【全21種】ホラー映画のジャンル一挙解説「イラスト付」 (original) (raw)
ホラー映画のジャンルは何種類あるのか?
1895年に誕生したとされるホラー映画。それから約130年、大まかな組分けだったホラー映画は、その内容によって細かくジャンル分けされていった。
今回はそんなホラー映画で分類されている21種類のジャンルをその特徴も合わせ簡潔に一挙解説。
果たして、あなたの好みの映画はどのジャンルに属するのか。これを見て自分の好みを見極めよう。
【全21種】ホラー映画のジャンル一覧表
ホラー映画は、その恐怖の感じ方により細分化される。 今回は怖さの感じ方で21種類に分類されるジャンルの大まかな概要一覧はこんな感じに。
ジャンル | 概要 | 該当映画(例 |
---|---|---|
サイコホラー | 生きた人間の狂気を描くホラー | エスター |
ミステリーホラー | 謎解き推理を主軸に置くホラー | 羊たちの沈黙 |
サスペンスホラー | 不安や緊張感を主軸と置いたホラー | レッド・ドラゴン |
SFホラー | 科学的な空想世界観が舞台のホラー | エイリアン |
オカルトホラー | 目に見えないモノが与える恐怖 | 死霊館 |
ゾンビホラー | ゾンビ達が襲いかかる恐怖 | ドーン・オブ・ザ・デッド |
スラッシャーホラー | ◯人鬼が刃物で人々を襲う恐怖 | エルム街の悪夢 |
スプラッターホラー | 血しぶきの演出が過剰に強いホラー | 13日の金曜日 |
アニマルホラー | 現実的な動物や昆虫に襲われる恐怖 | ピラニア |
モンスターホラー | 非現実的な怪物に襲われる恐怖 | ビッグ・バグズ・パニック |
ファウンド・フッテージ | 第三者に見つかった(found)映像(footage)という設定のホラー | ブレア・ウィッチ・プロジェクト |
POVホラー | 登場人物の持つカメラ越しに観る主観視点で完結するホラー | クローバー・フィールド |
コメディホラー | コメディ描写のあるホラー | チャイルド・プレイ/チャッキーの種 |
クロスオーバーホラー | 異なる映画のキャラクター同士のコラボホラー | フレディーvsジェイソン |
アクションホラー | 爽快なアクションシーンのあるホラー | バイオハザード2 |
オムニバスホラー | 一つのメインテーマを持つ複数の短話集 | 呪怨 |
シチュエーションホラー | 限定されたシチュエーション(特定の部屋等)で展開されるホラー | キューブ |
村ホラー | 田舎独特の風習や宗教によるホラー | アルカディア |
青春学園ホラー | 青春を謳歌する若者に襲いかかる恐怖を描く | ハッピー・デス・デイ |
ジャパニーズホラー | 精神的苦痛を主軸に置き血の描写がない日本独自のコンプラホラー | リング |
新感覚ホラー | これまでにない斬新なアイデアのホラー | クワイエット・プレイス |
【全21種】ホラー映画のジャンル個別にイラスト付きで一挙解説
ホラー映画は恐怖の種類によってジャンルが細分化されており、ざっと確認するだけで21種類以上のも分類が存在する。合わせて物語の内容によっては複数のジャンルにまたがった作品も多く、一つの映画に一つのジャンルが振り当てられるわけではない。
例えば「羊たちの沈黙」は、異常な精神性を持つサイコパスな犯人が登場し凄惨な事件が起きる「サイコロジカル」の一面、その犯人を犯行現場に残された証拠品を読み解き推理し追い詰める刑事「ミステリー」な一面、さらに刑事に協力する重大な犯罪者から漂う緊張感「サスペンス」な一面、それらが恐怖を持って描かれる「ホラー」という3つの要素を含まれていたりする。
なかなか単純なカテゴリーにジャンル分けできない分野ですが、今回は単純化した21種類を解説していきます。それではどうぞ!
