「人生100年時代」はやって来ない 困る人は誰? (original) (raw)
「人生100年」時代は来ない
日本を含む長寿の国でこの30年、平均寿命の延びは鈍化しており、今世紀中に100歳まで生きる人の割合が女性で15%、男性で5%を超えることはないとの予測を、米イリノイ大などのチームが7日、米科学誌ネイチャーエイジングに発表した。
巷では「人生100年時代の資産運用」などと、長い老後に向けて資金を準備しておく必要がある、と投資を勧めるのが定番化しています。
「老後2000万円必要」と合わせて、老後不安を煽るのに便利な言葉になっています。
その「老後2000万円」という計算も、2017年の家計データから導かれたもので、最新データではもっと少ないのですが、「老後2000万円必要」は言い続けられています。
「人生100年時代」の到来が否定されたとしても、金融機関やFPはお構いなしで言い続けそう。
そもそも「人生100年時代」は誰が言い出した?
そもそも「人生100年時代」は『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』で提唱されたもので、「先進国では2007年生まれの2人に1人が100歳を超えて生きる人生100年時代が到来する」という予測に基づくものです。
これはおそらく平均寿命の延びがこのまま続けば、という想定によるものであり、延びが鈍化すれば「人生100年時代」は到来しなくなると。
元々、今の50代以上の人にとっては無縁の話ですが、まるで自分のことのように考えている人も多そうです。
「老後2000万円問題」だって65歳から95歳まで生きて、30年間赤字が続くという計算によるものですが、女性だけならまだしも夫婦揃って95歳まで生きるケースはかなり少ないのが現実です。
人生100年時代構想会議はどうなる?
政府は2017年に人生100年時代構想推進室を発足させ、人生100年時代構想会議を開くなど活動してきました。
寿命予測の修正を受けてどうするのか、気になります。
ただ、言われてきたような「人生100年時代」は到来しないにせよ、寿命は伸びて100歳まで生きる人は着実に増えるのは間違いありません。
人生100年時代構想推進室の活動は継続するでしょうけど、過度に長寿リスクを煽るとそれもまたマイナス要因なので、考えてもらいたいですが。
人生100年時代構想会議が「人生100年時代は来ない」という今回の研究結果を発表したら面白いですけどね。