現代に必要不可欠なインフラを支える隠れた巨人。世界を代表する自動車グループのITを担うトヨタシステムズ (original) (raw)

オンラインストア運営サービスheyの佐藤裕介氏に、ベンチャーキャピタル「ANRI」の佐俣アンリ氏。若手では、プログラミング学習サービスProgateの加藤將倫氏、VTuber/バーチャルライバーグループ「にじさんじ」の田角陸氏。これら名だたる経営者は、キャリア形成初期にある男との出会いを経験している。

本田謙。シリアルアントレプレナーでフリークアウト・ホールディングスの創業者の彼は、これまで新たな事業を次々と生み出し、また、エンジェル投資家としても多くの才能ある起業家に投資してきた。

どうして本田氏の周りには、まだ見ぬ才能が集まるのか。そして「狙うはTOP0.1%」と語るキャリア戦略はいかにして実現できるのか。

東京とシンガポールを拠点に活動する本田氏に、ワンキャリア取締役でベストセラー作家でもある北野唯我がZoom対談で迫った。

「初めて会うのに、成長速度まで感じられる人材」。本田氏が若者に投資を決める瞬間

北野:本田さんは経営者としても投資家としても、特に若い人たちに注目されています。直近ではProgateの加藤さん、VTuber(バーチャルYouTuber)が所属する「にじさんじ」を運営している田角さん、その上の世代では少し前では佐藤さんに佐俣さん。本田さんが若い人に投資をする理由はなんでしょう?

本田:あくまでも本業は、フリークアウトの経営です。でもそこには波があって、新しい知見を広げたいとか、社内の忙しいときが落ち着くと、急に投資意欲が高まります。ちょうど3年くらい前がそういう時期で、Progate加藤さんだったり、まだ「にじさんじ」を作る前で当時21歳の大学生だった田角さんらに投資をさせていただきました。

本田 謙(ほんだ ゆずる):フリークアウト・ホールディングス 代表取締役社長 Global CEO。2005年、株式会社ブレイナーを設立し、2008年にヤフーに売却。その後、エンジェル投資を本格的に始める一方、2010年にフリークアウト設立。創業から3年9カ月後の2014年6月、東証マザーズに上場。2017年1月よりフリークアウト・ホールディングスへ商号変更し、ホールディングス体制に移行。

北野:会ってすぐ投資を決定されたのでしょうか? 「投資してほしい」という依頼はたくさんくると思うのですが、投資する人としない人の差はなんでしょうか?

本田:1つは事業領域で、Progate加藤さんの場合は、East Venturesの松山太河さんからの紹介で安心感があったのと、私自身がエンジニア出身でオンラインのプログラミング教育に興味や、応援したい気持ちがあったからです。

北野:ということは、まず「紹介してくれる人」と「事業領域」が投資の判断を左右するということですか?

本田:そうですね。でもそれ以上に「人」を見るので、話して優秀だと分かれば、ありですね。

北野:「優秀」というのは、どういう部分で見極めますか?

本田:起業家に限らずですが、初めて会う若い人の場合は、1回目と2回目の変化を見ることが多いです。その人にこれから起こる将来の成長速度を見極めたいんですよね。でも時折、それすらすっ飛ばして、初めての打ち合わせで投資を決めることもあります。それは初対面でも、会話の中でその人の成長速度を理解できて、投資に確信が持てたから。

例えば、いきなり作ったものを見せられて「経験はないけれど作ってみた」と言われれば、「経験がなくても、数カ月でこういうものを作れる人なら、間違いなく成長速度は早そうだな……」と推測できるので、どのように開発したかに質問を移します。「にじさんじ」の田角さんはそういうタイプで、会って5分で投資を決めました。

北野:確かに「起業家」に限らず、ビジネスパーソンの未来は「現時点」以上に「成長曲線の角度」で決まりますね。

エンジニア、サービス、顧客、パートナーの全てが「一流」。フリークアウトがインターネット広告を次のレベルに引き上げるために

北野:フリークアウトは2019年間実績の連結決算サマリを読むと、連結売上高は前年から47.2%の増加だった一方、連結EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が4.9億の赤字でした。この数字を本田さんはどう解釈していますか?