・サイコホラー
生きた人間が持つ狂気を描いたホラー。サイコロジカルホラーの略称。
このジャンルは視覚的にわかりやすい怖さではなく、人間の異常行動などで心理的、精神的にじわりと感じる恐怖をメインに置いた作品が分類される。
サイコホラーでは、たいてい平然と人の道を外す人物が登場し次々と登場人物達を襲う作品が多い。
サイコホラー映画
・サイコ:謎めいた青年の狂気を描く
・エスター:9歳の少女エスターを養子に迎えた家族に起こる悲劇
・ミステリーホラー
謎解きや推理を主軸に置きつつも、恐怖感も同時に味わうジャンル。
最後の最後でドンデン返しなエンディングに驚愕する作品も多い。
ミステリーホラー映画
・羊達の沈黙:シリアルキラーと新米FBI捜査官による犯罪捜査
・セブン:7つの大罪を模した犯罪の謎に迫る
・サスペンスホラー
不安や緊張感といった恐怖感を主軸としつつ、同時に劇中で起こる出来事の謎に迫っていくホラーのジャンル。
非常に似た性質を持つミステリーとサスペンスだが、両者の違いは謎解きを主軸に置くか置かないかの違いが大きい。謎解き要素が主軸であればミステリーに、謎解きがメインでなければサスペンスという分類。
例えば恐怖を演出しつつ犯人を特定する物語がミステリーホラー、視聴者には犯人の顔が分かった状態でその犯行や行動に恐怖を感じる物語がサスペンスホラーという具合。
サスペンスホラー映画
・レッドドラゴン:トラウマの脱却を目指す犯人と、その犯行を追うFBI捜査官
・ファイナルデスティネーション:予知夢で事故を回避した者達に迫る非回避の死の運命
・SFホラー
近未来などの科学的な空想の世界観を持つホラー。
大半のSFホラー作品でのホラー要素は「異星人に襲われる恐怖」を描くものが多い。
SFホラー映画
・エイリアン:地球外生命体に襲われる宇宙船員達
・ライフ:火星の土に潜む地球外生命体に襲われる宇宙飛行士達
・オカルトホラー
超自然の現象や神秘的現象また目に見えない恐怖を描いたホラージャンル。
ホラー映画の定番中の定番なジャンルで別名「心霊ホラー」とも言われる。呪われた人形や呪われたビデオなど、科学的に説明できない「何かしら」に襲われる恐怖を描いた作品が分類される。
オカルトホラー映画
・死霊館:田舎に移り住んだ家族を襲う不可解な現象
・エクソシスト:少女に取り憑いた悪魔を祓う神父
・ゾンビホラー
読んで字のごとくソンビに襲われる恐怖を描いたホラー。
ゾンビ作品の定番である人がゾンビになる原因がウイルス由来はもちろんの事、一昔前に流行した黒魔術によるゾンビ化はこのジャンルの基軸。
また一般的なゾンビの雰囲気(亡き者が動く)とは違うものの、生きている状態で理性を失い襲いかかってくるパターンもゾンビホラーに含まれる事が多い。
コメディ描写との親和性が非常に高く、ギャグ寄りのもあれば恋愛寄りの物までなど、ゾンビホラーの中でのサブジャンルも多岐に渡る。
ゾンビホラー映画
・ドーンオブザデッド:走るゾンビの群衆が登場
・ワールド・ウォーZ:ゾンビに支配された世界、ある遺伝子が世界を救う
・スラッシャーホラー
◯人衝動に駆られた◯人鬼が、一般人の集団を次々とつけ狙い命を奪っていくホラー。
凶器に刃物が使われている場合、多くはこのジャンルに分類される。またお決まりとして、過去の過ちやトラウマが刺激され◯人鬼が◯人に駆り立てる構造をもっている。
スラッシャーホラー映画
・エルム街の悪魔:夢に現れ鉄の爪で引き裂く◯人鬼が振り撒く恐怖
・チャイルドプレイ:人形に宿った◯人鬼が人を襲う恐怖
・スプラッターホラー
スラッシャーホラーと似ているが、こちらはスプラッター「液体がはねる、飛び散る」を主軸に置いたジャンル。
基本的に◯害シーンでの生々しい描写を含むホラー映画は、広義の意味でスプラッタージャンルに含まれるが、血しぶき等の表現が誇張された映画に関してはスプラッタージャンル独自のもの。
スプラッターホラー映画
・グリーンインフェルノ:食人族の住む森を訪れた環境活動家達を襲う恐怖
・ホステル:ある街を訪れたバックパッカー達に迫る狂気の恐怖
