米津玄師アルバム『とまれみよ』『LENS FLARE』の無限リピートがやめられない助けてくれ (original) (raw)

米津玄師の新しいアルバムがヤバい。

20曲も入ってたら2、3曲は「刺さらんなぁ〜」って曲があるんですよ普通。だが米津はんは違いました。全曲名曲で逆に困惑してる。やりすぎ。やりすぎだよ。途中でセミの鳴き声5分とか入れてくれてもいいのに…

特にブチ抜かれたのが10.『とまれみよ』11.『LENS FLARE』ヤバいヤバすぎる。

・1〜9を1回聴く

・10〜11を100回聴く

・12〜20を1回聴く

・10〜11を100回聴く

のリピートがやめられない。助けてくれ。

とまれみよ

イントロの踏切音からとんでもない恐怖。リズムは良いのに怖い。夜中に薬局にいる置物みたいな不気味さ。米津玄師の曲のヤバさとは「ユーモア」と「シリアス」、「愛」と「憎」、相反する2つの要素を仲良く共存させるバランス感覚だと思っているんですが細かい韻の踏み方ひとつ取っても

「並んで座るクリーピー 側を過ぎるディズニーシー」

を筆頭に「え?あとで権利関係でモメない?ウォルトから消されない?」と心配になるくらい、他の人間が思いつかない、いや思いついてもビビって採用しない角度の単語をブチ込んでくる。

他の作詞家がエコカーで法定速度を守ってそ〜〜っと歌詞を書いているのに、米津玄師はトゲトゲがついた改造車でガードレール破壊しながらフルスピードで突っ込んでくる。かと思えば、

「愛 できるだけよしなに」

など雨に濡れてガタガタ震えている俺をギュッと抱きしめるような優しさを見せてくる…この「米津さんマジすいませんでした今すぐ消えます」からの「えっ…玄師くん…♡」というギャップに俺は狂わせられるのです。それを一曲の中でグルグルと回してくるから手に負えない。

「止めてみろ 乗りかかったが最後 無事に帰れると思うなよwww」

漏らしました

インタビューで

「今聴き返すと行き場を失っている感じが色濃く出ていて、今聴くとちょっとウケる曲です。これから「地球儀」が世に出ていく、“来るべき衝撃”に備えるというか。「どうする? このまま行くの? ちょっと止まったほうがいいんじゃない?」みたいな、そういうマインドが表れてこういう曲になったんじゃないかなと思ってます。」

と語られてたんですけど、この文脈からすれば、この曲は「頂点を取り尽くして行ききった男のヤケクソ」

語尾に草生えるような半笑いの歌い方も相まって、絶対に一般人には理解できない領域の感情をここまで丸裸でリスナーに提示する米津玄師。もう情緒メチャクチャ。

LENS FLARE

米津「私を見て…私を見て…見て…見て…見て…見デェ…見゛ヴェェェ…ヴヴェヴヴェ…」

漏らしました

前ツアー『空想』で聴いた謎の恐怖!変態ドエロ曲がついに世に放たれてしまった。今、この世に存在する音楽の中でぶっちぎりで一番愛してる。

なかなか始まらないイントロ、聴いてると気が狂いそうになる寝る前に外から聴こえてきたら絶対に不眠症になる不安定なメロディに「出役(でやく)」だからこそ描ける地獄歌詞。

「見られる側」が絶対に持っている自意識と承認欲求、作り上げられた虚像と自分だけが知っている現実のはざまで狂いそうになる主人公。

「みんないつも見てくれてありがとー!だいすきだよー!」と「なにが推しじゃ気持ち悪いんじゃボケ」を同時に浴びせられる恐怖。これを「とまれみよ」の後にこれブチ込んでくる米津玄師、本当になんなんですか?

『LENS FLARE』は、映画『PERFECT BLUE』が元ネタになってて、あれは一人のアイドルが引退後に女優になったら、望まないエロ仕事やらされるわ、ファンから昔の方が良かったとか言われて嫌がらせ受けるわ、自分のフリして日記勝手に書いてる謎のサイト開設されてるわ、そういうストレスが積み重なってだんだん現実と夢が曖昧になって精神おかしくなる、っていうハイパー物騒鬱サイコホラー映画で、観てから聴くと内容が「まんま」すぎて重さ100倍になるんですが、それを抜きにしても、色んな承認欲求モンスターたちに当てはまる、非常にヤバい曲です。

例えば、アナウンサーが同性のファン増やしたくてSNSでファッションとかコスメの投稿したのにオッサンのコメントしか来ないとか、ルックス良いエッセイストが顔出したら顔のことしか言われなくなるとか。

でも、そうしないと反応もらえないし作品も売れない。金落としてくれるのはそういうファンだから。そういうファンが建てたピラミッドの上いて、輝かしい舞台に立ててる。イヤなら「お前が勝手に選んだ舞台」だから辞めたきゃ辞めたらいい。

そんなストレスがあるからこそ満たされる承認欲求もあるわけで、人気者になれて気持ち良い、でも他人に踏み込まれるの気持ち悪い、を繰り返して「求められてる姿」と「なりたい姿」がグチャグチャに入り混じってくる。映画で夢と現実の境目がなくなるように。

夢みたい そうこれは夢で見たい

ずっと笑顔で生きたい キレたい 愛されたい

お前が何よりもただ必死で

そこにいたのをいつも見てたよ

カットワン

あなたは誰 あなたは誰

カットトゥー

わたしを見て わたしを見て

カットワン

あなたは誰 あなたは誰

わたしを

漏らしました

『とまれみよ』『LENS FLARE』2曲でたった6分。1年より長い6分の恐怖。聴け、聴け、聴け、聴け、聴ゲェ…聴゛ヴェェェエ…ヴヴェヴヴェェエ………

LOST CORNER (映像盤) (CD+Blu-ray) (特典なし)