採れすぎて困る。驚きのコストパフォーマンス。ミョウガのベランダ栽培 (original) (raw)
ベランダで野菜を育てたい。自分で育てた野菜を食べたい。でも難しそう。手がかかりそう。そもそも、すでに何度も失敗しているし。
そんなあなたに自信を持っておすすめする野菜がミョウガです。
その理由は3つ
- 日当たりが悪くても育つ
- 病気や虫に強い
- 何年も繰り返し収穫できる
です。
例えば、トマトやナスなどの実がなる野菜は育てたい野菜のトップスターですが、おいしい実をたくさんつけるためには日当たりがとても大切です。また、実に栄養を集中させるため、芽をとったり、枝を仕立てたりと、手間がかかります。その点、ミョウガは日当たりが悪くても育ちますし、植えてから収穫まで、ほとんど手がかかりません。
栽培中のミョウガ。かなり大きくなるので、鉢も大きなものがよい。
葉が茂るので、日よけにもなる。
ミョウガは日本で古来から育てられていた野菜です。だから日本の気候にぴったり合っているのです。しかもそれほど品種改良されてきた野菜ではないので、普通に育てれば、病気になることもほとんどありませんし、多少虫がつくことがあっても、枯れてしまうということはありません。
そして、ミョウガはショウガ科の多年草(何年も生きる植物)なので、一度植えると、毎年収穫できるのです。冬は地上部は枯れますが、地下茎で生きていて、春になるとまた芽が出てきます。そういう意味ではコストパフォーマンスも抜群の野菜です。
ところで、普段スーパーなどで売られている、ほんのり赤くてプリっと丸いあのミョウガは、植物のどの部分かわかりますか? いつも食べているあのミョウガは、じつは花の蕾です。ミョウガは、春から芽を出して葉が広がり、夏になるとニョキニョキと、あの見覚えのあるミョウガが土から顔を出してくるのです(1年目は9月くらいから蕾が出てくることが多いです)。
ミョウガの蕾は土から直接出てくる。
さらに大きくなるまで待っていたいところですが、蕾なので、放っておくと花が咲いてしまい味が落ちてしまいます。蕾が土の上に顔を出すときにはすでに地下に埋まっている部分も膨らんでいるので、どんどん収穫しましょう。だいたい10月いっぱいは収穫が続きます。
ミョウガの栽培を始めるには2つの方法があります。根株と呼ばれるミョウガの地下茎を埋めるか、ポットに入った苗を植えます。どちらも3~4月に多く出回り、ネット通販などでも購入可能です。植え付けるプランターは大きいほうがおすすめです。毎年地下茎が増えていくので、狭いとすぐプランターがいっぱいになってしまうのです(いっぱいになったら、地下茎を掘り出して15cmくらいに切り、新たなプランターに分けて植えます)。
ミョウガの根株(地下茎)。このようにむき出しで販売されていることもある。土に埋めると芽が出てくる。数年して鉢がいっぱいになった時にも掘りあげてこのように切り分ければ、さらに増やすことができる。
栽培で最も注意したいのは、乾燥させないということです。ミョウガは湿った環境を好むので、できるだけ毎日、たっぷりと水やりをして、土がしっとりとした状態を保ってください。
自分で育てたミョウガは市販のものより、香りや辛味が強く感じます(自分で育てた贔屓目かもしれませんが)。そうめんの薬味などにぴったりですが、結構たくさん採れるので、薬味だけでは消費が追いつかないことがあります。そんなときには私は甘酢漬けにしています。お酢、砂糖、塩、水(私のレシピはお酢3、砂糖2、塩少々、水2)を混ぜてそこに縦半分に切ったミョウガを入れるだけです。味噌漬けもおすすめです。ぜひ試してみてください。
ミョウガの甘酢漬け。香りと酸味が食欲をそそり、夏バテしているときでも食べられる。
いかがでしょうか?ミョウガを育てたくなりましたか?
暑い夏の休日、ベランダで収穫したての自家製のミョウガを薬味にそうめんを食べるなんて、ちょっと贅沢ですよね。
山本耕平
編集者/Webマネージャー。2005年『NHK趣味の園芸』編集部に配属になり、園芸に目覚める。しかし庭がないので必然的にベランダーに。現在は園芸総合サイト「みんなの趣味の園芸」を担当しWebで園芸の楽しみ方を広げるために試行錯誤中。担当書籍『別冊NHK趣味の園芸 クレマチス 育て方から最新品種まで』など。