本田:前期(2019年)は3カ年中期計画のちょうど真ん中の年にあたります。事業進捗(しんちょく)の上で、大きな変更が発生してしまった中でしたが、その中にあっても、海外事業などを当初の計画以上に前倒しを進めるなどして、売上については、何とか計画で出したペースで拡大はできました。その一方で、急激に組織が拡大し、投資も増やしたため、利益に関しては後ろ倒しにせざるを得なかった、という内容になっています。

そのような中で迎えた今期(2020年)も中盤を終えたところですが、コロナの影響を受けたにもかかわらず、1Q、2Qについては、特に収益面での急速な改善を果たせました。このことは金融機関などからも評価いただいていて、今後のさらなる成長を期待していただけるものだと思っています。

北野:最近では海外にも展開していて、2019年の売上は台湾で28.6億円、アメリカで27.2億円と海外事業も順調に展開されている印象があります。改めて、フリークアウトの強みは何でしょうか?

本田:「技術力の高さ」と、これまでになかった「ポジション」ですかね。我々はデマンドサイドと呼んでいる、広告を買う広告主側だけに特化したサービスを祖業として始めたこともあって、広告主が安心して買えるインターネット広告を目指す意識や、インターネット広告をより良くしていきたいという、パッションやモラルが極めて高い会社だと思っています。

そして、この意識をテクノロジーカンパニーとして持っているのが、稀有(けう)な立場と言えるでしょう。「広告をより良くしていきたい、テクノロジーによって」とまとめてしまうと、当たり前のことに見えますが、その基準を高くして、突き詰めたプレーヤーはいなかったんですよ。

北野:どういうことでしょうか?

本田:残念ながら、インターネット広告には、いまだに違法性の高い媒体に掲載されるリスクや虚偽の広告表現という問題が付きまといます。

インターネット広告の市場規模はテレビ広告を超えており、トップメディアといえる存在になりました。だからこそ、今お話ししたようなアングラな広告は排除されていくべきなのですが、それには、何より我々のような広告インフラを作る企業が、高いモラルを持たねばならないと思っています。

フリークアウトには多数の優秀なエンジニアが集まっています。エンジニア集団が広告システムを作っているからといって、「ルールを逆手にとってやろう」みたいな、悪い意味でのハッカー的な要素や、アングラなものを扱うようなことは決してありません。

北野:インフラ側が正しくあることで、広告コンテンツも浄化していくと。

本田:「高いモラルで、超一流のサービスを、一流の顧客に提供する」。会社としてはすごく真っ当で基本的なことだと思いますが、創業以来、このスタンスにことのほかこだわって、違法媒体や虚偽広告とは無縁の姿勢を貫いてきました。

そこが評価されたからこそ、LINEの広告プラットフォームを作りましたし、タクシー広告も日本交通グループと始めることができました。最近はTVerのような民放5社のプラットフォーム開発なども進めています。取り組みをご一緒するパートナーさんがどれも一流なところばかりなのは、当社の思想やポジショニングのたまものだと思っています。

北野:確かに、フリークアウトは「人に人らしい仕事を。」という企業理念を掲げていらっしゃいます。企業としてのフラットさが、海外でも受け入れられつつあるのでしょうか?

本田:海外事業に関しては、企業理念の理解はしてもらっていますが、事業そのものは、日本の延長でやっているわけではありません。各国の事情を見た上で、最適なものを落とし込むような進め方をしています。

北野:「国によって違う」とは、例えばどういうことでしょう?

本田:例えばタイだと、街中にやたらと大きいデジタルサイネージを見かけたり、あるいは、映画館の上映前トレーラー広告が日本よりも長くて30分くらいあったりして、タイの広告全体で見ても割合が高いです。そうなると「ちょっと派手なもの。例えば動画広告が、他国よりチャンスがありそう」と考えられますよね。

一方、同じ東南アジアの中でもフィリピンのように英語話者が多い国では、自国の媒体が育ちにくい。同じ英語で発せられる米国などの媒体がライバルになるので、現地媒体からしたらつらいですよね。

考え方として大事なのは、アメリカ、日本、そして少し遅れて他のアジア諸国という、直線的な流れでグローバルの視野を持つのではなく、国ごとの特色が明確にあり、それを多国展開の戦略に盛り込んで動けているかというのが、重要です。

北野:ただ、それでも現地の企業からすると「わざわざ、日本の企業が何で来るの?」となりませんか?

日本テック業界のエコシステムは、他国に誇れるものだ

ナイジェリアで行われたスタートアップイベント

本田:私は日本のテック業界、特に自分たちのいるアドテク業界は、賛否はあるけれど、自国企業群による強固なエコシステムを作れている点は高く評価しています。フリークアウトにおいても、創業からかなり短期間で、利益を出して上場ができる会社が作れました。

そして、同業の会社も同じようにいくつも上場するというのは、立派なエコシステムが形成されている証拠だと思うんですよ。私が海外に出て講演などするときは、そういう話をすることが多いです。

北野:具体的に、どういうことですか?

