虫を掘る鍬 (original) (raw)

四つ鍬のようですが

修理の為に預かった、かなり痛んだ鍬です。

使い込まれてあるので刃先も薄く、丸くなっています。

そして、相当力を入れて使うのでしょう、

一本爪が折れていますし、他の爪も曲がっています。

この鍬は普通の四つ鍬のようですが、田畑で使う鍬ではありません。

これをみてください、極端に柄が短いのです。

折れて我慢しているわけではありません。

最初からこの長さに切ってあるのです。

比べてみればはっきり分かります。

広島県において普通の鍬の柄はだいたい1350mmですが、

この鍬はきっちり一尺五寸に切ってありました。

まあ、だいたい450mmくらいでしょうか。

両手で振るには柄が短く、片手で使うには重い・・・

これは何に使う鍬なのでしょう?

所は変わって

魚釣りに欠かせない物と言えば釣り竿、釣り針、そして、餌です。

釣りエサ 塩マムシ(塩本虫) 約100g入 冷凍つりエサ

これは釣り餌の本虫

太目なミミズを想像してください。

このように釣り具屋さんで売られている餌ですが、

釣りが大好きな方は自分で餌を取りに行かれます。

新鮮な餌のほうが生きもいいですし、匂いも強いので

釣果に大きく影響します。

そうです

この鍬は釣り餌を捕る為の【虫掘り鍬】なのです。

大潮の干潮の日に海岸へ行くと、大きく潮は引いています。

いつもは海の中だったところまで歩いていけるようになり、

そこにある大きな石などをめくってやると、

その下に釣り餌となる虫が見つかる事があります。

そこで簡単に捕まえられるのであれば鍬など要りません。

虫も必死なのですぐ逃げます。

ツルっと砂の中に消えていきます、結構早い。

それを追いかけるように虫掘り鍬で掘っていきます。

打ち込むのではなく、体重をかけて押し込むように掘るので、

柄は短い方がよいのです。

私も20代の頃やったことがありますが、

先回りするように掘らないといけないのでかなりの重労働です。

次の日に凄まじい筋肉痛に襲われ、

二度とやらないと思いました(泣)

虫掘り鍬の特徴

この鍬、農業用の鍬と比べて決定的に違うのはその爪の厚みです。

塩の中に漬けるようなものなので、その傷み方は比べ物になりません。

しっかり厚みをつけておかないとすぐに痩せて薄くなってしまいます。

常日頃から鍬の使用後は水で洗った方が良いと言ってきましたが、

この虫掘り鍬こそ、使用後はきっちり洗った方が良いでしょうね。