表裏一体〜2024明治安田J1リーグ第29節 京都サンガFC vs 鹿島アントラーズ マッチレビューと試合考察〜 (original) (raw)
庄司悦大お疲れ様!
どーもこんばんは
一つのクラブを追う日々にも、特別な選手というものは出てくるもので。庄司悦大とはまさにそういう選手で、地の底に触れた2018年に差し込む2021年の歓喜まで続く光のような眩ささえありました。
お疲れ様でした。永遠に京都サンガFCというクラブの英雄です。#庄司悦大#京都サンガ#京都サンガFC pic.twitter.com/xx9MllhTUO— RK-3 (@blueblack_gblue) 2024年11月12日
さてさて、本日の**マッチレビューは2024明治安田J1リーグ第29節(延期分)、京都サンガFC vs 鹿島アントラーズの一戦です!**
【**京都サンガFC 30周年企画ブログのまとめページはこちら!随時色々と更新しております。**】
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時は金なりと言うように時間という流れは人間の力ではどうやっても増やせるものではなく、誰に対しても等しく抗えない波として流れていきます。一方、その限られた時間を手にする為には結果が必要で、限られた時間を権利とするには結果と引き換えなければならない…それが世の定めです。
サンガは時間という権利をなかなか掴めずにいました。2月末から始まった9ヶ月にも及ぶ日々、それは選手やスタッフにとってストレスやプレッシャーの募る日々だった事でしょう。しかし、少なくともサンガはその極限状態からは解き放たれました。残留決定…それはサンガが結果と引き換えに手にした2025年という権利、そして羽を広げた残り3試合という時間です。追われる日々だった9ヶ月を超え、これからの3試合はサンガが掴み取った結果ですから、一つでも上の順位を目指しながらよりチャレンジングに、よりエキサイティングに、そしてやっている選手達にも見ているファン・サポーターにも楽しい時間を届けてくれる試合を見せて欲しいところ。相手は鹿島アントラーズ。30周年を飾るシーズンで迎え撃つ、クラブにとって唯一のタイトルを獲得した時の相手だったJリーグの雄に対し、ストレスやプレッシャーから解き放たれた紫の戦士がどのような戦いを見せるのか注目です。
両チームスタメンです。
サンガは1-1で引き分けた前節川崎戦からはスタメンを2人変更。ここ2試合はアピアタウィア久が先発していましたが今日は宮本優太がスタメンに復帰しており、前節は累積警告の出場停止だった川﨑颯太も先発復帰。GKはク・ソンユンは復帰していますが、3試合連続で太田岳志を起用しています。先発の平戸太貴、ベンチの豊川雄太は古巣対決。特に小学校から鹿島ユース育ちの平戸はこれまでの鹿島戦で出番が無かったので、待望の初の古巣対決です。
前節は名古屋と引き分けた鹿島は鈴木優磨が退場した為、先発変更は新たに名古新太郎を入れた一人のみ。ただしシステムは鈴木優磨と師岡柊生の2トップにしていた形から師岡をワントップ、名古をトップ下に置いた4-2-3-1の形です。ベンチには夏に加入した田川亨介が第28節東京V戦以来のベンチ入りとなりました。
本日の会場は京都府亀岡市、サンガスタジアム by KYOCERAです。
— 鹿島アントラーズ (@atlrs_official) 2024年11月17日
元々は8月31日に開催される予定でしたが、台風の影響で試合延期となった事でこの日の試合開催となりました。元々は8月のFC東京戦と鹿島戦、9月のG大阪戦の3試合が黒を基調とした30周年記念ユニフォームの対象試合でしたが、延期となった鹿島戦の分は10月6日の神戸戦に繰り上げて割り当てる形になりましたので、今日は通常のホームユニフォームを着用します。
今日の試合はロームスペシャルデーとして行われ、来場者には抽選でサイン入り試合公式球が当たるチャンスが。また、第17節C大阪戦にも来場して魂のスピーチを披露した森脇健児氏も再度来場します。また、残りのホームゲームはこの鹿島戦と最終節の東京V戦の2試合となりましたので、場内ではクリアランスセールとしてグッズ割引セールも実施されるとの事。
