移乗を振り返ってみる (original) (raw)
介護現場では当然のように、
移乗をする場面があると思います。
食事やおやつ、そして入浴やレク等で、
1日片道5〜7回+排泄介助数くらいでしょうか。
それが移乗介助対象の利用者人数分だから、
それなりに時間もかかってくるかもしれません。
特に特養のような施設だと、自力で移乗できる人なんて何人いるでしょうね。
大体何かしらの介助を受けている利用者の方が多いと思います。
この「移乗」について考え方や方法を書いていきます。
移乗方法の振り返り
移乗ですが、利用者の状態を見極め、介助方法をうまくやらないとかえって職員・利用者双方に負担がかかります。
だから不適切な移乗を続けていると痛みや苦痛などにつながり、
離床自体に拒否的になる可能性も出てきます。
よくある利用者も職員も負担がかかる移乗
よく見かけたのが、
座位、立ち上がり、立位保持が難しいのに無理矢理立たせる。
そして立たせながら移乗する場面。
利用者の状態も準備も後回しで、ただ力と勢いでの移乗方法です。
この方法ですが、
座位、立ち上がり、立位が難しいがために、
職員が力任せに抱えて「立たせながら移乗している」
ことになりがちです。
どこに負担がかかるのか
無理矢理立たされるため、利用者は恐怖感を感じ腰が引け、ますます座ろうとします。
それを更に職員は立たせようと力を込めるため、ますます双方の負担は増えます。
職員にぶら下がるような形になってしまい、痛みや脱臼などにも繋がりかねません。
更には立たせながら移乗するということは、
きちんと足の位置を整えられないということになります。
足を引きずられたり捻ったりしやすくなり、骨折などのリスクが増えます。
利用者も職員も負担の少ない移乗方法
私が思うに、移乗する際は、
前屈みになり、足を引く
きちんと立位をとる
足の踏み替えをしっかりする
向きを変える
移乗する
これらの動作を区切って行う方が良いと思います。
なので、職員の技術を工夫する
(利用者が移乗動作をとりやすい姿勢作りやサポート)
等を行なってもこの動作を区切って行えないような利用者の心身状態であれば、
専門職間で協議し介助方法を見直したり、スライドボードやスライドシート等の道具に頼った方がお互いの負担は軽減されると思います。
移乗方法一例
座位はとれるけど立ち上がりや立位保持が難しければスーパートランスやスライドボードなどを使う。
寝たきりで座位保持も難しいような状態であれば2人介助でスライドボードやリフトを使う。
などです。
(ちなみにスライドシートは大きいビニール袋で代用できます)
職員にとって負担が少なければ利用者にとっても負担は少ないです。
残存機能の考え方のズレ
でもまれに、
職員が踏ん張ってやっとこ
「立たせている」
ような状態にも関わらず、
「足の力が落ちる!できることはやらないと!寝たきりになる!」
などと、どこか思い違いをしたような意見が飛んでくることがあります。
本人が足の力を使えてなく、職員が力任せに持ち上げて「立たせている」のが残存機能なんでしょうか?
移乗場面に限らず、機能訓練なら他の場面でもできます。
移乗だけにこだわる必要はないと思います。
(機能訓練指導員に相談するといいでしょう)
おわりに
職員の技術・知識の向上で、
立てないと思われていた人が立てたり、
二人じゃないと移乗できないと思われていた人が一人で移乗できたりすることもあります。
この辺りは沢山本が出ているので、一度目を通してみると良いと思います。
参考までに、私が参考にしている本を紹介します。
ほんの一例ですが、どの本も写真や図があり、目で見てわかりやすく、知識、技術の向上につながります。
また、シーン別や利用者の状態・疾患別の介助方法なども書いてあり、とても参考になるでしょう。
これらは全てここで購入できます。⬇️
本に限らず、知識や技術を学び、得たものをチームで共有する。
この繰り返しで、チーム全体のスキルが底上げされるでしょう。
今までやっていた移乗方法を変えるのは不安かもしれませんが、適切なアセスメントと適切な技術でスムーズにいくこともあるので、
「やらず嫌い」にならないで、話くらいは聞いてみても良いと思います。
最初から否定的では移乗に限らず、気づきにもつながらず良いケアに結びつかないと思います。