映画ブルーレイ購入記 ネタバレ&考察Vol.520:「ショーガール <4Kニューマスター版>」 (original) (raw)

映画好きが購入したブルーレイを、メモ代わりにブログに残していく記事。今回は520本目。タイトルは監督による、1995年日本公開作品「ショーガール」。特典映像としては、「キャスト&スタッフインタビュー」「メイキング映像」「完成前プロモーション映像」「1995年ゴールデンラズベリー賞でのポール・ヴァーホーヴェン監督のスピーチ」「ポール・ヴァーホーヴェン監督インタビュー」「予告編集(特報、オリジナル劇場予告編、日本版予告編)」で、計64分が収録されている。ポール・ヴァーホーヴェン監督インタビュー」では、「『ショーガール』の企画が始まったのは、『氷の微笑』の直後で、この二作品は脚本家も同じなんだ。私と製作のマリオ・カサールのところに、ラスベガスが舞台の音楽映画の企画が持ち込まれたんだよ。ラップダンサーやストリッパーだけでなく、正統派ダンサーや振付師などベガスに行って色んな人に取材した。それを基に現実の要素を取り入れながら脚本家が書き始めたんだが、まるで『フラッシュダンス』の二番煎じみたいで初稿は気に入らなかったんだ。その頃、マリオ・カサールは『カットスロート・アイランド』に大金を投じていたので、資金面での問題もあったしね。最初の脚本から『イヴの総て』を参考にして、黒人女性キャラのモリーというキャラクターを追加したから、本作はベガス版の『イヴの総て』なんだよ。」と言い、「全編を通して、いわゆる誇張法のスタイルを使うことにしたんだ。登場人物も会話も衣装、照明、音響と何もかもを大げさにして過度に表現した。正しい選択だったかは分からないけどね。公開された当時はとにかく不評で、特に批評家に酷評されて大コケだった。本物のベガス以上にベガスらしい”度を越えたベガス”という、私が描きたかったものが伝わらなかったし、誇張した表現も受けなかったね。改めて本作を観てもスタイル自体は面白いと思っている。俳優たちが私の意図を理解していたかは分からないよ。特に主演のエリザベス・バークレイは大変だったと思う。まだ若くて経験も浅く、大作は初めてだったから追い込み過ぎたかもしれないね。」と答えている。

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また「この映画は、出世のためなら手段を選ばない女性の物語だ。政界では普通だし国も同じで、良くある話さ。才能のある人間というのはそういうものだ。倫理や道徳といった観念を全部捨て去る才能だよ。目的は1つで、周りの人間より上へ行く事なんだ。氷の微笑』でシャロン・ストーンが演じた作家が使う、アイスピックと同じだよ。キャスティングはヌードになれること、ダンスが躍れる事、そして演技力が条件だった。候補はかなり限られていたから、結果的にエリザベス・バークレイにすぐに決まったよ。本作はとにかく全てが過激すぎて、アメリカ人には受け入れられず、彼らは衝撃を受けていた。本物の愛は存在しないし、金が全てという話なんだとね。まるでアメリカの象徴だと受け取られたんだ。本作は時代の先を行っていたと言われるよ。今の観客はヌード慣れしているが、当時は『ショーガール』の要素は刺激が強すぎたんだ。だけどあれから20年経って、私がやろうとしたことは理解され始めているよ。」と答えている。

作品としては、「ロボコップ」「トータル・リコール」「スターシップ・トゥルーパーズ」「インビジブル」などのポール・ヴァーホーヴェン監督が手掛けた、エロティック・ドラマ。アメリカでは劇場公開時に過激な暴力シーンや性的シーンが問題となり、”NC-17(成人指定)”で公開されている。出演は本作で主演に抜擢されたことで有名になったエリザベス・バークレイ、「バウンド」「フェイス/オフ」のジーナ・ガーション、「ブルーベルベット」「ツイン・ピークス」のカイル・マクラクランなど。ラスベガスを舞台にストリッパーが生き抜く様を描いた作品で、とにかく裸だらけの作品だ。よって現在でも評価は散々なのだが、あまり本質的な評価がされていない映画だと思う。ポール・ヴァーホーヴェン監督らしい、厳しいショービズの世界で生き抜く強い女性を描いた野心的な一作だろう。

監督:ポール・ヴァーホーヴェン
出演:エリザベス・バークレイ、ジーナ・ガーションカイル・マクラクランロバート・ダヴィ、グレン・プラマー
日本公開:1995年