鹿島は立ち上がりから低めのブロックを組みながらビルドアップを図ってきたことで、立ち上がりからサンガは3トップを中心に順だってパスコースを潰しに行く形でのプレスをかけることで鹿島陣内を中心にゲームが動く展開を作っていく…というサンガにとって得意とするパターンに持ち込んだ状態で戦えていました。
特に鹿島はブロックは低いところをサンガに詰められる形になった上に、少々無理なボールを入れてもどうにか収めてくれる鈴木優磨がいない事も影響してか中盤でサンガに捕まるような場面が頻出。自然と試合はサンガのターンの時間が長く続いていきます。
サンガは鹿島の守備ラインの低さと前線の間に大きなスペースができていたところを有効活用。中盤のスペースまで平戸やトゥーリオがしっかりとボールを持ち運びながら、よりダイレクトにゴールに向かって動いていくエリアス、サイドにパスコースを確保していく福田、その第3の選択肢を川﨑が提示していくような形を連鎖的に起こしていきます。
9分にはボール奪取からトゥーリオ、エリアスと繋いで川﨑がシュート。このシーンはコースが良いところに行きませんでしたが、川﨑を含めた前のタレントがアタッキングサードで可能性のあるボールの動かし方は出来ており、流動性というか良いテンポ、良いリズムの攻撃は鹿島相手に見せることができていました。
— DAZN Japan (@DAZN_JPN) 2024年11月17日
最も、前半の終盤は鹿島が柴崎岳に良い形でボールが入るようになってそこから師岡へのコースが確立されるようになってきた事、鹿島がワイドにプレーしようとする中で鹿島の左サイド、サンガの右サイドがオープンになってきたところから安西幸輝に突破される場面が増えるなど鹿島のターンの時間も増えていましたが、そこはGK太田を中心にしっかりと対応。全体的な流れとしては悪いものではなく、0-0で後半に向かいます。
鹿島は後半から仲間隼斗を下げて田川亨介を投入。
後半開始から試合は慌ただしく動きました。47分、サンガは田川のパスを福岡慎平がカットするとエリアスに縦パスを入れてリターンを受けながら前進。左サイドの原大智にボールを託すと、原のクロスボールにエリアスが合わせますが、シュートはGK早川友基がファインセーブ。逆に鹿島もその直後、樋口雄太のパスを受けた田川が強烈な左足ミドルを放つと僅かにサイドネットが阻むなどお互いに決定的な場面を一つずつ作ります。ただ後半は川崎戦と同じくサンガのリズムが良い時間が続き、エリアスのシーンの後にも川﨑、佐藤響が得点機会を得るなど躍動。特に鹿島の守備陣がエリアスに引っ張られてか前半はあまり目立たなかった原にもボールが回るようになり、サンガはより一層選択肢が増えた状態で攻撃できるように。
鹿島も66分に樋口を下げてターレス・ブレーネルを投入。前がかりになったサンガに対して鹿島はサイドからスペース攻略を図り、試合は全体的にダイナミックな展開にもなってきました。ミドルゾーンからカウンターでリズムを担保していきたいサンガに対し、シンプルにサイドからクロスへの流れへ持っていきたい鹿島は68分にターレスの右からのクロスにファーサイドに走り込んだ安西がドンピシャヘッド。しかしここはGK太田がビッグセーブで阻止!
サンガは直後にトゥーリオを下げて豊川を投入。78分にはルーズボールを拾った川﨑の絶妙なスルーパスからエリアスが巧みなボールタッチで相手DFを振り切ってシュートを放つも…僅かに枠外。
— DAZN Japan (@DAZN_JPN) 2024年11月17日
オープンになった終盤はスリリングな展開になっていきました。
82分には川﨑のパスを受けたエリアスの折り返しに走り込んだ福岡のシュートがGK早川に阻まれると、直後には師岡にカウンタードリブルを喰らって一転大ピンチに陥りますが宮本の完璧な対応でシャットアウト。86分には田川の折り返しに知念が反転してから放ったシュートが僅かに枠外。今度はサンガが89分には鈴木からのパスを佐藤が受けると同時に平戸がインサイドに猛ダッシュ。これ佐藤が見逃さずに浮き玉のボールを入れ、平戸もシュートに持ち込みますが…僅かに決め切れず。アディショナルタイムには知念のパスを受けたターレスがシュートを放ちますがここも太田のスーパーセーブ!!
