新潮新書

小林カツ代と栗原はるみ―料理研究家とその時代― (original) (raw)

内容説明

テレビや雑誌などでレシピを紹介し、家庭の食卓をリードしてきた料理研究家たち。彼女・彼らの歴史は、そのまま日本人の暮らしの現代史である。その革命的時短料理で「働く女性の味方」となった小林カツ代、多彩なレシピで「主婦のカリスマ」となった栗原はるみ、さらに土井勝、辰巳芳子、高山なおみ……。百花繚乱の料理研究家を分析すれば、家庭料理や女性の生き方の変遷が見えてくる。本邦初の料理研究家論。

この商品が入っている本棚

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

{2015年} 1882年、家庭料理のレシピを考案したり教えるため、赤堀峯吉が東京日本橋に開いた赤堀割烹教場(現・赤堀料理学園)が初の女性向け料理教室。「料理天国」「世界の料理ショー」でゴージャスな料理に目が点になり、「ごちそうさま」「キューピー3分クッキング」で家庭料理に心がホッコリしたもの。スーパーやコンビニ等で売られている弁当、惣菜、レトルト、冷凍食品等下手な手料理よりも美味く侮れないものがある。好き嫌いが多く母親を悩ませた頃を想い出し反省。2016/01/16

タイトルにある二人を中心に日本の代表的な料理研究家について、料理に対する考えや時代背景をまとめた本。 『人気となる料理研究家にはその時代に登場する必然がある』 『背後にいる同時代の女性たちが何に悩み、何を喜びとし、何を守ってきたのかをうかがい知る現代史でもある』 その時代は私が生きた時代とかなりの部分で重なり、頷く箇所や思わず涙がこみあげてくる箇所がたくさんありました。働きながら「とにかく早く!」と料理をしていた頃、料理以外の場面でも救いとなった小林カツ代さん。読んでいる間中、彼女の笑顔がありました。2015/06/23

食べることが大好き。レシピはもちろん、美味しそうな料理が出てくる本はジャンルに関わらず読む。そして味を想像し、自分なりに再現してみるのも好き。そんな私に新たな視点を教えてくれた一冊。/本がヨレヨレになるまでお世話になった小林カツ代さんやレタスクラブの特集号。新聞の付録にあった土井善晴先生の肉じゃがレシピは、今も家族のお気に入り。/料理の変遷と、時代背景や家族のあり方暮らし方の歴史との密な関わりに今更ながら気付く。日々のご飯の向こうに広がる、大きな世界に思いを馳せる、とても楽しい時間でした。2015/10/27

そう来たか!今までなかったですね「料理研究家」という切り口で日本の戦後史、日本人の暮らしの現代史あるいは女性の生き方の変遷を論じます。非常に興味深い内容。個人的に感慨深かったのは故・小林カツ代さんの生涯。その昔、伝説のTV番組「料理の鉄人」にて鉄人・陳健一を撃破(大人の事情はあったようですが…)テーマはじゃが芋。その肉じゃがを短時間で作る手際の良さは今でも語り草となっています。因縁を感じるのはTV東京の「男子ごはん」当初はケンタロウが出演。悲惨な事故後のピンチヒッターが栗原はるみさんの息子さんですからね…2020/07/29

生業の時代には家庭に多くの「金銭化できない仕事」があったが、給与生活主流になって家事と料理が主婦の役割として残った。この構造的問題や戦争による文化の断絶が料理研究家の活躍を促した。暴力と差別が色濃い昭和後期、小林カツ代は時短料理を提唱し、市販品を堂々と使って旧世代の呪縛を解いた。この料理の革命を完成したのは「カリスマ主婦」栗原はるみだが、仕事と家庭をこなす事の超人性が呼称に現れている。戦後の研究家を時代の中に位置付け、レシピの比較も試みる挑戦的な一冊。偏見を戒めてくれる骨太な論考である。2017/01/09

レビューを書く、レビューをもっと見る

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9716391

閉じる

会員ログイン