本田:フリークアウトは日本で最初にRTB(リアルタイム広告取引)という広告取引のマーケットを作った企業です。その実体験から、プラットフォームの全取りという戦略に走らず、エコシステムをきちんと作ることで、複数の企業群が安定的に収益を出せる仕組みを作ってきた自負があります。そして、それは他国にも展開可能であると考え、グローバル展開を進めているのです。

つまり、我々が提供できるものって「GAFAのような強い海外企業が来ても、きちんと自国市場を守っていける事業とマーケットのレシピ」なんですよね。去年、ナイジェリアのスタートアップイベントでもこの話をしましたが、海外でスタートアップの集まりでこういう話をすると、非常に受けが良いです。

北野:面白いです。つまり「プラットフォームではなくエコシステムで勝つ」と。本田さんは、グループ会社のインティメート・マージャー(以下IM)が上場した2019年10月にこうツイートされています。

フリークアウトとして起業家を輩出したいという思いは強く、この度のIM社上場は、我々がM&Aした会社の上場ではなく、7年前に社員として来てくれた簗島社長が、グループ内で会社を作って上場を果たし、それが当グループの子会社上場1号であったことが、我々にとって大変意義深い。続くぞ

— usedhonda (@usedhonda) October 24, 2019

これもプラットフォームではなく、エコシステムに近い考えでしょうか?

ホールディングス企業としての「エコシステム戦略」

本田:はい。子会社上場は、2017年に会社をホールディングカンパニーに移行した時点で、明確に実現したかったことの1つです。グループ会社を複数上場させていきたいですし、フリークアウトらしいグループとしての企業郡の在り方を、世間にお見せしたいです。

北野:こういう有機的なつながりは、日本っぽいなと僕は思いますが、ぶっちゃけ、プラットフォームの方がもうかりません? TOYOTAの豊田章男社長も「トヨタを『強い企業』にしたいと思ったことは一度もない」という一方で「世界中の仲間と『ともに』強くなる」と語られていました(※)。

ただ、プラットフォーマーの方がいわゆる「ONE TAKES ALL(総取り)」の世界で、もうかりそうでもあります。本田さんがエコシステムのような思想を持ったきっかけってありますか?

(※)参考:トヨタイムズ「『私はトヨタを“強い企業”にしたいと思ったことはない』 2020年3月期決算説明会豊田社長メッセージ

本田:グローバルに出る前は、自分たちが日本でやってきたことや、海外の国と比較した日本の特徴に対して、ここまで強く意識したことはなかったです。いざグローバルに出て行くときに、アメリカや中国から攻めてくるプレーヤーとフリークアウトがどう違うのかを突き詰めて、どう説明するのかを考えた際に、自分たちがやってきたことを見つめ直したことが強く影響しています。

日本ほどデジタル広告市場が成熟していない国においては、「GAFAにやられずに、いかにプレーヤーとして続け、事業を伸ばせるか」という課題への答えがイメージできず、その国のプレーヤーの頭の中に常につきまとっています。そこで私のような人間が日本からやってきて、日本のアドテックでRTB市場ができてからのエコシステム形成の話をすると非常に興味を持ってもらえます。

北野:面白い! 確かにヨーロッパでもGAFAは嫌われていると聞くし、僕が途上国にいる人間だったら、GAFAには「来てほしいけれど怖いな」という感情を持ちそうです。そのカウンターパートとして、エコシステムは響く話なのかもしれませんね。

本田:特にベンチャーの集まりだと喜ばれます。どういう風に行動すれば、ここにいる人たちが少しでも多く勝てるのか、という観点で話をするわけじゃないですか。「ゲーム理論」の要素もありますよね。

北野:具体的にどういう話をするのですか?

本田:アドテックに限らずですが、各国の顧客が持つ独特の悩みやペインにカスタマイズすることがカギです。グローバルの統一プラットフォームは、そこまで細かくカスタマイズできないですからね。

あとは、国ごとのペインがどれだけ違うかを理解してもらうために、日本の話をすることもあります。「みんなで地域独自のペインを解決しまくって、ここにしかないユニークなマーケットを作ろう。そういうところに投資したい!」って呼びかけるわけです。

北野:フリークアウトでいうと、どの事例が当てはまるのでしょうか?