壮絶なラスト15分の攻防の末、勝点1が3へと変わるゴールはどちらにも生まれず。試合はスコアレスドロー。両者ともに3ポイントを取り逃がした、1ポイントを払ったと表現出来るゲームに落ち着きました。
サンガにとってはどうやっても消化試合になってしまう立場ではありながら、そこでちゃんとモチベーションを保ちながら熱量を感じるプレーを見せてくれたところはまず一つ良かったと思います。消化試合とは言えども一桁順位という目標はありますし、その姿勢を感じるゲームになったことは美点ではあるのかなと。
試合としては、基本的には試合を通じてサンガの強みは出しやすい状況下にあったゲームではあったと思います。特に前半は鹿島が低い位置でブロックを組み、サンガもそこでしっかりとプレスで圧力をかけることを伏線とした事で鹿島陣内でバイタルエリアのスペースが結構使いたい放題になっていた。序盤戦のサンガならカウンター一般道になっていたとは思いますが、今となっては平戸やトゥーリオがいるのでそこから攻撃をクリエイトしていく事が出来るようになっていますし、そこでエリアスしかり、サイドの福田しかり、ボランチから飛び出してくる川﨑しかり平戸やトゥーリオに対してパスを引き出すようなプレーはしっかりやれていた。そこは後半戦で劇的に良くなった部分がよく表れていた部分だったようには見えました。
また、今日に関してはやはり鈴木優磨が出場停止だった事はサンガにとって相当大きかったです。鹿島は鈴木優磨がいれば、少々無理なボールでも彼にまで届けさせればそこでタメを作り、陣形を押し上げるだけの時間を確保してくれる。そこが今日は無かった訳ですから、サンガの守備というよりもサンガが攻撃態勢に入っている時間がそのおかげで長く作れた側面はあった。鹿島も師岡が縦へのアクションを起こして柴崎とのラインを作ってからはワイドなアプローチに移行しながらサンガのプレスを回避し、安西が異常な突破力に代表される個々のクオリティは鈴木優磨抜きにしても高いものがありましたが、チーム設計として彼の有無が大きな影響を与える事は改めて感じましたね。
ただ、鹿島が鈴木優磨の有無で大きく変わる…という部分に関しては、サンガも鹿島と少し異なる形で返ってきたようにも思います。
後半は立ち上がりの良いリズムの時間帯に点が取れたら良かったんですが、そこで点を取らないまま試合はオープンな展開に推移していきました。結果的に今日のサンガは交代枠を2枚しか使っておらず、しかもそのうちの1枚はアディショナルタイム。実質的にほぼトゥーリオ→豊川の交代だけでアップダウンの激しい後半を戦っていたので、終盤は選手の消耗がかなり露骨になっていた。宮本×鈴木のCBコンビの粘りと太田のビッグセーブ連発でどうにかしたとはいえ、その部分が目に見えて顕著になっていたにも関わらずほぼ交代が無かったところがSNSなんかを見ると議論になっている部分があります。
ただ…後半戦のサンガってバシっとスタメンが固まったチームなんですよね。それ自体は良い。最適解のメンバーが明確になっている事は悪い事では決してないですし、そういうメンバーとシステムに落ち着かせる事も運用手腕の一つで、そこを固めたからこそ残留に近付いたとも言える。ただ、これが0-0のまま試合を終わらせる、或いは1点を先制していて逃げ切るとなればやりようはあると思うんですが、ここから1点を取りに行くと考えた時に…選手交代って結局は誰かを下げなきゃいけない。そうなると、点を取りたい時にこれから投入するカードは例えばエリアスや原を下げてプラスマイナスがプラスになるのか?と考えると、そこでジレンマが起こる気持ちはすごくよくわかるんですよね。そこは中盤の平戸や川﨑にも言える。そのジレンマを突破できる交代カードと言えば豊川ぐらいでしょう。それは多分、ポポヴィッチ体制で鹿島が陥っていたジレンマに通ずるものがあるでしょうしね…。
来年、サンガが監督を替えるのか続投させるのかはわかりません。ただ仮に続投させるのであれば、選手層を厚くするというよりも誰かが下がってもプランAを引き継げる選手、或いはプランBにスムーズに移行させられるようなチームの幅を確保してくれるような選手をオフに獲らなければな…と。その辺りは曺貴裁サンガの強みと弱みが表裏一体だった部分でもあった訳ですから、その裏にどんな手当を施すのか…っていう。
マイルチャンピオンシップギタギタにされました
ではでは(´∀`)