10代で始めた「パパ活」の果てに…月100万円の契約結婚の背景 紀州のドンファン公判 (original) (raw)

野崎幸助さんの自宅を訪れた須藤早貴被告=平成30年6月、和歌山県田辺市

野崎幸助さんの自宅を訪れた須藤早貴被告=平成30年6月、和歌山県田辺市

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=に対する殺人罪などに問われた元妻、須藤早貴被告(28)の裁判員裁判が12日、和歌山地裁で始まった。交際の見返りに金銭を受け取る「パパ活」のように、月100万円という条件で結婚した須藤被告。平成30年2月の結婚まで、どんな人生を歩んできたのか。

「私は無罪です」。黒いノースリーブのワンピースにマスク姿で証言台の前に座った被告は、起訴内容についての認否を問われると、小さいながらもはっきりした声で、こう言い切った。

検察、弁護側双方の冒頭陳述によると、被告は平成26年に高校を卒業し、地元・札幌市の美容専門学校に進学。28年に上京すると、モデル事務所などに所属して生活していた。

知人を通じて野崎さんと知り合ったのは、被告が21歳だった29年12月。出会ったその日に野崎さんは帯付きの100万円の束を被告に差し出し、「結婚してください」とプロポーズしたという。

「毎月くれるならいいですよ」。そう応じたという被告。もっとも、こうした〝パパ活〟的な関係は、野崎さんが初めてではなかった。

今月2日に被告に有罪を言い渡した詐欺事件の公判では、10代での「原体験」が明らかになっている。

この裁判によると、被告は高校在学中に美容専門学校のオープンキャンパスに参加し、「美容師になりたい」と意欲を見せていた。しかし、進学から半年後の26年10月に働き始めたキャバクラで人生を変える出会いがあった。相手は詐欺の被害者となった男性=被害当時(61)=だ。

多額の遺産を受け取ったばかりで経済的に余裕があった男性は、被告にキャバクラを辞めるよう持ち掛け、学費や生活費、さらに「お手当」「お小遣い」といった名目で月に50万円以上を渡すように。被告は「愛人のような関係だった」と表現した。

店を辞めた同年12月末から、関係が切れた28年初めまでの1年超。被告はほかにも海外留学費などの噓の名目で、男性から計約2980万円を受け取ったが、金はあるだけ全て、国内外への旅行やブランド品購入などに使った。いつしか美容師の夢を追うのもやめ、「東京に出たい」と周囲に漏らすようになった。

一方、法廷では男性への嫌悪感を口にする場面も。「(突然キスをされ)気持ち悪かった」「お金目的でおじさんと寝るとか、無理」。一線を越えた性的な関係は否定しつつも、「男の人って、性欲が絡むとばかになる。じゃんじゃんお金を払ってくれる自信はありました」と〝男性掌握術〟についても赤裸々に語った。

野崎さんの死後、被告は野崎さんの預金や会社の資金など約6800万円を自分のものとした。約3年後に逮捕されるまで、そのうち約5500万円を使っていたという。

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