Classic Pro CP8H レビュー:レコーディングやライブ時のモニターなどに最適な8chヘッドホンアンプ (original) (raw)

Classic Pro CP8H レビュー:レコーディングやライブ時のモニターなどに最適な8chヘッドホンアンプ

サウンドハウスがプロデュースする音響機器ブランド、Classic Proよりヘッドホンアンプ、CP8Hが登場しました。DAWやMTR、ミキサーなどから音源をインプットすることでそのサウンドを8個のヘッドホンに分配可能。また、各チャンネルに音量調整用のノブが付いているので種類の違うヘッドホンを複数つないでも、それぞれちょうど良い音量に調整できます。フロントパネルのヘッドホン出力に加え、リアパネルにも8個のヘッドホン出力が搭載されているので、最大16台のヘッドホンを接続可能。早速レビューしてみましょう。

ミックス時に有用な入力ソース切替ボタン 最大16台のヘッドホンを接続可能

まず外観ですが、非常にかっちりとした質感でチープな感じはありません。頑丈に作られている印象で、素材も金属なので、とても安心感があります。各ノブやスイッチ類もしっかりしていて、ぐらついたり不安になるような部分は一切ありません。

それでは、フロントパネルからチェックしていきましょう。一番左にブランドロゴがあり、その横に2系統のステレオ入力ソースごとのボリュームノブが上下に並んでいます。ボリュームノブの右横に配置された音量メーターは見やすく好印象です。その横には等間隔に計8chのヘッドホンセクションが並びます。各セクションに入力ソース切替ボタン(IN 1で緑/IN 2で青に点灯)、ステレオ/モノラル切替ボタン(ステレオで緑/モノラルで青に点灯)、ボリュームノブ、ヘッドホン出力(ステレオフォーン)、音量メーターを装備。

各切替ボタンは、同じ曲の別バランスのミックスを瞬時に切り替えながらチェックしたい場合や、片耳でのモニタリング時はモノラルに切り替えたいといった場合に活用できます。また、点灯したLEDの色でどちらを選択しているか分かるのはありがたい仕様ですね。ソースを間違えてミックスしていた、もしくはモノラルのままミックスしてしまったというトラブルを回避できます。各ヘッドホンセクションに音量メーターが搭載されているので、適切な音量の確認や、ひずんでいないかなどをパッと確認できる部分も好印象です。

続いて、リアパネルを見ていきましょう。

リアパネル。左から電源端子、電源スイッチ、AUX入力(フォーン)×8、ヘッドホン出力(ステレオフォーン)×8、メイン出力L/R(フォーン)×2、メイン入力L/R(フォーン)×2が並ぶ

リアパネル。左から電源端子、電源スイッチ、AUX入力(フォーン)×8、ヘッドホン出力(ステレオフォーン)×8、メイン出力L/R(フォーン)×2、メイン入力L/R(フォーン)×2が並ぶ

一番左に電源端子、電源スイッチが配置されています。その横には、8系統の独立したAUX入力(フォーン)を搭載。このAUX入力を使用すれば、8台のヘッドホンにそれぞれ別のバランスのミックスで音を送ることが可能。ライブ時のイヤモニやレコーディングのモニター用としても、この仕様は活躍してくれそうです。特にライブで同期音源を使用するバンドに、モニター用としてお薦めです。AUX入力の下には、8個のヘッドホン出力(ステレオフォーン)が並び、各番号と対応したフロントパネルのヘッドホン出力の音と同じものを聴くことができます。つまり、フロントパネルに装備されているヘッドホン出力と合わせると、最大16台のヘッドホンを接続可能です。16人同時に同じソースをモニターできます。

さて、この製品を使用する主なシチュエーションを考えてみます。例えば、バンドで録音した音源のミックスを各メンバーが普段使用しているヘッドホン/イヤホンとそれぞれつないで確認したり、はたまたライブ時のイヤモニ用ヘッドホンアンプとして、そしてレコーディング時のモニターヘッドホン用としてなどでしょう。そう考えると、音質はもちろん、しっかり音量が出るのかという部分も重要になってきますので、その点をチェックしていきたいと思います。筆者が普段メインで使用しているヘッドホンは、インピーダンス250Ω。ほかのヘッドホンよりもインピーダンスが高いので、再生音が小さめになっています。ですので、このヘッドホンでしっかり音が出力されていれば、ほかの製品で音量が足りないということはまずないのではないかと思います。

素直で余計な色付けのない音 ライブの際などに便利な8系統のAUX入力

まずはApple iPhoneをつなげて既存の楽曲を試聴しました。ヘッドホンアンプは、素直で余計な色付けのない音だと感じました。若干ハイエンドとローエンドが少なくなり、奥行き感が弱まる印象はあるのですが、問題ないレベルだと感じます。次に、オーディオインターフェースにつないで、ミックス前の楽曲を聴いてみました。ミックス前の音源なので、既存の音源より音圧はかなり小さくなります。その状態で十分なモニター環境が確保できるか試してみましたが、とても快適な音量感で音源が再生されました。

ただ、さすがにインピーダンス250Ωのヘッドホンでは、バンドでのモニターに必要な音量まで上げようとするとCP8Hのレベルメーターがピークまで振ってしまいました。そこで、同じメーカーのインピーダンス32Ωのヘッドホンに変更してチェック。こちらだと、うるさく感じるくらい十分な音量で再生されました。一般的に使われているヘッドホンのインピーダンスは32Ω前後のものが多いので、ライブなどの環境での使用も大抵の場合は問題ないでしょう。前述した通り、8系統のAUX入力を使用すれば、イヤモニ用ミックスを8人分送ってもらうという使い方ができます。筐体もなかなかしっかりとした作りですので、ラックケースに入れてツアーに持ち運んでもいいのではないでしょうか?

バンドのリハーサル時や、ライブでのモニター、ミックスでのモニターなど、とにかく複数のヘッドホンでのモニター環境が必要なシチュエーションでは、最適な製品ですよね。コストパフォーマンスを重視している人には、まず手に取っていただきたいと思います。

西川文章
【Profile】大阪を拠点に活動するPA/レコーディングエンジニア。大小さまざまな会場を回り、豊富な経験を持つ。かきつばたやブラジルなどのプロジェクトで、ギタリストとしても活躍している。

Classic Pro CP8H

SPECIFICATIONS
▪周波数特性:20Hz〜20kHz(±1dB) ▪ひずみ率:4dBu(@1kHz) ▪メイン入力:19dBu(バランス/アンバランス) ▪AUX入力:20dBu(アンバランス) ▪ヘッドホン出力:550mW/ch@47Ω(−21dBu) ▪メイン入力インピーダンス:40kΩ(バランス)、20kΩ(アンバランス) ▪AUX入力インピーダンス:13kΩ ▪外形寸法:483(W)×46(H)×224(D)mm ▪重量:3.6kg

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