日中首脳会談 (original) (raw)

令和5年11月16日

握手する両首脳 日中首脳会談 (写真提供:内閣広報室)

会談する両首脳 日中首脳会談 (写真提供:内閣広報室)

現地時間11月16日17時40分(日本時間17日10時40分)から、APEC 首脳会議に出席するため米国・サンフランシスコを訪問中の岸田内閣総理大臣は、習近平中国国家主席と首脳会談(約65分、同時通訳)を行ったところ、概要以下のとおり。

1 総論

岸田総理大臣から、本年は日中平和友好条約45周年の節目に当たり、両国の多くの先人達が幅広い分野において友好関係の発展に尽力してきたことに両国国民が思いを馳せ、今後の日中関係を展望する良い機会となった、日中両国が地域と国際社会をリードする大国として、世界の平和と安定に貢献するため責任を果たしていくことが重要である旨述べた。
両首脳は、日中間の4つの基本文書の諸原則と共通認識を堅持し、「戦略的互恵関係」を包括的に推進することを再確認した。その上で両首脳は、日中関係の新たな時代を切り開くべく、「建設的かつ安定的な日中関係」の構築という大きな方向性を確認した。
その観点からも、両首脳は、本年に入り、外務、経済産業、防衛、環境分野の閣僚間の対話が成功裏に開催されたことを歓迎した上で、引き続き首脳レベルを含むあらゆるレベルで緊密に意思疎通を重ねていくことで一致した。

2 協力

岸田総理大臣から、経済や国民交流の具体的分野で互恵的協力を進めていきたい旨述べるとともに、正当なビジネス活動が保障されるビジネス環境を確保した上で、日中経済交流の活性化を後押ししていきたい旨述べた。
両首脳は、環境・省エネを含むグリーン経済や医療・介護・ヘルスケアを始めとする協力分野において具体的な成果を出せるよう、日中ハイレベル経済対話を適切な時期に開催することで一致した。また、両首脳は、日中輸出管理対話の立ち上げを歓迎した。
また、両首脳は、マクロ経済についての対話を強化することで一致するとともに、日中協力の地理的裾野が世界に広がっていることを確認した。加えて、両首脳は、共に責任ある大国として、気候変動などのグローバル課題についても協働していくことで一致した。
さらに、両首脳は、様々な分野において、国民交流を一層拡大していくことで一致し、日中ハイレベル人的・文化交流対話を適切な時期に開催することで一致した。

3 懸案

岸田総理大臣から、5月の日中防衛当局間の海空連絡メカニズムの下でのホットラインの運用開始を歓迎しつつ、安全保障分野における意思疎通の重要性を述べた。また、尖閣諸島を巡る情勢を含む東シナ海情勢について深刻な懸念を改めて表明し、日本のEEZに設置されたブイの即時撤去を求めた。また、ロシアとの連携を含む中国による我が国周辺での軍事活動の活発化等についても深刻な懸念を改めて表明した。
また、台湾海峡の平和と安定が我が国を含む国際社会にとっても極めて重要である旨改めて強調するとともに、(先方から台湾に関する立場を述べたのに対し、)我が国の台湾に関する立場は、1972年の日中共同声明にあるとおりであり、この立場に一切の変更はない旨述べた。
また、岸田総理大臣から、中国における邦人拘束事案について、邦人の早期解放を改めて求めた。
さらに岸田総理大臣から、ALPS処理水の海洋放出について、科学的根拠に基づく冷静な対応を改めて強く求めるとともに、日本産食品輸入規制の即時撤廃を改めて求めた。 双方は、お互いの立場に隔たりがあると認識しながら、建設的な態度をもって協議と対話を通じて問題を解決する方法を見い出していくこととした。

4 国際情勢

両首脳は、拉致問題を含む北朝鮮、中東、ウクライナなどの国際情勢についても議論を行った。また、両首脳は、国際情勢について緊密に意思疎通していくことを確認した。