ハーバード流!? 自分の限界を超えるために見直すべき、9つの価値観 (original) (raw)

ハーバード流 自分の限界を超える思考法』(マリオ・アロンソ・ブッチ著、山本泉訳、アチーブメント出版)の著者は、ハーバード大学メディカルスクール特別研究員。「自分の中にひそむさまざまな知恵や創造性や善意の存在に気づいていってほしい」という思いから、本書を記したのだそうです。ずっしりとした読みごたえがありますが、そのなかから、最も印象に残った箇所を引き出してみます。

9つの価値観が人生を決める

人生とは、自分の価値体系の表現である。それが著者の主張。そして重要視しているのが、次の9つの価値観です。

1.友情(183ページより)

友情があれば、批判や拒絶を恐れずに安心して自分の弱さや不安をさらけ出せるし、関心や評価を得ようと戦う必要もない。どんな状況でも、自分はすでに関心も評価も得ていると考えられるからだ。(184ページより)

友情とは、誰かがずっとそばにいてくれると感じる心の状態であり、大切なのは真の友情を育むことだと著者はいいます。

2.喜び(184ページより)

私たちが喜びを感じるのは、「真理」の探究を人生の目標に据えているとき。心が「真理」と「善意」と「美」をゆったり思索できるような次元に足を踏み入れたとき、喜びが私たちを包み込んでくれるといいます。

...表現がやや宗教的なのでこの部分には少しばかり抵抗を感じたのですが、おそらくそれは著者の真面目な性格の影響なのでしょう。

3.思索(185ページより)

思索は単なる知識ではなく、真の理解を得るために欠かせない行為である。思索は単なる事実ではなく、知恵と通じ合うものだからだ。(185ページより)

私たちは思索によって、うわべ以上のものを自分のなかに育てることが可能。また直感も思索と集中から生まれるので、思索を通して本質的な自己とつながり、人として成長していくというわけです。

4.思いやり(186ページより)

思いやりのある人は、人のすばらしさを矮小化してしまうレッテルに惑わされない。他人を単なるモノとして、目標達成の手段として扱うこともない。(186ページより)

思いやりの目的は「これまでの自分がどういう人間だったのか」「いま、どういう人間なのか」「これからどういう人間になっていくのか」を発見することだとか。

5.コミットメント(186ページより)

コミットメントには、私たちを前進させる驚くべき力がある。(中略)コミットメントがあれば、私たちは他人の意見で思いとどまったり、取りやめたり、くつがえされたり、萎縮したりはしない。(187ページより)

コミットメントとは固い決意。「これが自分にとっていちばん大事だ」と宣言したものを探す際、どんな逆境にあってもエネルギーや自信や信念をくれるそうです。

6.創造力(188ページより)

創造力は、自分だけの新しい道を見つけるのに欠かせない能力。「妥当だ」「可能だ」とされている枠を超えて物事を見る能力であり、壁しかないように見える場所に窓をつくる力。

7.熱意(189ページより)

豊かさとチャンスに満ちた新たな世界が存在し、その世界が自分にも開かれているとと知ったときに私たちをとらえて離さない感情、それが熱意。この力があれば、自分の想像をはるかに超えた行動力が湧いてくるといいます。

8.信念(190ページより)

勇気も信念から生まれ、これまで一度も経験したことがなくても、今後どうすべきかわからなくても、私たちを一歩一歩前進させてくれる。(190ページより)

信念は、真っ暗で不確かな状況下でも自信を持って突き進む力の源。そして信念は、私たちの心を覆うベールを消し去ってくれるそうです。

9.謙虚さ(190ページより)

謙虚さがあれば、ひとつの考えをかたくなに主張せずにすむし、心を開いて現実をじっくり見つめることもできる。(191ページより)

高慢でないこと。自分が理解しているものだけが現実だと思わない心の持ちようのこと。自分に降りかかってきたものを受け入れる能力のこと。

これらの価値観を学び、養いながら生きていけば、行動は変化していくものだと著者はいいます。価値観が重要なのは、それが私たちの行動、そして人となりを左右するから。当たり前のようにも思えますが、大切なことではないでしょうか。

先述のとおり著者はハーバード大学特別研究員ですが、それは経歴にすぎず、ここに書かれていることが果たして「ハーバード流」といえるかについては疑問も残りました。しかし「売り方」とは別の次元で、著者の考え方に強い説得力があることは事実。自信に満ちたひとつひとつの言葉から、学べることは少なくないはずです。

(印南敦史)