国民民主代表選が告示、野党共闘が争点に - 日本経済新聞 (original) (raw)

9月4日投開票の国民民主党代表選が22日告示され、玉木雄一郎共同代表と津村啓介元内閣府政務官が立候補した。両氏は共同記者会見や討論会で、2019年参院選に向けた野党共闘の進め方について論戦を交わした。先の通常国会で野党第1党の立憲民主党との溝を生んだ独自路線をどう修正するかが焦点だ。

国民民主党代表選に立候補を届け出、共同記者会見を前に握手する玉木氏(左)と津村氏(22日午後、東京・永田町の党本部)

選挙は有権者の得票数に応じた計284のポイントで競う。国会議員61人(1人当たり2ポイント、22日除籍の柚木道義氏は無効)と国政選挙の候補予定者18人が半分の比重を占める。地方議員と一般の党員・サポーターはそれぞれ71ポイントで、得票数に応じて比例配分する。9月4日に臨時党大会を開き、新代表を選出する。任期は21年9月まで。

選挙戦初日、論戦の主なテーマとなったのは参院選をにらんだ野党共闘だ。津村氏は1人区について「事前に他党と調整して一本化できる状況をつくり、候補者を擁立すべきだ」と迫った。玉木氏は「まずは私たちの独自候補を立てるのが第1段階だ」と語った。

津村氏は共産党との協力も辞さない考えを示した。16年参院選で当時の民進党が香川選挙区を共産党の候補に譲った共闘を「一つのモデル」と評価した。香川が地元の玉木氏は「相当苦労した」と当時を振り返り、懐疑的な考えを示した。

5月に旧民進党と旧希望の党が合流して誕生した国民民主党は野党第2党だ。日本経済新聞社の7月の世論調査では党支持率が1%と低迷した。22日には柚木氏が離党届を出し、党総務会は除籍を決めた。参院選に向け野党共闘と党勢拡大が喫緊の課題との主張では両候補で一致する。

異なるのはどこまで共闘に踏み込むかだ。津村氏は党の目標を野党全体で参院選改選議席の過半数に置く。「小異を捨てて大同につくべきだ」と明言する。玉木氏は党の独自性と野党共闘のバランスに配慮する。

玉木氏ら執行部はこれまで「対決より解決」を掲げ、立憲民主党などの徹底抗戦の国会戦術と距離を置いてきた。6月に成立した働き方改革関連法では参院厚生労働委員長の解任決議案に同調せず、付帯決議を優先した。他の野党との不協和音を印象づけた。すでに玉木氏も「解決もするし対決もする」と修正を表明している。

ただ玉木氏の推薦人には、国民を支持するUAゼンセンや電力総連、電機連合など産業別労働組合の出身議員が並ぶ。民間労組には、審議拒否も辞さない立民などの国会戦術が「何でも反対」の姿勢に映り、抵抗感も根強い。玉木氏は22日も付帯決議を狙う戦術について「取るときもあるし、取らないときもある」と指摘した。

立憲民主党は野党内では高い10%前後の党支持率が続く。参院選比例代表での統一名簿などの野党連携には慎重で、2人区を含め複数区は全て候補を擁立する方針を示す。国民民主党内には別々に選挙戦に臨む以上、埋没しないように党の独自色を重視する声も強い。