAZZEL「Seaside Story」が前週153位から急浮上した。BMSG所属の8人組ダンス&ボーカルグループが7月5日に配信リリースした同曲。リリース当初のオンエアは少なく、翌週7月8日〜7月14日チャートで80位に初登場するも、その後、80位、86位、153位と下降。チャートイン4週目となった今週は、帯放送の番組/コーナーといった定期枠でオンエアを確保しての急伸となった。

7月31日から実施されている“リベンジチャートインチャレンジ”に伴い、プロモーションを強化してのオンエア急増と推測される。今後、訴求具合の効果指標となるリクエストオンエア数が増えてくるかどうか注目したい。

当週における急上昇は、歌手側による"リベンジチャートインチャレンジ"施策が功を奏した形です。この名称はストリーミングにおいても用いられています。

(※キャンペーン終了後に削除させる可能性を踏まえ、キャプチャしたものを掲載しています。問題があれば削除いたします。)

MAZZELは「Seaside Story」にて以前、LINE MUSICチャートインチャレンジを実施(→こちら)。それを踏まえれば上記キャンペーンに"リベンジ"と名付けたことは理解できますが、ラジオにおいてもこの名称を用いたことを興味深く感じています。

ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標では他にも、6月12日公開分において椎名林檎とのっち「初KO勝ち」が首位に。アルバム『放生会』収録曲は、チャートイン2週目でこの位置に到達しています。集計期間を同一とするOAチャートにおいても、この曲が制しています。

椎名林檎が5月29日にリリースした、“7人の歌姫”をゲストに迎えた7曲ほか全13曲収録のニューアルバム「放生会」からの同曲。発売週だった前週はアルバムより計5曲がチャートインするなか、今週も引き続き高い注目度を維持し4曲がチャートイン。その中からオンエア好調だった同曲が、発売翌週ながらさらにオンエアを集め前週9位から首位へと上り詰めた。

前週と同じく調査対象の77.4%と広い範囲のステーションでオンエアを獲得しており、これが奏功しリクエストオンエア数が急伸している点は特筆すべきだろう。複数週にまたぎ広く大量オンエアを獲得したことで、リスナーへより広く訴求したことがうかがえる。セールスも着実に積み上げている様子だ。

登場2週目における「初KO勝ち」の首位到達は、椎名林檎さんと7組の女性歌手とのコラボレーションの中で人気がこの曲に集約されていった結果といえるかもしれません。リクエストOAも多いとのことで、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE24karats GOLD GENESIS」やMAZZEL「Seaside Story」のような歌手側の施策の結果(が大きい)と捉えることは難しいかもしれませんが、しかしながら特筆すべき動きだと考えます。

ビルボードジャパンソングチャートにおいてラジオ指標は影響力がそこまで大きいとはいえず、またフィジカルセールス指標同様に上位進出後の急落が目立ちます。その中にあってTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE24karats GOLD GENESIS」は局地的な(放送局を限定した)OAにより上位安定、MAZZEL「Seaside Story」はリリース後のチャレンジ施策に伴い上位進出し、この指標で存在感を示しています。

サザンオールスターズ山下達郎さんといったベテラン歌手で、且つレギュラー番組を持っている方の新曲はラジオ指標のみで総合上位に進出する傾向がありますが、それでも長期エントリーとなると状況は異なります。ゆえにTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEやMAZZELの動向が新たな潮流になるかもしれませんが、ラジオを機に新曲を知った方をラジオ以外での接触や所有行動に至らせることができるかが、重要な課題と考えます。