・アニマルホラー
動物や昆虫など現実世界に存在する生き物に襲われる恐怖を描いたホラージャンル。
アニマルホラー映画
・ジョーズ:巨大鮫が人々を襲う
・ピラニア:湖の底から大量に現れた人食いピラニアの恐怖
・モンスターホラー
現実に存在しない空想上の怪物(モンスター)が引き起こす恐怖を描いたジャンル。
このジャンルでは、アニマルホラーでは含まれなかった人間(人型)も含む。もちろん一般的な人間ではなく怪人という意味合いで。
また現実に存在するが、現実離れしすぎている大きさだったり特異性のある場合はモンスターホラーに分類される場合も。
モンスターホラー映画
・ビックバグズパニック:巨大昆虫に襲われ恐慌する人々の物語
・ミスト:霧に潜む未知なるモンスターから逃げる
・ファウンド・フッテージ
いわゆる疑似ドキュメンタリー手法で撮影されたジャンル。撮影者がある出来事により行方不明になったが当時の撮影映像が後に発見、それを一般公開したという設定のもの。**第三者に発見 (found)された未編集映像(footage)**という意味。
未編集映像の発見という一般的な意味としての「ファウンド・フッテージ」はホラージャンルには含まれなかったが、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のヒットを境にホラーとの親和性の高さが評価されホラージャンルの一つとしての意味合いが強まったジャンル。
ファウンドフッテージホラー映画
・ブレア・ウィッチ・プロジェクト:伝説の魔女を追った者達が残したビデオテープの中身
・食人族:ある部族の周囲に落ちていたビデオフィルムに残された映像が
・POVホラー
主観視点で撮影された疑似ドキュメンタリーホラー。いわゆる撮影しているカメラマンが一人の登場人物としてカウントされる手法で撮影されたもの。
通常の撮影手法とは違いカメラを持った者も登場人物の一人であり、視聴者は疑似的に映画の登場人物の一人となって物語を疑似体験しているという設定のもの。
ファウンド・フッテージと近い意味合いのジャンルだが、こちらはあくまで「撮影手法が主観視点で物語が完結する」際に分類される。第三者により発見(found)された未編集映像(footage)ではないビデオカメラ越しの疑似ドキュメンタリー風映像。
POVホラー映画
・REC:封鎖された建物に入った消防士とリポーターを襲う恐怖
・クローバーフィールド:突如破壊されていく街中を逃げる若者達の恐慌
・コメディホラー
お笑い要素のコメディと恐怖を感じるホラー、相反する性質を融合させたホラージャンル。
コメディ描写による恐怖感の薄まりを危惧し、ちょっとグロ系が強い作風が多い。
コメディホラー映画
・チャイルドプレイ/チャッキーの種:人形に宿った◯人鬼同士のおせっせ
・ゴーストバスターズ:悪さする幽霊を退治する会社員達
・クロスオーバーホラー
ホラー映画同士をクロスオーバーしたホラー。
サスペンス+ホラー=サスペンスホラーや、アクション+ホラー=アクションホラーなどジャンルを組み合わせホラーではなく、エイリアン+プレデター=エイリアンvsプレデターなどホラー作品を代表するキャラクター同士を対決させ、それに巻き込まれる人間の恐怖を描いたジャンル。
クロスオーバーホラー映画
・エイリアンVSプレデター2:エイリアンとプレデターの戦いに巻き込まれた人類
・フレディVSジェイソン:伝説の◯人鬼同士の戦い
・アクションホラー
ホラー要素を持ちつつもアクションに主軸を置いたジャンル。
人の集団に襲いかかる怪物が登場し恐怖を振りまくも、それに対しアクション豊かに反撃するパターンが多い。
アクションホラー映画
・バイオハザード:ゾンビをスタイリッシュに倒すミラが魅力
・オムニバスホラー
短編ホラーを集めて構成されたホラージャンル。
一つの大まかな題材をメインテーマに設定し、それにまつわる短編作品を集めて1本の映画にしているパターンが多い。
またそれぞれの短編に伏線を入れ最後の短編で全ての話が繋がる、といった風に作られる事も。
