【ダークフィグマの毒舌日記:その26】愛と正義のシネマスペシャル『FIGURENAUTS2』…<最終話>献身 (original) (raw)
迫り来る巨大彗星に驚愕するフィグマとダーク。
やがて地上でも国連安保理の下、各国首脳が招集されたが、有効な対応策は何も示されなかった。
その渦中、U太郎は唯一の解決策である「体当たり攻撃」を提案した。
ダークは核融合炉をフル稼働し、U太郎とともに全速力で飛び立つのであった。
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1.友情
彗星までの到達時間、あと5分。
そおか、いよいよやな。
ダーク、そろそろ……
おう、分かっとる。 ターゲット捕捉。ロックオン!
ダーク。この100年間、君と一緒に過ごせて良かった。
おいおいU太郎、お前らしくないなぁ……。 改めてそんなこと言われたら照れるやないか~。
私はずっと君の行動を観察し、学習してきた。 オクトパス星人との死闘。 その後も宇宙清掃を続けていたこと。 そしてまた、彗星を阻止するため自分を犠牲にする姿。 私は「感情」というものが理解できた気がする。
………。
君の背中の推進装置に、エネルギーを補充しておいた。 スラスターを最大出力にして飛び続ければ、3年ほどで地球に戻れるだろう。
……ん? 何の話や?
ロックオンにより、当機の針路は彗星直撃コースに固定された。 もう「自動衝突防止プログラム」は作動しない。 つまり、君の役目は終わったのだ。
おい、まさか……。
君にはまだ成すべき事がある。 地球に帰還するのだ。そして……
何ゆうてるんや。俺とお前は一蓮托生やないか!
ダーク、今までありがとう。 おかげで、トモダチとして多くの楽しい思い出を……
嫌や! 俺は最期までお前と一緒に……
コックピット強制排除システム、起動。
やめろ~~!!
さらばだ、ダーク。
U太郎~~~!!!
U太郎…………。
45分後。
その光は、地球に到達した。
ダークさん……U太郎………。
さらに225日後。
粉々になった破片の一部は、流星群となって地球に降り注いだ。
その多くは大気圏内で燃え尽き、地上に被害をもたらすことは無かった。
2.帰還
巨大彗星の脅威が去ってから、3年の月日が流れた。
ふぅ……ちょっと一服するか。
…………?
……ダークさん!!!
生きてたんですね、良かった……。 ………U太郎は?
………。
そうですか……。 でも、よくご無事で。
まぁ、何とか帰って来れたけどな。 スラスターの燃料ももうすぐ切れるし、宇宙服も限界や。 せめて故郷の大気圏で燃え尽きたいと思ってな……。
……大丈夫ですよ、ダークさん。
………?
シャトルか……。
さあ、地球に帰りましょう ♬
3.旅路
フィグマは、一部始終をNASAに報告した。
フィギュアノーツに冷淡だったNASA、そして国連も、ダークの働きについて認めざるを得なかった。
やがて、国連本部にダークの功績を称えたモニュメントが建てられることとなった。
除幕式の日……。
国連本部ビル前
あ、ダークさん、こんなところに……。 式典、もう始まってますよ。
俺はモニュメントなんか頼んだ覚えはないで。 それに本当の英雄は俺とちゃう。U太郎や。 除幕式なんか適当にやっといてくれ。
………ダークさん、これから何処へ?
さあな、ただ日々を生きるだけや。 お前こそ、これからどおするんや?
まだ何も……。
昔な、たった一人だけ俺に優しくしてくれた人間がいた。 その人が言ってたことや。 “ 汚いもの、嫌なものを全部引き受けて、下水道はいつも土の下 ” 俺はな、下水道のように生きたいんや。
下水道………。
じゃあな、フィグマ。 縁があったらまた逢おう。
ダークさん………。
その後、フィグマは再びフィギュアノーツとして宇宙へ上がった。
スペースデブリ清掃に従事するとともに、後進の育成にも多大な貢献を果たした。
一方、ダークは表舞台から姿を消した。
風の便りでは、諸国を旅して回り、黙々とゴミの清掃に努めていたという。
『地上のフィギュアノーツ』……いつしか、彼は人々からそう呼ばれるようになった。
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4.祈り
……どおしたんや、ダーク。 また悪い夢でも見てたんか?
いや……。
それにしても、世界では痛ましい争いが続いとるなぁ。 人間っていったい何者なんや? 異星人に侵略されるか、巨大隕石が落ちて来るぐらいのことがない限り、人類が一致団結するなんてあり得んのやろな。
………。
なあダーク、俺らフィギュアにも何か出来ることはあるやろか。
さあな……。まぁ、せいぜい下水道ぐらいかな。
下水道?
アッ、ナガレボシ~!
うわっ、本当だ!! 流星群が観れるなんてニュースで言ってたっけ?
すごい数やな~! こりゃあ、しっかり願い事せなあかんな。
U太郎………。
ん? 何かゆうたか?
………いや。
一刻も早く、悲惨な戦争が終わって……
人類とフィギュアに、平和な未来が訪れますように!
マスヨ~ニ🎵
最後までご覧下さいましてありがとうございました🎶
いつかまた逢いましょう。さようなら!
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