兵庫県の外郭団体 港湾施設の使用で大幅「減免」も民間からは満額徴収 現金預金13億円超 (original) (raw)
兵庫県の外郭団体「ひょうご埠頭」(姫路市)が、県から港湾施設の使用許可を受ける際に本来の料金より大幅な減免を受ける一方、転貸しした民間からは使用料を満額徴収していることが16日、県の外部監査で分かった。この減免効果でひょうご埠頭には毎年数千万円の利益が計上され、2021年度末時点の現金預金は約13億7600万円に上るという。
監査人によると、この預金は、県が県議会などの審査を受けることなく使える「第二の財源」になる可能性があり、「減免の必要性も含めて慎重な検討が必要」と指摘している。
ひょうご埠頭は、県から姫路港、尼崎西宮芦屋港のクレーンや野積み場などの使用許可を受けて運営管理し、荷役業者などに転貸ししている。本来なら条例に基づく使用料を県に納めるが、「港湾振興への貢献」を理由に大幅な減免を受けており、21年度に支払ったのは約3億1千万円だった。
一方、転貸し先からは条例通りの使用料を徴収しており、21年度の営業収入は約7億5千万円。県に支払った使用料との差額は4億4千万円で、そこから埠頭会社の人件費や各種経費を支払っても約6千万円の純利益が出た。
県によると、減免は1960年代半ばには行われていたとみられるが、詳しい経緯は分かっておらず、近年は毎年数千万円の純利益が積み上がっていた。
ひょうご埠頭から県に納められた使用料などは県の特別会計に反映され、監査委員や県議会の審査を受けるが、埠頭会社の利益までは特別会計に表れないため、チェックが及ばない。
県にとって「第二の財源」になり得るとされるのはこのためで、22年には、ひょうご埠頭が県から別の外郭団体の債券購入を打診された際、2種類ある債券のうち利率の低い方を選んだこともあった。監査人はこうした県の関与について「(ひょうご埠頭の)合理的な判断を奪う」ことにつながりかねないとする。
報告書では減免について、港湾施設を安定的に運営する観点から「否定するものではない」としつつ、減免する場合は「より一層透明性を確保する必要があることを意識し、合理的な方法で減免額を算定すべきだ」と強調。担当の県港湾課は「指摘を踏まえて検討する」としている。
外部監査は年度ごとにテーマを定めて実施しており、港湾事業が対象となったのは今回が初めて。