本田:タクシー広告の取り組みが一番分かりやすいですね。もちろん、GAFAは今のところ同じことはやっていません。タクシー後部座席のタブレット広告は海外にもありますが、決済機能をはじめ、細かいところで日本という国の独自事情に特化したものになっています。

北野:タクシーにIoT型のデジタルサイネージを搭載し、乗客に最適な広告を表示させるサービスですね。

本田:これは「わざわざアプリで呼ぶまでもないほど、街中にタクシーがあふれている東京」を皮切りに始まった媒体事業でした。そして、乗客は「タクシーの中で必要のない広告を見せられるのは嫌だ」という気持ちもある。

この日本マーケット特有の課題に向き合い、乗車客のスマホと設置タブレットを決済端末とし、降車の際に不可欠な決済をスムーズに実現することで、乗車体験の中に自然と広告を織り込む流れを作ってきました。つまり「タクシーを拾うことがペインというわけではない」という点から、サービスの設計を始められたのが強みというわけです。

各国特有の課題を見つめることこそが、分かりやすくGAFAとの差別化を生み出せる要素だと思っていますし、グローバルにおいて、我々のこのような知見が、ますます求められていると感じています。

フリークアウトから、新卒プロパーのカリスマ経営者を輩出したい

北野:これからフリークアウトに入社する学生からすれば、第二の佐藤さん、アンリさんのような経営者が出てくるのか。あるいは自身がそれになれるのか、ということに興味があると思います。今後もフリークアウトからカリスマ経営者が出てくると思いますか?

本田:もちろんイエスです。実際、上場できる事業を作り出しています。インティメート・マージャー社の簗島社長はフリークアウトの社員として入社し、その後、インティメート・マージャーをゼロから生み出しました。となれば、次の狙いは新卒プロパーで同じようなことをやってくれる人を輩出したい。

うちから飛び出して起業する、IPO(新規上場)まで持っていく、フリークアウトのグループ会社の社長になる、いろんなパターンがあって良いと思います。ただ、その中にあっても新卒プロパーからは、子会社上場企業社長の輩出と、多数事業会社を擁するホールディングスにおける役員クラスとしての登用、この2点の実現を強く意識しています。

北野:ただ、一般的には、会社が大きくなると保守的な人が増えるイメージがあります。フリークアウトはどうでしょうか?

本田:会社が大きくなるからこそ、「会社に縛られない人」は価値ある存在になります。そういう意味では、一度フリークアウトの外に出て起業して戻ってくるというような「出戻り」は歓迎していますし、それすらも会社の「中」のキャリアとして認識して良いと思っています。

北野:実際、そういう人はいるんですか?

本田:います。しかも戻った後に活躍してくれる人は、多いですね。私も社長の立場で明確に「出戻り」は歓迎していますし、戻って来る方はフリークアウトの文化が分かっていますから、ミスマッチは限りなくゼロに近いです。

HD本体、グループ会社、海外、出戻りのパターンまで含め、大企業のようなキャリアの選択肢と、スタートアップらしい急成長や若手登用といった文化がうまく融合しているのが当社の特徴です。フリークアウトを設立して10年で、会社を土台にして急成長を遂げたい優秀な若い人たちが活躍できるような場が、ようやく出来上がってきたと思えるようになりました。

隣と同じことをやってトップになんかなれない。1%でなく、0.1%を目指せ

北野:起業家でなくても、最速でTOP1%に登り詰めるために、20代のうちに経験した方が良いことってありますか?

本田:僕、エンジニアなので1,000の倍数の方が好きだから、1%じゃなくて0.1%を目指した方が良いと思っています(笑)。

北野:良いですね(笑)。

本田:起業家にもよく言うのですが、IPOできる会社は1,000社に1社です。だから、あなたも、あなたの隣にいる起業家もIPOできると思わない方が良い。これは働き方の流儀でも言えることで、この考えが染み付いていれば、隣の人とただ同じことをやるようなことはなくなります。

北野:でも、いきなり人と違うことってできないですよね?

本田:そこは教科書通りではありますが、努力を積み重ねて確率を上げ、1000分の1に少しでも近付けていく。

北野:努力の積み重ね方に秘訣(ひけつ)はある?

本田:人が劇的に飛躍するときって、今までやってきたいろんなことが、ある瞬間につながるときなんですよ。1つのことに集中してしまうと、30〜40代で花開くかもしれませんが、20代では難しいでしょうね。

北野:複数のことを経験する必要があるということですね。本田さんも同様ですか?

本田:私は20代で、アメリカに行ったり、全然違う仕事をしたりしていて、30代になって広告一本に絞りました。今はWFH(Work From Home=リモートワーク)の環境も整ってきているので、会社に所属しながら、他のことをやるのも、やりやすくなっているんじゃないですか?

