【主張】ガーシー氏に懲罰 NHK党の責任は重大だ (original) (raw)

ガーシー議員「議場での陳謝」が賛成多数で可決した参院本会議=22日午前、参院本会議場(矢島康弘撮影)

ガーシー議員「議場での陳謝」が賛成多数で可決した参院本会議=22日午前、参院本会議場(矢島康弘撮影)

参院は22日の本会議でNHK党のガーシー(本名・東谷義和)氏に「議場での陳謝」を科す懲罰を、与野党の賛成多数により可決した。昨年の参院選での当選後、国会に一度も登院していないためである。

ガーシー氏は、著名人による自らへの告訴に関し、「不当な拘束を受ける可能性があるので帰国、登院をしない」と弁明してきた。

だが国会法では、議員は召集が指定された期日に登院しなければならないと定めている。ガーシー氏の主張は身勝手にすぎる。

女性支援事業などに関する質問主意書は出しているが、国会審議や採決に加わらないのは職責の放棄だ。最低限の義務すら果たさず、給与に当たる歳費などを受け取ることにも、国民の理解は得られまい。懲罰は当然である。

ガーシー氏が最終的に陳謝に応じなければ、与野党はさらなる懲罰を検討する方向だ。「除名」が視野に入るのもやむを得まい。

ガーシー氏は、参院側に「海外で政治活動をするという公約を掲げて当選した。海外から国会議員の仕事は可能だ」とも回答してきたが、そもそもこうした公約は成り立たない。

憲法第43条は「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と規定している。当選した以上は、全国民を代表する立場にあることを銘記しなければならない。

このような人物を公認し、擁護するN党の責任は極めて重い。

立花孝志党首は本会議後、「国会で誰かに迷惑をかけたわけではない。ただ来ていないだけだ」と語った。国会への登院を軽んじた発言であり、看過できない。

「1日だけでもピンポイントで来て、突然国会に現れるシナリオを考えている」とも述べた。たった1日の登院で済まされるとみているなら考え違いも甚だしい。国会審議への参画を促すのが、政党の取るべき姿勢である。

ガーシー氏は比例代表で当選した。除名されれば通常は次点の候補が繰り上げ当選となるが、立花氏は比例で4位の得票だった候補を当選にするよう調整する考えも示している。このような不可解なやり方を含め、除名されてもN党の議席が保たれることに納得できない有権者がいるはずだと立花氏は認識すべきだ。真摯(しんし)に議会制民主主義に向き合ってほしい。

ガーシー氏の処分「陳謝」に決定 参院懲罰委

ガーシー氏、議場での「陳謝」文案全文

ガーシー氏歳費 立民、維新が差し止め法案提出検討