20代で転職を繰り返した人の方が、働き盛りの時期に高賃金を得ている (original) (raw)

「転職を繰り返すとキャリアを築く妨げになる」とよく言われますが、米誌『The Atlantic』の記事によると、20代の間ならば、転職を繰り返すのはむしろ良いことなのだそうです。理論上は、できるだけ早い時期に良い会社を見つけて仕事に慣れるのが、優れた方法のように思われるでしょう。けれども、全米経済研究所の新しい研究によると、それほど堅実でないアプローチの方が、長い目で見れば本人の得になる場合もあるとわかりました。キャリアの初期に転職した人の方が、働き盛りの時期により高い賃金を得られ、仕事への満足度も高くなる傾向があるのだそうです。『The Atlantic』誌は、次のように説明しています。

「キャリアの初期に頻繁に転職した人の方が、働き盛りの時期に高い賃金を得て、所得も高くなる傾向があります」と、論文の筆者の1人で、カナダにあるブリティッシュ・コロンビア大学のHenry Siu教授は言います。「頻繁な転職は、高水準の所得と相関関係があります。なぜならこうした人は、自分に合った仕事、つまり天職を見つけられたからです

「天職」という言葉が何を指すかは、難しい問題です。というのも、(a) 仕事の手腕、(b) 仕事から得られる満足度、(c) 報酬の3つが、高いレベルでそろうとは限らないからです。

才能があるのにひどい労働環境に置かれている投資銀行の行員(aとcはそろっているが、bが欠けている)もいれば、才能があって仕事に満足している公立学校の教師(aとbはそろっているが、cが欠けている)もいます。それから、プロスポーツチームのゼネラル・マネジャーで、bとcはそろっているが、aが欠けている人たちも。しかしSiu教授によれば、全般的には、何度も転職した成人の方が、働き盛りの時期に高賃金の仕事についている可能性が高く、離職の可能性は低いのだそうです。もちろん、因果関係を立証するのは困難ですが、積極的に行動することが離職回数の多さと賃金の高さの両方につながっているのでしょう

この記事は、「今すぐ仕事を辞めて他の仕事を見つけなさい」と言っているわけではありません。今の仕事に満足しているのなら、そのまま続けるべきです。でも、新しい会社で新しい仕事にチャレンジしたくなったときに、後ろめたい思いをする必要もないのです。たとえ周囲からは「責任感がない」と責められたとしても。

Quit Your Job|The Atlantic

Thorin Klosowski(原文/訳:ガリレオ)

Photo by Quinn Dombrowski