北野:20代に経験したことで、特に今の仕事に役立っていることってありますか?

本田:音楽の仕事ですかね。私、広告はアートだと思っているんです。テクノロジー会社なので、数値の改善がミッションにはなりますが、「消費者の共感と感動の積分値を最大化する仕事」に携わっていると思っています。事業の命題が「感動や共感といったアートの側面の強いものをどこまで数字に落とせるか?」であるとするなら、アートの理解は仕事の根幹にもなってくる。

だから、音楽の仕事で培った感覚は役立っているし、会社の文化のところどころに、音楽やアートの要素を取り入れるのも、自分だからその塩梅(あんばい)はコントロールできているという自負があります。

北野:面白いです。広告と音楽、つながりがなさそうな部分がつながっていく。

本田:もちろん、20代の頃に米国の大学や、帰国してからつくば市の国研(国立研究開発法人)で複数のサイエンス分野に身を置いたことも役立っています。

アート、サイエンス、テクノロジーの総力戦ですよね、今の広告って。自分自身は20代でアートとサイエンスをやってから、テクノロジーを武器にした広告会社の経営へと進みました。振り返れば、一見ものすごく遠回りだったけれど、20代における身の置き方は、結果的には良い伏線だったと思っています。

フリークアウトで学ぶ、今の時代に生き残る方法

北野:最後の質問ですが、今、フリークアウトに新卒で入った方が良い人、あるいは入る魅力について教えてください。

本田:私が社員に接するときに気を付けているのは、「今の時代に生き残れる人になってほしい」ということです。フリークアウトでしか生きられない人にはなってほしくありません。Jobで体験できることも、フリークアウトでしか通用しないことではないはずです。今の時代を生き抜くために、Jobも、その後の入社も、これからの時代に強く生きていくために、フリークアウトをオススメしたいし、会社としてそういったものを提供していきたい。

北野:フリークアウトのJobは確かに毎年評価が高い。特に「事業の作り方が分かる」という面では、日本でもトップレベルの評価だと聞きます。「今の時代」という表現がありましたが、具体的にどのようなことが必要だと思われていますか?

本田:2020年の話で言えば、コロナで長期の在宅勤務を皆が経験しました。それが今後何かしら、業務に組み込まれることを想定すると、これからは個としての強さがさらに求められているのかなと思います。一人で完結しなくてはいけない仕事も増えてくるだろうし、マネージャー職からしたら、仕事の振り方や、評価の仕方も変わってくるでしょう。

北野:しかし、リーダーの中には、自分で考えて、全部自分でやった方が良いという人もまだ多くいます。

本田:私の場合、フリークアウトが2度目の起業であることが大きいです。1度目は、すごい勢いで事業が伸びて、経営や組織などいろいろ学ぶ前に、ひたすらプログラムばかり書き続けていたら、あっという間に買収されて終わってしまったという感覚でした。

その経験があったので、フリークアウトでは「仕事をどんどん皆さんに渡していって、組織を大きくしよう」と意識し続けています。今の経営スタイルは、自分の手持ちのビジネスを人にどんどん渡して、自分は会社のトップがやるに値する、まだ会社の誰もが手を付けていない次の仕事を探すこと。日々これの連続ですが、そうなったのはこの経験が大きい。

北野:自分のものから、みんなのものという感覚が強くなったということですか?

本田:はい。幸い、優秀な人たちが連続的に集まってくれていて、彼らが真剣にフリークアウトのことを考えてくれるし、それぞれが私とは違う景色を見ていて、その違いが面白いです。

北野:最後に学生たちにメッセージをいただけますか?

本田:繰り返しますが「狙うは0.1%」です。その0.1%に到達するには普通にやっていてはダメで、戦略的に目指すしかない。

例えば「好きか得意かでいったら得意を狙え」みたいなのもそうです。それを「好きなことを諦めないといけないのか……」と否定的に解釈せず、「得意なことをやって結果を出せば、好きなものをより楽しめるようになる」とポジティブに解釈するなら、実は0.1%にたどり着くためのレシピの1つ1つは、人生を豊かにするためのものも多いです。

そのレシピ集めと実践の場として、フリークアウトのJobへの参加や入社を検討してもらえたらうれしいですし、そうでなかったとしても、多くの知識を集めて、自分なりの「0.1%到達レシピ」を作って、実りの多い20代を送ってほしいと思います。

北野:ありがとうございました。

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