6月15日「生姜の日」の由来は「はじかみ大祭」・・・はじかみ? (original) (raw)
「生姜の日」
(しょうがのひ)
6月15日は「生姜の日」です。
生姜の研究・商品開発を行っている「永谷園」が
平成21(2009)年5月に制定した日です。
日付は、石川県金沢市にある
日本で唯一の香辛料の神様である
彌波自加大神(はじかみのおおかみ)をお祀りする
毎年6月15日に開催されている
全国各地の生姜などの香辛料の生産者、
香辛料の製品を扱う食品メーカー、
卸・小売業者、料理人、飲食店の方々から
生姜やスパイス、関連商品が奉納されます。
または、参拝者に清められた「生姜湯」が
振る舞われます。
はじかみ(薑)
「はじかみ(薑)」とは、
生姜 (しょうが)・山椒 (さんしょう)・山葵 (わさび)など
「歯で噛んで辛いもの」全般の古語です。
「はじかみ」の語源は、
「はじ」は「はぜる(爆ぜる)」の意味で、
「かみら」は「ニラ(韮)」の古称で、
歯で噛じって「爆ぜた」時に、
「ニラ」のような辛さで顔をしかめることから
来ているそうです。
「ニラ(韮)」の古称「かみら」は、
『古事記』には「加美良・臭韮」(かみら)、
『万葉集』には「久々美良」(くくみら)、
『正倉院文書』に「彌良」(みら)とあり、
この「みら」が、院政期頃から
「にら」に転訛したとされています。
『古事記』『日本書紀』の「神武東征」の中に、
長髄彦を討ち取った後の酒宴で詠まれた
「久米歌」の中に「かみら」が登場します。
みつみつし 久米の子等が
粟生(あはふ)には **臭韮(かみら)**一茎(ひともと)
そ根が茎 そ根芽繋ぎて
撃ちてしやまむ
勇ましい久米の者どもの
粟の畑には臭い韮が一本
その韮のように根も茎もひとまとめに
討ち取らずにおくものか
みつみつし 久米の子等が
垣下に 植ゑし椒(はじかみ)
口疼く 我は忘れじ
撃ちてしやまむ
勇ましい久米の者どもの
陣営の垣の下に植えた山椒ではないが
口が疼くほどの恨みを我は忘れぬぞ
討ち取らずにおくものか
なお、山椒も生姜も「はじかみ」だったので、
混同を防ぐために、
三国時代に呉から日本へ伝わった「生姜」は
「くれのはじかみ」とも言いました。
やがて時代が下がると次第に
「山椒」と「生姜」を区別するようになり、
室町時代には「しょうが」と呼ぶようになり、
江戸時代頃には「生姜」という漢字を
充てるようになったようです。
なお「矢生姜」を「はじかみ」と呼ぶのは
大昔の名残りです。
また温活成分の「ショウガオール」は、
大正6(1917)年にこの成分を発見した
野村博博士という化学者が、
日本名の「しょうが」に因んで命名した
ものです。
《参考》
波自加弥神社
古くはこの地方一帯が生姜の栽培地で、
守護神として彌波自加大神(はじかみのおおかみ)を祀ったことが起源とされます。
なお境内には、神功皇后の三韓征伐の折、
朝鮮半島より医薬としての生姜を
我が国に初めて伝えた、
朝臣・武内宿禰命(たけのうちのすくねのみこと)を祀る
摂社・諶屏堂(じんべいどう)が鎮座しています。
「はじかみ大祭」の起源
奈良時代に加賀国一帯が深刻な旱魃に襲われ
多くの人々が渇死した時に遡ります。
この事態を憂いた国造が
37日間の祈願を行ったところ、
満願日に金色に光輝く霊水が湧き出し、
これで人々は一命を取り留めることが
出来ました。
その後人々はその神恩に報いるために
「神饌」とすべき供え物を求めたところ、
旱魃下でも自生する乾燥に強い
「はじかみ(生姜)」しか残されていなかったので
これを献じて感謝の祭りを行いました。
この日が6月15日で、以来、全国でも類を見ない
連綿と続いています。
なお現在も湧き出ているこの時の霊水は
「黄金清水」(こがねしょうず)と呼ばれ、
生姜湯はこの霊水を使用して作られています。