主張/ガザ危機1年/虐殺と侵攻止める強い行動を| 「しんぶん赤旗」 (original) (raw)
2024年10月7日(月)
主張
ガザ危機1年
虐殺と侵攻止める強い行動を
パレスチナのガザ地区での死者はこの1年で4万1千人を超え、6割の建物が破壊され、新たな避難民は190万人に上ります。
昨年10月7日の同地区のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの無差別襲撃と人質拘束は強く非難されるべきです。しかし、イスラエルのネタニヤフ政権の始めた攻撃はガザをジェノサイド(集団殺害)の地獄に追いやり、ハマス殲滅(せんめつ)と称して今も続いています。
イスラエルは隣国レバノンにも、主権と領土を侵害する空爆と地上侵攻を行い、犠牲者は2千人を超えます。2006年の国連安保理決議の重大な違反であり、戦闘をやめ直ちに撤退すべきです。イスラエルはイランの核施設を狙うことも排除しない姿勢です。攻撃拡大は許されません。
■停戦で事態打開を
地域と世界に重大な影響を与えている事態の激化を止めるカギは、一刻も早い停戦実現で、イスラエルのガザでのジェノサイドを止め、全人質を解放することです。
この1年、米政権などがイスラエル支援を続ける一方、世界の市民の運動と各国政府のとりくみは、重要な前進をつくりました。
国連総会は9月18日の特別会合で、イスラエルに対し、ガザでのジェノサイドの防止、1967年の第3次中東戦争で占領したパレスチナのヨルダン川西岸、ガザ、東エルサレムからの撤退と土地や資産の返還などを要求しました。
決議は、長年の占領と暴力を国連憲章と国際法違反として全面的に断罪した7月の国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見を実行に移すもので、国連加盟国の6割超の124カ国が賛成しました。
各国に、(1)自国民や企業・団体が違法状態を承認・支援しない措置(2)イスラエルの入植地からの輸入、同国への武器や関連機器の提供・移転の禁止(3)入植者の暴力を含む占領に関与する個人や法人への制裁―などを求めました。いまやイスラエル国内からも武器禁輸は当然との声が上がります。各国政府の対応が厳しく問われています。
■二重基準をやめよ
日本などG7は、国際世論におされ、中東情勢に関する今月3日の首脳声明で、地域の全当事者の自制と国際人道法の尊重、ガザでの即時停戦などを呼びかけました。これには、実際の行動こそ必要との声が強まっています。
米国のサンダース上院議員は、「虐殺の多くは米国提供の兵器による。さらなる提供は非道徳で違法」と告発し、イスラエルへの武器売却停止法案を共同提出しました。英国は地中海のキプロスに置く基地からイスラエルを支援しており、労働党前党首のコービン下院議員は「政府の偽善は明らか」と批判します。
日本の石破首相は4日の所信表明演説で「法の支配に基づく国際秩序を堅持」とのべましたが、ジェノサイドに加担し、パレスチナ問題の公正な解決を妨げる米国などの「二重基準」をただす姿勢は見えません。
「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」とうたう憲法を持つ国の首相にふさわしいのか。総選挙での審判が必要です。