ソフトバンクはなぜ「PayPayポイント」株主優待を導入するのか (original) (raw)
ソフトバンクは、10月1日から新たな株主優待制度を導入し、100株以上を1年以上保有するとPayPayポイントを1,000ポイント贈呈する。対象は2025年3月31日以降の保有について。あわせて、10月1日付けで株式分割を実施し、10分割することで、若年層でもソフトバンク株を買いやすくする。
9月11日に記者向け説明会を開催し、新たな株主優待制度の目的などについて説明した。
ソフトバンクの株主数は2024年3月末時点で約79万人、うち78万人が個人株主となる。多くの株主がいるものの、過半数の55%が60代以上で、年齢構成に偏りがある。一方、日本国内では「貯蓄から投資へ」のシフトを促すため、新NISAが4月にスタート。20代、30代の証券口座開設は急増している。
若者が投資に興味を持つ環境ができたことから、「これから経済を牽引していく若い人にも応援していただきたい」(ソフトバンク 総務本部 吉岡 紋子副部長)とし、若者でもソフトバンク株を買いやすい環境構築を目指す。そのためにPayPayポイントの1,000ポイント付与と、株式分割を行なう。
ソフトバンク株は9月11日時点で1単元(100株)が約20万円(11日終値は1,977円)。これを10分割することで約2万円から投資できるようになる。「日本株の中では『20万円』は平均的。ただし、社内でヒアリングしても若い社員からは20万円はハードルが高いという声があった」とし、買いやすさを重視して分割する。
加えて、PayPayポイントを付与。1単元(約2万円)で年間1,000ポイントがもらえるほか、配当も出るため、「実質利回りは9.3%」と説明。2万円の株式で、年間1,860円の配当金とPayPayポイントがもらえる「お得体験」をアピールしていく。
PayPayポイントの付与は、投資家アンケートでも希望が最も多かっただけでなく、PayPay経済圏の拡大と、ソフトバンクグループの事業理解の両立を図れることも重要だという。
ソフトバンクグループには、ソフトバンクやPayPayのほか、LINEヤフー、PayPay証券、PayPay銀行、PayPayカードなど様々な様々な事業・サービスが存在する。PayPayポイントにより、これらの経済圏の活性化を期待するほか、株主に実際に使ってもらうことで事業への理解を深めてもらう。結果として、長期保有へつなげていくことが狙いだ。
初めての株はソフトバンクに '30年に30代以下3割へ
この株式分割とPayPayポイント付与で、若い人が初めて株を試すときの「エントリー株」を目指す。若い人にソフトバンク株に興味を持ってもらうには、「PayPayポイント」が重要で、そこからPayPay証券など、関連サービスの拡大にもつなげていく。
なお、株主優待でのPayPay付与は、株数にかかわらず1人につき1,000ポイントだ。そのため家族が1人だけで300株持つより、それぞれの名義で100株ずつ持ったほうが「お得」となる。例えば、父親のみが300株保有では、配当金2,580円でPayPayポイント1,000円分だが、家族3人で100株ずつでは、配当金が960円×3=2,580円でPayPayポイントは1,000円×3=3,000円分で、2,000円分多くなる。
また、「PayPayならでは」の使い方として、「お年玉」をPayPayで送金し、孫がソフトバンク株を購入するといった例も紹介。“お得”をきっかけに、口コミでの株主拡大にも期待しているという。
株式分割とPayPayポイントによる株主優待の拡大で、ソフトバンクの中長期的な成長を応援する若年層を拡大。現在、30代以下のソフトバンク株主は16%だが、2030年には口構成比とほぼ同じ3割まで拡大していく。