メタ的な話をすれば、ネットにあった怖い話を題材として各制作会社に10分ずつの短編を制作してもらう。最後に全ての話をチャプター毎に収録し「本当にあった!ネットの怖い話」というタイトルでDVDを販売する。といった比較的コスパが安定するホラージャンルだったりする。
オムニバスホラー映画
・呪怨:伽耶子の呪いに巻き込まれた人々の末路
・ヒトコワ:本当に怖いのは人をテーマの短編集
・シチュエーションホラー
ある限定されたシチュエーションで展開される恐怖を描いたジャンル。
例えば狭い箱の中だったり、絶対に出られない部屋が舞台だったりなど。
こちらもメタ的によく作られるジャンルの一つ。密室の部屋、密室の箱など撮影で使えるセットが一つで済みコストパフォーマンスがよいため。低予算で作れる中で、アイデア一つでヒットを飛ばす事も。
シチュエーションホラー映画
・キューブ:正方形の部屋に閉じ込められた者達の脱出劇
・パニック・ルーム:緊急避難用の密室「パニック・ルーム」に立てこもった母娘を描く
・村ホラー
都会で生活していては絶対に想像できない地方独特の風習などを扱った恐怖を描いたジャンル。
田舎でのみ信仰されるカルト宗教の恐怖や、すでに廃れた風習が田舎では脈々と受け継がれており、そこを訪れた旅行客にその風習が襲いかかるなど。
村ホラー映画
・ミッドサマー:カルトを信じる村を訪れた大学生の悲劇
・サクラメント:カメラマンが訪れたエデン教区で行われていた狂気
・青春学園ホラー
青春・学園物とホラーをミックスさせたジャンル。青春世代のため登場人物は若者が多い。
不人気ジャンルと言われ、長らくヒット作の出なかった分類でもある。
青春学園ホラー映画
・ハッピー・デス・デイ:誕生日を何度もループしては死を繰り返す女子大生
・カラダ探し:隠されたカラダの部位を探すまで死を繰り返す高校生達
・ジャパニーズホラー
心理的精神的恐怖、観ている人に想像の余地を残す恐怖を演出するジャンル。
不安や緊張感を与えるという意味ではサスペンスホラーに近いが、ジャパニーズホラーでの最大の違いは「血の描写がない」こと。
今まで紹介してきたホラージャンルにおいて、その恐怖の源泉は肉体的苦痛を伴う所にある。ジャパニーズホラーでは、その肉体的苦痛はなく不安や緊張感を最大限演出で与える点が最大の特徴。
ジャパニーズホラー映画
・リング:観たら死ぬビデオテープの呪いを描く
・着信アリ:電話を受けると死ぬ呪いを描く
・新感覚ホラー
今までにないパターンで恐怖を感じる斬新的なアイデアによるホラー。
音を立ててはいけない、電気を消してはいけない、名前を口にしてはいけないなど、これまでにない斬新なアイデアに着目し新しい手法で恐怖にアプローチしたジャンル。
新感覚ホラー映画
・クワイエット・プレイス:音を立てると怪物に襲われる人々の生活を描く
・ドント・ブリーズ:金目当てで盲目老人の家に侵入した若者が逆に襲われる
未知のジャンル
現状、既存のジャンルにカテゴライズされないホラー映画に関して一様に「新感覚ホラー」に分類される場合もあるが、今後に新感覚ホラーの中でも同系統作品でカテゴライズされてくると今回紹介したジャンル外の新ジャンルが生まれてくる可能性がある。
また既存のジャンルを複合させて新たなジャンルとして確立する場合もある。今回は21種のジャンルに含んでいない「パニックホラー」というジャンルが顕著で、これは本来が全く異なるジャンルであるパニック映画とホラー映画を複合したジャンルなのだ。
パニック映画:群衆が混乱・恐慌する現象を取り扱う
ホラー映画:観客の恐怖心理を刺激する
両者ともに「恐怖」をテーマにしたジャンルだが、パニック映画は登場人物達が恐怖で混乱するものとホラー映画の観客が恐怖を感じるとう点で視点が全く違う。しかし作品の登場人物達が恐怖し、また観客の恐怖も刺激する新たな視点のジャンルとしてパニックホラーが確立されている。
この様に今後も新ジャンルが増えていきますし、今回紹介していないジャンルも存在します。
以上がホラー映画のジャンル分け解説でした。