いわゆる「パンデミック条約」の交渉(パンデミックの予防、備え及び対応(PPR)に関する新たな法的文書) (original) (raw)

令和6年11月20日

経緯

世界保健機関(WHO)は、疾病の国際的伝播を最大限防止することを目的とした国際保健規則(IHR)(注1)を定めています。このIHRでは、地域・国家レベルの、国境における日常の衛生管理及び緊急事態発生時の対応に関して最低限備えておくべき能力(通称:「コアキャパシティ」)が規定されています。このコアキャパシティを十分に満たしていると評価されていた先進国であっても、新型コロナウイルス感染症の流行下では、甚大な影響を受けました。
こうした各国の新型コロナウイルス感染症対応の教訓を踏まえ、2020年から2021年にかけて、WHOの強化を含め、世界の健康危機への対応能力の構築・強化に関し、WHOにおいて、パンデミックへの備えと対応に関する独立パネル(IPPPR)・国際保健規則(IHR)検証委員会・独立監視諮問委員会(IOAC)における議論を踏まえ、WHO加盟国間で議論が行われた結果、現在のIHR(2005)を改正するための議論を行うとともに(注2、3)、パンデミックの予防、備え及び対応(PPR)に関するWHOの新たな法的文書(WHOCA+)(注4)の作成に向けた交渉を行うことが決定されました(注5)。
これら2つの文書による枠組みが相互に補完し合うことで、世界の公衆衛生のより良い協調が実現されることが期待されます。

政府間交渉会議(INB)

2021年12月のWHO特別総会において、加盟国は、WHOCA+の作成のための政府間交渉会議(INB)(注6)の設置を決定しました。2022年2月に最初の会合が開催されて以来、2024年5月の第77回WHO総会に成果物を提出することを目指して交渉が行われてきましたが、同総会での交渉妥結には至らず、同総会において交渉の延長が決定されました(詳細は、第77回WHO総会決定概要資料別ウィンドウで開く参照)。
なお、これまでの交渉過程において、ワクチンの強制接種や言論統制など、国家主権の制限や基本的人権の侵害について懸念を生じさせるような内容に関する議論は行われておらず、交渉中の条文案(英語)(PDF)別ウィンドウで開くにも含まれていません。
我が国は、パンデミックのPPRを強化するため、国際的な規範を強化することが重要であるとの立場であり、国際的な感染症対策の促進について、引き続き建設的に貢献していきます。

これまでの各会合の概要