「食べる」は続く / 姉の後悔 (original) (raw)

「まだまだ」は、あっという間に「もう」になり…

終日、雨。

昼だというのに雨のせいで部屋は薄暗く、気持ちまで暗く。

……そうでもない。

夜になり気温グッと下がり、寒い。

心も……そうでもない。

また今日も、また……今夜は何にしようか?

姉が美味しいと言うから、キャベツの千切り・冷奴、それもこの気温ではあり得ない。

洗うだけ・切るだけ・焼くだけ・茹でるだけ。

春から夏はこの「4だけ」に特化したおかずをグルグルと。

そして季節は移り秋から冬へ、これからどうする?

茹でる・煮るでいいじゃないか。

煮れば、日持ちもするだろう。

自分の50年後なんて想像だにできなかった、あの頃。

自分がバアサンになるなんて、他人にはあっても自分にはあり得ないこと。そう思ってました、マジで。

長いと思われた人生も、もう、いくつ寝ると……今思えば、結構、あっという間だったような。

45歳だって、そう遠い昔じゃない。

50歳なんて、ついこの間。

60歳は、昨日のことのよう。

そう思えるのに、ああ、それなのに、それなのに……身体は正直、忘れたふりして、忘れていたいのに、自分の歳を思い知らせてくれるのじゃった。

あーあーあーあー やんなっちゃった ♪

あーあああああ 驚いた ♪ 牧伸二

今までがあっという間なら、残された時間はどれほど短いのだろうか?

ああ、怖ろしい。

せめて、痛い、苦しい、辛い時間が少なくて済みますように。どうかお願いします。

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姉が言う。

「もっと、色々なところに行っておけばよかった」

そうでしょ、そうでしょ、わかります、私だってそう思います。

でも、それって完全に過去形じゃありませんか。

寝たきりになったわけでもないのに。

今からだって、行けないことはないのである。

それは本人次第なのである。

確かに、身体機能は衰え、昔のようにできない、歩けないでは楽しさも半減するかもしれない。

けど、それでも行く人は、行く。

待っていてもやって来ない。

要は、するか、しないか。

ああ、勿体ない、勿体なかった、過ぎた時間が。

あっという間だったね、あっという間。

これからは、もっと、あっという間だろう。

明日は、今日より、間違いなく年寄りだ。

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